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赤い温泉は暖かい? 日本三古湯や枕草子の三名泉にも数えられる金泉のにごり湯とは

2016-06-01

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5色の“にごり湯”

“源泉かけ流し”の魅力を語るうえで外せないのが、色付きの湯。いわゆる“にごり湯”です。「温泉」には無色透明の温泉水の他に、牛乳のような色の乳白色のものをはじめとする、色付きのものがあります。人の心理とは面白いもので、無色透明のお湯よりも、色が付いているお湯の方が高い効能があるような気になってしまうそうです。実際、市販の入浴剤に香りとともに色が付いているのは、そんな心理と無関係ではないようです。

温泉の源泉は、湧き出した時は涌水のように透明で澄んでいますが、空気に触れて時間が経過するにつれて、色が変化していきます。源泉が湧き出る地域によって、“にごり湯”の色は様々ですが、大きく分けると、牛乳のような「乳白色」、赤錆のような「赤」、青銅のような「青」、緑茶のような「緑」、そしてコーヒーのような「黒」の5色。“にごり湯”の中には、天候、時間帯などによって色や透明度が変化するものもありますので、湯色の変化を楽しみながら入浴するのもいいですね。

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乳白色の温泉

5色の“にごり湯”の中でも乳白色の湯は、最も「温泉」らしいといえるのではないでしょうか。実際、乳白色の温泉は全国各地に数多くあり、私たちが入浴する機会が最も多い温泉なのです。

乳白色の湯は、温泉成分に含まれる硫黄成分が酸化した“湯の花”によって、温泉が乳白色ににごるのが特徴です。同じ乳白色の温泉でも、その濃さに差があり、湯口から湯船に入ってくる時は色が無色だったり薄かったとしても、湯船に入ってからしばらくして湯温が下がると白くなってきます。何故こんな現象が起こるのかというと、源泉に含まれる様々な物質が空気に触れることで化学変化を起こして濃さが変わっていくからなのだそうです。乳白色の湯の効能は、神経痛などの一般適応症に加えて美肌効果が高いといわれていますので、特に女性にオススメです。

前述の通り、乳白色の温泉は日本各地に数多くある温泉ですが、その中で個人的なイチ押しは、秋田県の乳頭温泉郷にある「鶴の湯温泉」。ここは、この温泉郷の中でも他とは離れた場所にあり、ちょっとした秘湯的な雰囲気が味わえ、バケーション・シーズンには大勢の温泉客でにぎわう人気スポットです。

また、ヒバ千人風呂が有名な青森県「酢ケ湯温泉」のお湯も乳白色で知られています。湯治場として人気の本格的な温泉宿で、青森ヒバ材で造られた千人風呂の浴場内は、4つの浴槽(熱の湯、冷えの湯、四分六分の湯、湯滝)に別れていて、混浴風呂になっています(脱衣所は男女別々で、浴場が一緒)。ただし、別途、女性専用の時間帯も設けられているので、混浴が苦手な女性の方は、専用の時間帯に利用するといいでしょう。
その他にも、乳白色温泉として知られる温泉は、山形県の「姥湯温泉」、福島県の「野地温泉」、長野県の「白骨温泉」、群馬県の「万座温泉」、神奈川県の「仙石原下湯温泉」、大分県の「明礬温泉」と「いちのいで温泉」、鹿児島県の「新湯温泉」と「硫黄谷温泉」などがありますが、日本国内には、これらの他にも乳白色温泉がたくさんありますので、ガイドブックなどを頼りに最寄りの温泉を探して訪れてみてはいかがでしょうか。

赤い温泉

浴槽内に沈殿している湯の花の色が赤色をしている「温泉」は、別称“赤湯”と呼ばれています。湯色が赤く見えるのは、含鉄泉などのように温泉成分に多量に含まれる鉄分が酸化鉄として、赤い“湯の花”になるためといわれています。地上に沸き出した時は無色透明のものが多いのですが、空気に触れることで鉄分が酸化し、茶色いコロイド粒子ができます。このコロイド粒子がお湯を濁らせ、茶褐色や赤色の湯になるというわけです。

ここでは、最も有名な “赤湯”として、兵庫県神戸市北区有馬町にある「有馬温泉」の「金泉」をご紹介しましょう。ここは、「日本三古湯」のひとつで、昔から皇族・貴族・文化人らに愛されてきた日本最古泉とも言われています。また、歴史ばかりではなく、林羅山の日本三名泉や枕草子の三名泉にも数えられ、江戸時代の温泉番付では当時の最高位を与えられており、まさに名実ともに日本を代表する名泉のひとつなのです。

「有馬温泉」の泉質は、湧き出る場所によって異なり、塩分と鉄分を多く含む褐色の含鉄塩化物泉、ラジウムを多く含む放射能泉、炭酸を多く含む炭酸水素塩泉の3種類があります。 特に、含鉄塩化物泉は源泉が出てくる湧出口では透明ですが、空気に触れると赤く変色することから“赤湯”となり、「金泉」と呼ばれています。ここの源泉は、鉄分が濃く、海水の2倍という塩分を含んでいるため、大変よくあたたまります。なお、前述のように「金泉」は鉄分が多いので、タオルにかけ続けていると赤褐色に染まるので要注意です。“赤湯”に多く含まれる鉄分が配湯管を詰まらせる原因になるため、詰まりを防止するために毎日掃除しなくてならないということからも、名湯を維持することの大変さが伝わります。

