盆栽

秋の実もの盆栽―鑑賞前・鑑賞期間中・鑑賞後の手入れ

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秋に実がなる実もの盆栽は秋の美しい紅葉だけでなく、樹木に生っている実の美しい色さも一緒に楽しむことができます。また、秋の実もの盆栽は、季節が秋から冬へ移り変わっていく様子を静かに教えてくれる盆栽です。

秋の実もの盆栽を「秋の季節」に、“最も”美しく鑑賞するためには、鑑賞前、鑑賞期間中、そして鑑賞後、それぞれ剪定作業や管理が必要となります。

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秋の実もの盆栽について

秋の実もの盆栽の種類は多く、ミヤマカイドウ、紫式部、ピラカンサ、マユミ、姫リンゴ、山柿、花梨やウメモドキ等は知られています。これらは身近にある植物なので、それぞれの樹木に実が生っている盆栽を鑑賞していると、一層親しみがわいてきます。

秋の実もの盆栽の魅力は、盆栽として育てたりする楽しみだけでなく、実や葉の紅葉を楽しんだり鑑賞したり、熟した実を食べたりして、3つの楽しみを同時に持つことが出来ることです。実もの盆栽は、花の開花が終り実を付けるところから熟すまでの間、生っている実の大きさや色は毎日変化するので、鑑賞する楽しみも倍増します。

例えば、マユミの盆栽は秋の紅葉時期に生った実と切れ目が入り盛り上がった樹皮とのバランスが美しいです。しっかりとした幹にかわいい小さなリンゴが実っている姫リンゴの盆栽や鮮やかな黄色の実がなっている花梨の盆栽からは、秋の訪れとやがてやって来る冬の足音が感じられます。赤い実を沢山つけるミヤマカイドウの盆栽、幹が繊細で美しく赤い実が生っているウメモドキの盆栽や葉の落ちた古木に山吹色の実が付いている山柿の盆栽などは、山郷の秋の光景を盆栽鉢の中で思い出させてくれます。また、秋の実もの盆栽は、小さな鉢に植えられても、立派な実を付けてくれるので、生命の力強さを感じます。

鑑賞前の手入れ

秋に実を付ける盆栽は、鑑賞を楽しむために鑑賞前の手入れ作業が最が大事です。

秋の鑑賞期間中に実もの盆栽の樹形の乱れや不揃いな枝を見つけても、鑑賞期間中は盆栽の剪定は行いませんが、鑑賞前に見つけた場合は、剪定して整えます。鑑賞前の剪定では、樹形を乱している枝や長く飛び出したり伸びたりした枝は切ります。この剪定作業を行う際は、実がついていない枝を切り落とすと良いです。また、鑑賞前に行う剪定作業の注意点として、触れると実が落ちやすい樹木もあるので枝を切り詰めたりするときは、出来るだけ実に手や剪定バサミが触れないように注意をしながら剪定作業を行います。

秋の実もの盆栽の美しさをさらに引き立たるためには、盆栽の鉢の汚れを落とし、鉢の中に雑草が生えていたら抜き、鉢の土の上に残っている肥糧も取り除いたりして、盆栽の鉢底から樹木の天辺までを盆栽全体をきれいにすることが鑑賞前の大事な作業のポイントです。

実もの盆栽をより美しく鑑賞するために、盆栽を盆栽用の花台に置いて鑑賞することが一番理想的ですが、花台がなくても置き場所やちょっとした工夫で、室内や屋外を問わず美しく見せることができます。秋の静かな日に実のも盆栽を屋外に置いて鑑賞しても風情があります。また、室内の床の間に置いても、実もの盆栽の美しさを鑑賞することができます。

実もの盆栽の中では、樹木の生長に問題がないのに実の付きが悪いものもあります。実もの盆栽だけでなく実のつく樹木は同じように1年ごとに実の付き方も異なります。例えば、今年、沢山実を付けても来年は実の付きが良くなかったりします。実もの盆栽の場合、花が咲いた時期や実が付き始めた時期に、花や実の数を制限することにより毎年同じように実を付けることができるので、気を付けながら調整することも必要です。

