西洋画

ミレー(ミレイ)の完璧な風景画「オフィーリア」の制作の裏側には恐ろしいほどの苦労が!

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1850年代を代表する画家、ジョン・エヴァレット・ミレー。ジョン・エヴァレット・ミレーが描いたさまざまな作品のなかでも、取り分けファンが多い作品が、「オフィーリア」という作品です。

この作品は、ウィリアム・シェイクスピアの手掛けた、「ハムレット」に登場する『オフィーリア』を描いた作品ですが、ラファエル前派の幾多ある絵画のなかでも最高傑作と言われている名作として有名です。オフィーリアの表情はもちろん、コケや葉、水面の至ところまでも詳細に描かれている、完璧な風景画ともいわれています。

今回、ここではラファエル前派の大家である、ジョン・エヴァレット・ミレーの描いた「オリーフィア」という作品ついて紹介していきます。


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ジョン・エヴァレット・ミレーとは?

ジョン・エヴァレット・ミレーは、19世紀に活躍した、ラファエル前派といわれているグループのひとりです。1829年、イングランド南部のサザンプトンで生まれており、幼少の頃から優れた美的感覚を持っていたことから、ロンドンに移り住み英才教育を受けさせられたといわれています。

その才能は、他を圧倒するものだったといわれており、その証拠にロイヤル・アカデミー付属美術学校には最年少で入学が許されたという、輝かしい経歴を持ちあわせているのです。

しかし、そこで出会った仲間たちと教育方針や現状の美術界への不満を募らせた結果、1848年に「ラファエル前派」を結成。このラファエル前派は、自然に忠実であることが真の芸術であるという思想のもと、さまざまな名作が生まれていったとされています。

そして、今回取り上げる「オフィーリア」をロイヤル・アカデミー展に出品した後、この作品が高い評価を得たことで、地位と名声と築き上げていく結果となりました。

肖像画家として成功を収める

オフィーリアの成功の後、さまざまな苦難が襲っていきます。この、「オフィーリア」は後の妻となる女性を描いたものであり、結婚後は8人の子どもを養うといった所帯の大黒柱として働くこととなってしまいます。

ラファエル前派のように、細部に時間をかけて描き続けるような手法を割に合わないということで、この厳格であった写実主義を捨て、徐々に商業的な作品なども手掛けるようになっていきました。

当時、評判が影を潜めていたジョン・エヴァレット・ミレーではありますが、「ブラック・ブランズウィッカー(黒い制服を着たドイツのブラウンシュヴァイク騎兵)」が、大変当時の社会情勢にマッチングしたことからも大ヒット。結果的に、ジョン・エヴァレット・ミレーは、オフィーリア以来の名声を取り戻すこととなり、その後は肖像画家としてさまざまな名作を生み出すこととなりました。

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オフィーリアとは?

さて、ジョン・エヴァレット・ミレーの描いたなかでも最高傑作といわれている、「オフィーリア」。一体どのような作品なのでしょか。シェイクスピアの代表作でもあり、「ハムレット」に登場するヒロイン、オフィーリアをモチーフにした作品ですが、草木生い茂る小川に横たわるオフィーリアがなんとも美しく、また荘厳な印象を与える作品となっています。

前述した通り、今作に描かれているドレスを来た女性のモデルは後の妻となるエリザベス・シダルであり、非常に若く美しい女性であったことが見て取ることができます。日本国内においても、夏目漱石などが影響を受けており、今も尚世界中で注目されている素晴らしい作品のひとつとして知られています。

オフィーリアの描かれているシーン

オフィーリアが描かれているシーンですが、実際には舞台では登場するシーンではなく、王妃ガートルードが発した台詞からインスピレーションを得たものということが分かっています。

この台詞は、オフィーリアが可愛らしい花輪を枝にかけようと思ったところ、そのまま崖から落ちてしまい、人魚のように小川で泳いだり、そのまま古い唄を口ずさんでいたが水を吸った衣類の重さに耐えられず、徐々に沈んで溺れて死を遂げる…というような内容となっています。

