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「あぐら」は室町時代までの正式な座り方だった!?座禅の姿勢「あぐら」と「結跏趺坐・半跏趺坐」似ているけど違う!

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西洋であっても、東洋であっても、瞑想するときの姿勢として求められるのは、安定してゆるがないこと。
礼法にかないつつ、余計な緊張をしない楽な状態であることも大切とされています。ただし、眠くなるほどリラックスしてしまうのはよくありません。西洋では靴をはく生活が普通ですから、瞑想も椅子に座ったままか、ひざまずき台を使って祈りの姿勢で行うことが多いようです。床に座る生活をしているアジアでは、瞑想も座って行うスタイルが一版的です。ヨーガには瞑想のボーズがたくさんあり、座禅では「結跏趺」や「半跏趺坐」を基本の形としています。

座禅をよく知らない人からは、「座禅はあぐらをかいて組むもの」と思われていることが多いのですが、「結跏趺坐・半跏趺坐」と、「あぐら」の姿勢は似てはいますが違うもの。あぐらと「結跏趺坐・半跏趺坐」との違いについてまとめてみました。

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「あぐら」は室町時代までの正式な座り方

あぐらは、両膝を左右に開き、体の前で両足首を交差させて座る座り方。

漢字では「胡座」とか「安座」と書きます。「胡」とは古代中国の異民族のことで、とくにシルクロードで通商を行っていたソグド人などの西方民族をさしています。足の裏を見せることが失礼になるというアラビア人にとって、あぐらは「足の裏を見せない」正式な座り方。中国ではそれをめずらしがって「胡座」と呼んだのでしょう。

その後、あぐらは中国経由で日本にも入ってきて、正式な場での座り方になりました。時代劇では、貴族や武士たちがあぐらをかいて座っているシーンがよくありますね。当時は、男性ばかりか、女性も十二単の下であぐらをかいたり立膝をついていたりしたそうです。ちなみに正座が正式な座り方になったのは、江戸時代以降のこと。参勤交代の際、将軍に拝謁するときの作法で大名は正座と定められたのがもとになっていると言われています。

日本人にとってあぐらはくつろげる座り方ですが、通常、両膝は床から浮いていて、左右のお尻と両足が交差する部分の3点だけで上半身を支えています。そのために安定感はもうひとつ。背中を丸めた前かがみの姿勢になりやすく、座っているうちに姿勢が崩れがちです。腰に負担がかかるデメリットもあり、長い時間座り続けることが難しいとも言われています。また、座禅の効用を得るには、おなかから息を吐きる腹式呼吸をすることがポイントなのですが、背筋を伸ばしていないと深い呼吸ができません。もし、あぐらで座禅を組むとしたら、背筋を伸ばして深い呼吸をするように心がける必要があります。

両膝で体を支える「結跏趺坐・半跏趺坐」

あぐらの姿勢から、片方の足を持ち上げて、反対の足のふとももの上に乗せる座り方が半跏趺坐です。
さらにもう一方の足を持ち上げて、反対側のふとももの上に乗せると結跏趺坐になります。あぐらとは違って、足の裏を見せる座り方になります。座禅を行うときは、お尻の下に座蒲や尻あてなどを敷いておくので、腰が持ち上がって両膝を床につけることができます。結跏趺坐の場合、両足が体の前で組み合わさっており、両膝とお尻で上半身を支えるため、安定を保つことができて上半身がぐらつきにくくなります。また、仙骨をしっかりと立てて背筋を伸ばして座るようにすると、腹式呼吸がしやすくなって、深い呼吸ができます。

座禅で結跏趺坐がよいとされるのは、お釈迦様が悟りを開いたときの座位であったからですが、お釈迦様が修業をされたころよりももっと昔から、結跏趺坐は瞑想するときによい姿勢とされていたそうです。結跏趺坐の姿勢はヨーガでは蓮華座(ロータスポジション)と呼ばれ、足が細くて長いインド人にとってはとても楽に座ることができる姿勢だと言われています。体型がまったく違う中国人や日本人が結跏趺坐をするのは難しいもの。座蒲や尻当てなどを使うようなったのは、この体型をカバーするためもあったのでしょう。