また、ミヤマカイドウや姫リンゴなどの実もの盆栽は1本だけでは実が付きにくいので、人工授粉の必要があります。また、ウメモドキの雄木は実がつかず雌木があると実が付くので、樹木の特徴や種類を把握しながら対応することにより、毎年秋の時期に実もの盆栽を楽しむことができます。

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鑑賞期間中の手入れ

一般的に、多くの秋の実もの盆栽は、鑑賞期間に葉はつけていません。実もの盆栽の樹木に生っている実を引き立たせるために葉取り作業を行い、葉を取り除いてしまいます。この作業のポイントとして、あまり早く葉取り作業を行ってしまうと、樹木に負担がかかってしまいます。樹木の種類にもよりますが、この作業を行うタイミングとしては、10月の中旬から下旬ごろ以降が理想です。この時期に樹木の葉が落ち始めたら生長が止まる合図なので、葉を取作業を始めても大丈夫です。しかしながら、鑑賞前でも盆栽の樹木に生っている実を隠してしまう葉や枯れた葉などは、葉を取り除くことができます。

鑑賞期間中に実もの盆栽を室内で鑑賞する場合は、1日に1回位は外に出し、太陽の光りを与えることも大事です。室内で長く鑑賞している場合は日光不足になり、生育にも悪影響が出てきます。また、室内での水やりは難しさもあり充分に水を与えられないこともあるので、出来るだけ1日に一回ぐらい外に出して水やりをして、水が切れたら室内に戻すことが大事です。水やりは、鉢の土が乾いたら与えるようにします。

実もの盆栽は鑑賞のために室内に置いてあるため、乾燥しやすくなるので水不足になりやすいです。水不足になると、実が落ちやすくなります。さらに、室内に置いてあると日光不足だけでなく外の寒暖の差が受けられないので、実の色づきが良くない場合もあります。そのため、実もの盆栽の実が充分に色づいてから、室内での鑑賞を始めるとあまり失敗しないで実の色づきを楽しむことができます。鑑賞期間中、実もの盆栽の施肥は行いません。

鑑賞後の手入れ

鑑賞期間が終り鑑賞後の手入れを始める時期の目安は、盆栽の樹木に生っている実が痛み出し始めた時です。生っている実に痛みが始まっているのにそのまま樹木に実を付けておくと、樹木の負担になってしまいます。実の痛みが始まったら、出来るだけ早く実を取ることが大事です。

また、実もの盆栽の多くは寒さに強いですが、盆栽鉢が凍ったり霜の影響を受けたりしないためには、軒下などの戸外に置いて管理します。

鑑賞後の水やりは、季節的に秋の終りから冬になるので、鉢の土が乾いたら与える程度で充分です。

冬になると実もの盆栽は既に落葉して枝のみ残っている状態です。そのため、盆栽の樹形全体を見ることができるので、樹形づくりには最適な時期です。この冬の時期に乱れた樹形や不必要な枝を剪定して、バランスの取れた樹形に整えます。

植替えについては樹種によっても異なりますが、多くの実もの盆栽は、3月の春のお彼岸頃から植替えを始めることができます。また、肥料は春になったら与えます。

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まとめ

実のなる樹木は、「桃栗3年、柿8年」の諺の通り、実がつくまで数年かかります。実もの盆栽も同じです。苗木から実の生る盆栽に育てる場合は、花が咲いたら花を摘み、実が生ったら実を取る作業をある程度の歳月をかけて続けて行い、盆栽の樹形づくりに専念する必要があります。そうすることで、ある程度早く実の生る盆栽を作ることができます。

秋の実もの盆栽を育てていると、花が咲かなかったり、実が生らなかったりする年もあるかと思います。しかしながら、秋の実もの盆栽は、例え実が生らなくても美しい樹形や四季の移り変わりを鑑賞させてくれるので諦めず、翌年に向けて楽しみながら秋の実もの盆栽を育てることが大切です。

秋の実もの盆栽は、葉の紅葉と色づいた美しい実の2つの魅力を同時に楽しむことができる素晴らしい盆栽です。

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