つまり、これらはジョン・エヴァレット・ミレーの想像によって描かれた作品であり、まさにジョン・エヴァレット・ミレーの素晴らしい想像力と画力がいかんなく発揮された名作であることが分かります。

ちなみに、ハムレットの舞台はデンマークであったものの、当時、ジョン・エヴァレット・ミレーはロンドンに住んでいたこともあり、イギリスらしい風景であると指摘されています。荘厳な雰囲気を持ちながらも、エロティックな要素も持ち得ているなど、さまざまな見解がある、美術ファンの議論の的となっている素晴らしい作品のひとつです。

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非常にタフな制作現場

美しいものの裏には、非常にタフな背景があるといわれています。ジョン・エヴァレット・ミレーが描いた、「オフィーリア」に関しても、ご多分に漏れず、非常に手間と時間がかかった作品であったことで知られています。

この作品を描くために、まずはそれに見合った風景を探し出すことからスタートしました。この作品の風景の題材となっているのが、イーウェル市のホグズミル川だそうですが、その岸でなんと半年間近くも描き続けていたことが記録に残っているのです。

さらに、驚くべきことに冬場の厳しい環境の中で描いていたことから、風によって川に落ちそうになったり、ハエに困ったり、小屋を建ててその中に籠ったりと、一筋縄ではいかない制作活動だったとされています。

さらに、この風景画と人物は別で描いていたことが分かっており、まず第一弾としてこの風景を収めています。

人物画における苦心

人物画のモデルになったのは、エリザベス・シダルですが、彼はスタジオで彼女に服を着せたまま浴槽に寝かせそれを描写していました。しかし、作成当時は非常に寒い日だったこともあってか、しっかりとランプで湯船を温めて制作に挑んだという記録が残っています。

ただし、あまりにも書くことに熱中をし過ぎてしまったジョン・エヴァレット・ミレーだけに、風呂の水の温度がかなり低くなっていることに気がつかず、結果的に彼女が風邪を引いてしまう結果となったようです。

後に、彼女の父親から治療費として賠償金を求められており、結果的にジョン・エヴァレット・ミレーはそのお金を支払ったという話も伝わっているようです。

20世紀頃からの評価

ジョン・エヴァレット・ミレーの描く、「オフィーリア」は、公開当時から評判にはなったものの、広く賞讃されたとは言い難いものだったといわれています。狂気的、または酪農家の娘など、意と反した意見も多かったようです。

しかし、20世紀頃に入りかの有名なシュルレアリスムの巨匠「サルバドール・ダリ」によって賞讃されて、一気にその絵画の評価が世界的に高まることとなります。

日本にも数回巡回している大人気の作品であり、写実的な要素とファンタジー的な要素、そして果敢ない美しさ、狂信的な雰囲気など、美しさが詰め込まれた作品として現在でも人気となっています。

詩的な作品として今後も注目

「ハムレット」の一幕ということで、「オフィーリア」は戯曲をモチーフとした作品です。そのため、とても詩的な印象を持ち、死を連想させながらも美しく、動的な印象も与える素晴らしい出来映えとなっています。今後も、「オフィーリア」の絵画は高く評価され続けることは、間違いないことでしょう。

数々の影響を与えた素晴らしい作品、「オフィーリア」とは?

ラファエル前派の代表的画家のひとりが、「ジョン・エヴァレット・ミレー」です。ラファウェル前派が追求したものは、限りなく現実に近い超現実主義的な描写です。細部にまでこだわり抜いた筆致は見るものをその世界へと深く誘う、狂気をも感じさせる作品が多くあります。

さて、そんなジョン・エヴァレット・ミレーなのですが、彼の代表作で最も知られている作品といえば、「オフィーリア」でしょう。

美しい小川の中によこたわり、そのまま朽ち果てていくという、斬新なシーンを再現したというこの作品は今も尚、人気のある作品として知られています。さて、そんなオフィーリアですが、どういった背景を持った作品だったのでしょうか。今回、ここではオフィーリアについてのさまざまなことを考えていきます。

