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座禅から学ぶ~心身の健康を保つ丹田呼吸法

2017-01-13

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座禅から学ぶ~心身の健康を保つ丹田呼吸法

座禅の呼吸法といえば、丹田呼吸法。古来より武道の達人が学び、健康法としても注目されている呼吸法です。その極意として「入息は短く、出息は長く」といわれることがあります。このことばの出典は 「大安般守意経」でお釈迦様呼吸法を記したものだとか。 宗派などによっても座禅中の呼吸法には違いがありますが、座禅では吸うことよりも吐ききることに重きが置かれています。座禅の達人になると呼吸回数が減り、その分深く呼吸ができるようになるともいわれています。心身の健康とも深い関係がある呼吸法丹田呼吸法についてまとめてみました。

座禅の呼吸法の肝は丹田にある

普段、私たちの呼吸は、延髄にある呼吸中枢の働きで意識しなくても自律して行われています。座禅での呼吸はもっとも大事なポイントで、意識的に息を吸い吐ききります。座禅の呼吸法の基本をまず押さえておきましょう。

呼吸を調える前に、姿勢を調えるのが大事とされています。背筋を伸ばして結跏趺坐を組み、口は閉じます。呼吸は腹筋を使った腹式呼吸です。胸式呼吸とは肺を広げて行う呼吸で、肩を上げ肺が横に膨らむことで肺の上部に空気が入っていきます。胸式呼吸では、肩や首、胸の筋肉を使っています。それに対して腹式呼吸は、肺の下にある横隔膜が下がり、肺の下部に空気が入っていきます。

したがって、座禅の呼吸では胸が膨らむことはなく、肩に余分な力が入りません。そして座禅の呼吸で最重要ポイントは丹田を意識することにあります。

丹田とはどこをいうのでしょうか。丹田とは体内で気を集め内丹という霊薬を吊り下す場所のこと。丹田は3カ所あって、眉間の奥の上丹田、胸の中央の中丹田もあり、座禅でいう丹田は下丹田にあたります。下丹田は五臓の中心として最も重視される場所で、正丹田と呼ばれることもあります。

丹田の位置についてはいろいろな説明がされています。「へそから3寸下のあたり」「へそから指2本分下、あるいは1.5寸下で奥に1.5寸入った気海というツボ」「へそと肛門の中間点」「へそから指4本分下の奥にある関元というツボ」。「腹筋でいちばんかくたなるあたり」と表現する人もいます。

ツボの探し方でいう「寸」とは、尺貫法の「寸(1寸は3cm)」とは違って、親指の幅を「1寸」とするなど人によって単位が違います。おへそと恥骨を結ぶ線を5等分して、その1つ分を1寸とするとき、気海は1.5寸、関元は3寸とされています。

ちなみに、臨済宗黄檗宗の公式ネットでは、「気海丹田」と記されています。気海は生命の源であり呼吸のツボともされているところです。曹洞宗近畿管区教化センターの公式ホームページでは、丹田を「へその下あたり」としています。

要は身体の軸になっている部分であり、人によっても丹田と感じるポイントは微妙に違うのではないでしょうか。気海、関元のツボを参考に、自分の感覚で位置をつかむことが大事なようです。そこに意識を集中させて、口から静かに出して吐ききります。吐ききったときの反動で息を吸います。これを数回繰り返します。

安静時、成人の呼吸回数は1分間で16~18回くらいといわれています。座禅の場合、上達すると5、6回ほどになるといわれています。座禅の深く静かな呼吸は「蒸す息」とも表現されています。

丹田呼吸法がセロトニン分泌を促進

丹田呼吸法では、腹筋を意識的、かつ一定のリズムに収縮させることによって横隔膜を下げて呼吸を行います。一定のリズムの筋肉の収縮運動によって分泌される神経伝達物質、それがセロトニンです。セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンとともに人の感情に働きかけます。自律神経に大きな関わりのある神経伝達物質として知られています。

ドーパミンはものごとを達成したときに得られる快感として感じる物質で、人間の意欲を司ります。ノルアドレナリンはアドレナリンとともに緊急時に際して、心や身体に働きかけて、闘争モードまたは逃走モードに体の状態を切り替える作用があります。

セロトニンは癒しのホルモン。ドーパミンやノルアドレナリンを調整し、心を穏やかにします。睡眠のリズムを調えたり、痛みを少なくしたりするのもセロトニンの作用です。セロトニンは、ストレス社会の現代、誰もが予備軍といわれる「うつ病」を予防する効果が期待できるとして注目されています。

脳細胞から出る電気信号をとらえたものを脳波といいます。脳が働いている、あるいは休息している状態によって特色のある波形になっています。普段、活動しているときはβ(ベータ)波が出ていて、睡眠中、リラックスしているときα波(アルファ波)が多く出ています。眠りが浅まどろんでいるとき、夢を見ているときはθ(シータ波)、熟睡しているときはδ(デルタ)波です。

座禅中は起きているのにα波がでます。さらにα波の中でも速いタイプのα波、リラックスしながらも集中力が最高に高まっているとてもよい状態に。
さらに瞑想が達人クラスになると、まどろんでいるときのθ波も出ているという実験結果もあります。このθ波は記憶力をUPする効果があるので、座禅の腹式呼吸は認知症予防効果もあるのではと期待されています。

丹田呼吸法がスポーツやビジネスに与える影響

座禅での丹田呼吸法武道にも多く用いられてきています。腹式呼吸を意識することでインナーマッスルが鍛えられて姿勢をよくするなど、丹田呼吸法の効用はとても大きいものがあります。

また、丹田呼吸法で得られるセロトニン効果により、ストレスで調子を崩しがちな副交感神経が活発化して、交感神経とのバランスが調整されます。そのため、体の免疫力が上がって自己修復作用も上がることが期待できます。体調にもよい影響が現れますよ。

スホーツの仕合やビジネスシーンでも、丹田呼吸法のもたらすセロトニン効果は大。心を穏やかにして、平常心を取り戻す手助けをしてくれます。さらに達人になれば、リラックスを保ちながら最高に集中できる状態に保つことも可能です。

心配事があって動悸がする、通常業務の作業量が多すぎて舞い上がってしまう、試合前、プレゼンテーションや会議の前で失敗しないかと不安になる。そういう状況の時に、意識的に丹田呼吸法を行うと心が落ち着きパフォーマンスが上がるといわれています。座禅で丹田呼吸法を身につけたら、日常のシーンでも役立ちそうですね。

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