結跏趺坐や半跏趺坐は座禅に最も適した座位ですが、足を組むのが難しいのが難点。無理をして足を組むと、痛みが出て瞑想どころではなくなることがあります。痛みに耐えるような苦行は、本来の座禅とは違います。結跏趺坐は深い呼吸を行い、瞑想に集中するためにとる姿勢に過ぎないのに、それが精神統一の邪魔になるようでは本末転倒です。結跏趺坐や半跏趺坐が痛くてできない場合、その原因の多くは股関節や足首の関節がかたく可動域が狭いことにあるようです。膝痛を予防するためにも、股関節や足首を十分にやわらかくすることが大切です。YouTubeで検索すると、たくさんのエクササイズが探せますから、座禅のウォーミングアップや入浴後の習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。

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あえて「あぐら」や「椅子」で座禅を行う

これまで述べてきたように、結跏趺坐や半跏趺坐のほうが、あぐらよりも座禅に適しています。しかし、あぐらや正座では悪いと言うわけではありません。有名な禅師のなかにも、足が悪くて結跏趺坐ができなかった方がいらっしゃるそうです。せっかく座禅を行うなら、正当で効果的なやり方でと頑張りたくなりますが、呼吸を調えて心を調えるという本質に立ち戻ると、座り方にこだわって痛い思いを我慢することはないように思われます。

座禅はどんな人にもできると言われています。足が悪い、股関節が固いなどで上手に座れない場合は、無理をすることはありません。結跏趺坐・半跏趺坐で厳しければ正座やあぐら、それも難しかったら椅子に腰かけてと、いろいろな方法があります。各寺院でも足を組めなくてもよいという、ことわり書きがあったり、座禅用の椅子を用意してくれたりする寺院も増えてきていて、臨済宗の講演会等でも椅子座禅の講習が行われています。形にこだわらず自分にあった座り方で坐禅を楽しみたいですね。

正座や椅子でラクラク座禅!椅子座禅に挑戦してみよう!

座禅ビギナーの大きな関門があぐらですが、若い人でも股関節が固くてどうしても結跏趺坐や半跏趺坐ができない人も多いと聞きます。また、人前で座禅を組むときは、あぐらをかくことに抵抗のある女性も多いようです。無理をすることはありません。あぐらをかけなくても、座禅はできます。

結跏趺坐や半跏趺坐ができなかったら正座、それも無理なら椅子でも大丈夫。最近は寺院でも椅子での座禅も勧められています。そこで、正座や椅子で座禅を行うときのコツについてまとめてみました。

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腹筋を意識して背筋を伸ばす

幼児が夢中になってテレビを見ているとき、知らず知らずのうちに正座していることがありますね。
「こんな小さい子が正座?」とびっくりさせられます。実は、きちんとした正座をすれば、足をくずして座るよりも腰の負担が少なく、とても楽な座り方なんです。昔は正座をすると足の形が悪くなる、膝を悪くするなどと言われていましたが、医学的な面からも正座で足の形が悪くなる、膝の関節を痛めるという臨床結果は出ていないそうです。正座で姿勢を矯正すると健康増進にも役立ちます。座禅をきっかけに正座に慣れ、普段からもよく正座するようになったという方もいます。一度試してみてはいかがでしょうか。

座禅で正座するときのコツは、腹筋を使って背筋をきちんと伸ばすこと。背骨はS字型を保っているのが自然なので、反り返ってしまわないように注意しましょう。しっかり骨盤を立てて下半身を安定させ、左右均等のバランスを保って上半身を乗せていくようなイメージです。余分な力は抜きましょう。肘を垂直におろして手は印を結びます。脇は閉じるか、軽く開く程度に。膝をぴったりつけるのがつらかったら、握りこぶしひとつ分くらい開けておきましょう。

足の裏は「親指程度が触れる程度にする、親指同士を重ない、重ねるとラク」など、いろいろな説があります。いくつか試してみて、自分に楽な方法を探してみましょう。また、スカートは広げずおしりの下に敷くのが正しい座り方です。座禅中は二つ折りにした座布団やクッションをおしりに当てるとラクに座れます。最初は5分だけなと、正座で座ることに少しずつ慣れていくといいですよ。正座椅子を使う手もあります。もしもしびれてしまったら、いきなり立たずに、かかととかかとをつけて、足のつまさきを床に立てて正座します。