オフィーリアという女性

オフィーリアは、ウィリアム・シェイクスピアの代表的戯曲「ハムレット」に登場する、とある女性をモチーフとした作品として知られています。

ジョン・エヴァレット・ミレーが描いているオフィーリアに関しては、このシーンは戯曲では演じられていないとされており、台詞の中に出てくるシーンを想起して描かれたといわれています。

オフィーリアの役柄としては、父親が殺され、さらにはパートナーが狂気に満ち、そして最終的には自らも精神的に異常をきたしてしまい、命を絶ったという設定となっています。

当時の男性たちの心を満足させた作品

オフィーリアが描かれて時代は1600年代ですが、この作品が大変人気があった、または現在でもその人気が衰えないことには、とある分析がされています。

オフィーリアは、パートナーに裏切られたことなどで知られている女性ですが、彼女自身は彼に大変献身的に尽くしていたという設定で描かれています。さらに、自らが精神状態に異常を来してしまい、自分が彼への愛を献身的に示すことは、花と一体化して水死体となって沈んでいく姿という選択を選んだという解釈がなされています。

当時、大変注目された絵画であり、あまりにも妄想的であると批判されながらも、こういった従属物としての女性のあり方が世の多くの男性達を満足させていた、という推測されています。

自らのために、そして苦悩のために死んでいったわけではなく、愛する人を一途に思い続けていったオフィーリアの姿が、逆に男性たちの心を掴んだ、希有な作品であると考えられます。

野花の描写が美しい

オフィーリアの美しさばかりが注目されている、この作品。実は、ジョン・エヴァレット・ミレーの持つ描写力の凄さは、この女性の周囲に咲き乱れている野花にあるという見方があります。

オフィーリアをじっくりと鑑賞すると、彼女の手にはケシの花がありますが、これは死を象徴する花として知られています。そして、首元に飾られているのはスミレの花で、こちらは誠実さと純潔さを表しているといわれています。

また、イラクサやヒナギク、パンジーなども見ることができますが、これらもひとつひとつ意味があるとされており、ジョン・エヴァレット・ミレーがオフィーリアに込めた思いが、強く伝わってくる描写となっているのです。

さらに、水面の藻や葉の光の当たり具合、そして木々の繊細な描写。まさに、写真並みの写実技術を持っていたという、ジョン・エヴァレット・ミレーの絵画力の高さを存分に楽しめる作品となっているのです。

さまざまオフィーリア

ジョン・エヴァレット・ミレーの描いたオフィーリアは、彼の死後、時代を超えて多くの画家に影響を与えたことでも知られています。もともと、戯曲中の台詞から着想を得た作品であったためか、彼のオフィーリアをモチーフとした他の作品も多く現代美術界では見ることが可能です。

ポール・アルバート・スティックという画家が描いたオフィーリアは、マーメイドシルエットのドレスを見にまとい、長く美しい髪と白い肌を持ち、胸元に両手を当てながら水の中に沈んでいく姿が描かれています。外の風景ではなく、水中の風景を描いたことで、より動的な印象を与える作品として昇華されています。

また、かの有名なドラクロワもオフィーリアを描いていますが、こちらは枝に片手をしがみつき、どこかまだ生に対する欲を持っているような、潔くないオフィーリアが描かれているように見えます。しかし、その表情には生気や宿っておらず、本能に抗うようにすでに気持ちは死へと向かっているように見える作品です。

ジョルジュ・ジュール=ヴィクトール・クレランという作家は、グラフィックアートのように精緻にオフィーリアを描いており、まだ幼さの残るような顔つきと独特構図、そして色彩でこの世界観を表現しています。

数多くの画家に影響を与えた作品

ジョン・エヴァレット・ミレーの描いたオフィーリアは、彼の死後にも多くの画家に影響を与えています。

そして、今も彼の描いた作品の多くは、美術評論家たちから絶賛されています。日本国内で見られる機会があれば、ぜひジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」をこの目に焼き付けましょう。

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