フラワーアレンジメント【フラワーアレンジメント教室主宰・三角陽子氏インタビュー】自由な発想によって五感で楽しむフラワーアレンジメント

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フラワーアレンジメント教室「MISUMI Flower Studio」を主宰する三角陽子氏は、フラワーアレンジメント界における巨匠・ウィム・ハゼラー氏に師事し、世界的に最先端の技術を身につけ、生徒さんとともに楽しみ方を追求しています。そんな三角陽子氏に、フラワーアレンジメントとの関わりと、その魅力について語っていただきました。

Q:フラワーアレンジメントとの出会いについて教えてください。

母の趣味で家の庭には、いつも色とりどりの花が咲いている環境で育ったこともあり、物心がついたとき、自分の周りにはいつも花がありました。そして20歳のときに、花を使った習い事をしたいと思い、「アートフラワー」という造花づくりを趣味で始めました。これは絹などの布を花や葉の形に切って染料で染め、コテを当てて精巧に作って組み上げるというものです。ある日、習っている教室で、海外のアートフラワー作品展で花を見ようという研修があり、私も参加することになりました。
そのなかには元女優でモナコ王室の公妃グレース・ケリーが主催した作品展もありました。彼女は押し花がとても好きだったんですね。
研修では先生と一緒にモナコを皮切りにヨーロッパを1ヵ月ほど巡りました。そのときに造花ではなく「生」の花を使ったフラワーアレンジメントを初めて見たんです。それを見たときに、これからは造花より「生」の花を使ったフラワーアレンジメントに話題が集まるだろうなと思いました。

Q:そのことが契機となって「生」の花を使ったフラワーアレンジメントを行うようになったのですか。

はい。その頃の日本では「生」の花を使うのは「生花」だったのです。フラワーアレンジメントもありましたが、これはヨーロッパアメリカが主流でした。生花が剣山に刺していく方式で床の間など限られた場所に飾るのに対して、フラワーアレンジメントは、給水スポンジに茎を刺す方式が多く、基本的にはどこにでも飾ることができるのが大きな違いです。教会や結婚式の会場などに飾ることもあります。最近では、生花よりも圧倒的にフラワーアレンジメントのほうが多いですね。
フラワーアレンジメントをやってみたいと思い、アメリカヨーロッパを中心に先生について海外で勉強をしました。そうしているうちにある先生との出会いによって自分のスタイルが決まりました。

Q:それがウィム・ハゼラー氏との出会いだったのですね。

その頃から世界NO.1といわれている人だったのですが、実際に習ってみて先生の素晴らしさに感動しました。当時のフラワーアレンジメントは、バスケットに花を入れるというこぢんまりしたものでした。ところが先生のフラワーアレンジメントは、教会に飾るような大きなものも作りますし、朽ちた木や雑草、苔、石なども使います。それを見たときに、大きな衝撃を受けました。綺麗な花だけを使う一般的なフラワーアレンジメントとは一線を画していました。
オランダで開催された先生の教室で一定期間を学ぶと「マスター・ディプロマ」という資格をいただけるのですが、実際に教えてもらうと、とても奥が深いものでした。それで、ずっとウィム先生の弟子でいたいと思い、毎年定期的にプライベートレッスンをしてもらえないかと交渉をしたところOKが出たので、それから昨年に先生がお亡くなりになるまで、約30年、毎年1度は10日間ほどオランダに行っていました。2007年からは私の生徒も連れて先生のところに花留学をしていました。それと、近年はウィム先生のほうからも日本に来られて生徒に教えてくださっていました。
Q:三角さんが生徒を持つようになったときのことを教えてください。

友だちや近所の人を教えるようになって、そこから自然と話が来るようになったのです。昔はフラワーアレンジメントをやっている人は少なかったので、需要があったんですね。仕事として始めたのは、おおよそ30年前からです。
Q:フラワーアレンジメントの魅力はどのようなところにありますか。

綺麗な花を自由な発想で作れるところです。それと、やり方や技法が年々進化していくことも長年楽しむことのできる部分です。ヨーロッパアメリカが主流のフラワーアレンジメントは規模が大きいものもあり、花の楽しみ方が多彩です。最近ではフラワーアレンジメントに花以外の枝や木の実、苔などを使うこともあり、それもまた大きな魅力でもあります。
また、作り手の性格やそのときの感情が表れることもあるのが面白いところです。生徒の作品を見ていると「おとなしい人だけど、大胆な感性を持ち合わせている人だ」とか「この人はいま恋をしているな」などと思えるような感情が作品に表れてきます。決まりごとが多いフラワーアレンジメントですと難しいですが、私が教えているフラワーアレンジメントは、自己表現のひとつになっているので、作り手にとっては、とても楽しいと思います。
    Q:レッスンのときに気をつけられていることを教えてください。

    まずは基本をしっかりと教えることです。例えば、ブーケ(花束)を束ねる場合でも、放射状に茎をまとめる方法などの基本を忘れてはいけません。そして、茎を斜めにカットして、オアシス(吸水スポンジ)に深く差し込むことが大切です。これは簡単なようでいて、デザインに夢中になっていると忘れてしまいがちです。花を長く楽しむためにもこのポイントはしっかりと押さえておきたいものです。
    そして、基本を守った上で、その人の個性をなるべく出してあげるようにしています。完成形のシルエットが山型になっていたり、丸型になっていたりするのも個性のひとつで、それは大切にするようにいつも心がけています。
    「あなたいつも小さく可愛く生けるわね」「勢いがあるわね」とか、何か良い部分に目をつけるようにします。

    Q:自由度があるというのは、難しい部分もあると思いますが、楽しいでしょうね。

    例えばクリスマスリースを作る場合、松ぼっくり、リボンがいくつとか、普通のスクールは使う材料が全て同じです。だから同じようなものができ上がります。でも、私のスクールでは、いろいろな材料を置いておいて、好きなものを選んでもらいます。
    Q:フラワーアレンジメントの楽しさとこれから始める人に向けてひと言お願いします。

    花の香りなどの自然からもらえる力は私たちを元気にして、癒してくれます。それを続けることが人生に彩りを与えてくれますし、皆さまの幸せにつながっています。自分が元気になるのはもちろん、フラワーアレンジメントによって、ほかの人にも何かを与えることができます。
    だから、興味のある方はぜひ飛び込んできてください。自然を相手にしたレッスンを受けるというのは、贅沢なことで奥が深いことを分かっていただけると思います。フラワーアレンジメントを経験することで、街のウインドウに目を向けたときなどに、これまでとは見え方が違ってきます。色んなところに目が向くようになりますし、人生の喜びを感じていただけるのではないかと思います。

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