椅子座禅は椅子選びがポイント

正座もできない場合は、椅子座禅を行います。結跏趺坐や正座よりも上半身がぐらつきやすいので、座禅中もよい姿勢をキープできるように気を付けたいもの。ポイントはまず椅子の選び方です。

座ったときに、地面に足がつく高さの椅子を選びます。座面が低くて膝頭がふとももより高くなってしまう椅子は、姿勢が悪くなるのでNG。キャスター付きや回転椅子など、動く椅子もなるべく避けてください。肘かけもないほうが望ましいでしょう。姿勢を保ちやすくなるように開発された座禅用の椅子も販売されています。

椅子座禅でも、作法は通常の座禅と同じです。椅子に浅く腰かけて、背筋をぐっと伸ばします。尾てい骨と頭のてっぺんが一直線上になるように体をまっすぐにします。背もたれにもたれかからないようにします。クッションを使っておしりの位置を少し高くすると腰が伸びて正しい姿勢がとりやすくなります。足は肩幅と同じくらいに広げます(座禅用に開発された椅子のなかには、背もたれにもたれかかるように設計されたものものあります)。あごを引いて、手は印を結びます。目は自然に1mくらい先の地面を見るようにします。姿勢が調ったら息を調えます。

椅子座禅の参考になる書籍として、枡野俊明・著「生きるのがラクになる椅子坐禅今日から始める禅的朝活」があります。枡野俊明氏は曹洞宗の徳雄山建功寺住職で、作庭家としても多摩美術大学教授、ブリティッシュコロンビア大学特別教授として活躍されています。You Tubeにも動画をアップロードされていますので参考にしてください。

椅子座禅を禅カフェや自宅で体験

椅子座禅に対応できる寺院が増えています。
東京都内で座禅会を行っている寺院のうち、座禅用椅子があるとホームページに記載されている寺院をいくつかご紹介します。

■名称:長谷寺
■場所:港区西麻布2-21-34
■URL:http://choukokuji.jiin.com/ 

■名称:長光寺
■場所:新宿区百人町1-5-2
■URL:http://www.chokoji.net/ 

■名称:圓通寺
■場所:墨田区向島3-11-6
■URL:http://www.entuuji.or.jp/ 

■名称:龍雲寺
■場所:世田谷区野沢3-38-1
■URL:http://ryuun-ji.or.jp/

寺院ではなく、禅カフェで気軽に体験できる場所もあります。横浜市鶴見の駅ビルCIAL鶴見にある「坐月一葉」もそのひとつ。こちらは日本茶が中心の和カフェですが、定期的に曹洞宗大本山總持寺の僧侶り指導による椅子座禅の会が開かれています。
■名称:坐月 一葉
■場所:横浜市鶴見区鶴見中央1-1-2 CIAL鶴見 5F
■URL: http://www.cial.co.jp/tsurumi/又はhttp://www.sojiji.jp/zencafe.html   

臨済宗妙心寺派東京禅センターが主催する椅子座禅の会もあります。定期的に2ヵ所のレストランで行われています。椅子座禅の体験後は、お茶とお菓子の茶礼があります。会場は表参道と目白になります。
■名称:臨済宗妙心寺 東京禅センター
■場所:「炭火ダイニング豊和 テラスルーム」/港区北青山3-5-44
■場所:「欧州目白食堂 Junjino」 豊島区目白3-5-5 2階 ■URL:http://www.myoshin-zen-c.jp 

自宅で行う座禅では、結跏趺坐や正座の形を調えることよりも、まず下半身を安定させてどっしりと座り、上半身の無駄な力を抜くことが大切です。椅子座禅は足が動かしやすくなるので、動かないよう注意しましょう。調身ということばがあるように、正座や椅子の座禅でも、まず姿勢を調えることが座禅の第一歩。姿勢が調えば、丹田を意識した深い呼吸も行いやすく、息が調えば心も定まってくると言われています。

自宅で座禅する場合は、周囲の環境を調えるのも必要なことです。座禅を組む場所は落ち着く静かな環境を選び、お香をたくなどして、日常の時間とはちょっと違う区切りをつけてみるのもオススメです。座禅は通常45分が標準ですが、とくに時間にこだわることはありません。座禅のポイントや終了時間を知らせてくれるなど、おうち座禅を手助けする座禅アプリも各種出ていますので、好みにあったものを探してみてはいかがでしょう。

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