なお、「有島温泉」では、この「金泉」とは別に、もうひとつ「銀泉」と呼ばれる温泉があります。こちらは“赤湯”とは異なり、ラジウム泉と炭素泉が湧き出す透明な温泉。お湯の色から受けるインパクトから、訪れる温泉愛好家の間では、やはり「金泉」の方が人気が高いようです。

赤い温泉関連で、もう一カ所ご紹介したいところあります。観光名所として有名な大分県別府の「鉄輪温泉」の地獄めぐりの中の“血の池地獄”です。
温泉水そのものは無色透明ですが、沼野底に溜まっている沈殿物に赤い色の鉱物が含まれているため赤い湯になるそうです。まさに、“血の池地獄”のような光景で、その不気味な外観通り、ここは入浴可能な温泉ではなく、あくまでも見学メインの観光スポットなので、ご注意を。

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青い温泉

大分県別府にある「鉄輪温泉」の地獄めぐりは、“鬼山地獄”や“かまど地獄”、“山地獄”、“白池地獄”、“龍巻地獄”といった地獄にちなんだコワモテな名称が付けられた熱湯や熱泥などの“地獄名所”が名物の人気観光スポット。その中の国指定名勝にも選ばれている“海地獄”は、8つの“地獄”の中で最も大きく、同施設の有名な“血の池地獄”と対照的な海を思わせる青い湯で知られています。その原因としては、温泉水そのものが青く変色しているのではなく、温泉水に浮遊している極小の微粒子が温泉に差し込む太陽光線の青色成分を散乱させ、その影響で人間の目を通して青く見えるという説、温泉成分中の珪酸(ケイサン)や硫黄成分が関係している説など諸説あり、青い温泉の詳細はまだ解明されていないようです。

なお、同じ「鉄山温泉」の地獄めぐりのひとつ、“白池地獄”は青白い色の温泉池で、噴出する湯は無色透明ですが、池に入ると青白く色が変化して、池全体が青白くみえます。

このような青みを帯びた乳青色の湯は、一般の乳白色の温泉でも乳白色への変化の過程で見られることがあります。

緑の温泉

岩手県にある秘湯として知られる「国見温泉」の露天風呂では、全国でも大変珍しい緑色の「温泉」が楽しめます。「国見温泉」は、元禄時代に発見され、古くは南部藩の湯治場として栄えたといわれています。ここの温泉水の緑は、まるでバスクリンのように鮮やかな色。源泉はほぼ無色透明で、湯温が下がるにつれて緑色になっていくという色変化の過程は乳白色の温泉と同じです。

緑色の湯についても、まだ詳しく解明されていないようですが、緑色の温泉の共通点として硫黄成分の含有量が多いことが挙げられている他、温泉中に含まれる藻や微生物の色が関係しているという説があります。

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黒い温泉

東京の都心や周辺の「温泉」に多くみられるのが、黒い温泉水。源泉は、太古の植物が積み重なった腐植質の地層から湧き出ています。腐植質には、植物が微生物に分解されたフミン酸という物質が含まれ、源泉は刺激的な匂いがします。ちなみに、黒い温泉水といっても場所によって色の濃さに差があるのですが、これはフミン酸のコロイド粒子の量や大きさによって、透明感のあるウーロン茶のような色だったり、真っ黒で不透明な湯になったりするのだそうです。

「色」が変わる温泉

“にごり湯”の中には、色が一定ではなく、源泉が湯船に注がれてからの時間の経過や天候などによって、「温泉」の色が変化するものもあります。また、それ以外にも地震発生後に色が変化した例も報告されています。最近の例では、2004年に発生した紀伊半島沖地震の後、和歌山県の「雲取温泉」では、それまで薄かった温泉の色が濃い乳白色に変化したと報告されています。

また、同じ和歌山県の「湯の峰温泉」の共同浴場「つぼ湯」は、乳白色から乳青色などの色の変化で知られています。その原因として、浴槽から源泉が直に湧いており、地中で不安定な状態で存在していた温泉水が、地表へ出て化学的に変化するため、光の散乱の微粒子の状態が変化を繰り返し、その結果、色が変化するという説があります。

時間の経過とともに色が変化する温泉は、いずれも地中から湧き出したばかりの源泉がすぐに浴槽に注がれる場合が多く、こうした色の変化は特に浴槽の底から直に源泉が湧き出すような温泉で多く見られるといわれています。

例えば、温泉の色の変化で有名な長野県の「五色温泉」は、温泉の横を流れる川の水位の変化によっても温泉の色が変化することが知られています。

光も影響する温泉の色

“にごり湯”の成分や沈殿物は、湯色を決める大きな要因になりますが、沈殿物に加えて湯色に大きな影響を与えているのが、太陽光などの光線といわれています。というのも、前述のように、「温泉」の成分の細かい粒子に太陽光が当たって拡散する現象が、人間の目には乳白色だったり赤、青、緑などに見えているからです。

また、日中と日没後、あるいは晴れの日と曇りの日と、太陽光線の変化によって、温泉の色が違うことがあるのも、太陽光線が影響しているわけです。この現象を目で確認する方法があります。乳白色の温泉のお湯を手桶に入れてみてください。浴槽のお湯は光の影響でお湯が白く濁って見えますが、手桶の中では光が拡散しないので透明に見えることもあるのです。

温泉の色と太陽光の意外な関係。“自然の恵み”である温泉の「効用」もさることながら、入浴時に目を楽しませてくれる「色」もまた自然からの贈り物なのかもしれませんね。

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