仏像

鬼の羅刹が持つ仏教での意外な役割

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羅刹と言う言葉をご存知でしょうか。字面も響きも殺伐としていますが、それもそもはず。人食い鬼なのです。
しかし、場合によっては仏様の眷属、部下として仕えてもいます。
殺生ご法度の仏教において、何故このような人事となったなのでしょうか?

精霊から食人鬼を経て仏教入り

元は自然界の精霊であり戦士、財宝を守るクヴェーラ神の部下でした。
名前はラクシャサですが、性別があり、女性はラクシャシーと言います。
その後アーリア人がインドで覇権を握ると神話の方も内容が変わり、主人のクヴェーラ共々ニューヒーロー、ラーマ王子に倒されるや食人鬼となりました。
その後名前の意味も「害を成す者」とされ夜な夜な墓を暴く、人を取って食う、人に取り憑く、幻覚で人を惑わせると言った伝説がつくようになります。
その影響か、「怖い顔をした人」を「羅刹」なんて呼んだりもするのです。
要するに新しい神話経典の引き立て役として悪役にされたのに過ぎません。
神話ではよくあることです。そんな割と不遇なラクシャサたちでしたが、クヴェーラが仏教に入り多聞天(毘沙門天)になる時、一緒に仏教に入り、天部(神)の一員として十二の方角を守る羅刹天となりました。

地獄の鬼のリーダー格

中国以降では「鬼」としての役割もこなしています。それ即ち、地獄で亡者を追い込む尾に、通称獄卒です。
『往生要集』などで、その熱心な仕事ぶりを拝むことができます。
阿傍羅刹(あぼうらせつ)と言う名前で、「ハイ、そこもっと亡者いびってー。釜の温度低いよー。火の勢い弱すぎだよー」と獄卒たちを率いるリーダー的な存在です。

鬼の頭に角がある理由

鬼と言えば、頭に角のあるイメージですが、実は羅刹が元でした。牛や馬の頭をした鬼の絵を見たことがありませんか?あれらはそれぞれ牛頭、馬頭と呼ばれています。
牛頭馬頭共に阿傍羅刹の異名を持ちますが、リーダー格に当たる牛頭に生えた牛の角が鬼の角のイメージ定着に一役買ったのです。
鬼門と呼ばれる艮(うしとら)の方角、つまり牛の角と虎柄のパンツのイメージですね。

鬼になった理由

基本的には毘沙門天の下でともに仏法を守る護法神でありながら、一方で亡者を苦しめる鬼となっているのは、食人鬼時代のイメージだけではありません。
羅刹天の別名は涅哩底王(にちりていおう)。死者の住まう南西を守ることから閻魔様と縁深い、もしくは同一視されて、後に獄卒となったのです。

女だけの羅刹国

羅刹国というのは、女性の羅刹のみが住む国とされます。
皆美しいので「鬼でもいいや、行きたい」となるでしょうが、500人の商人と共に羅刹国に流れ着き、殺されてしまいました。
伽羅と言う僧侶がただ一人、どうにか逃げ出せた恐ろしい所のようです。美しいバラにはトゲがあるを地で行く所ですね。

まとめ

元は信仰の交代に関わり恐ろしいイメージがついただけだったのが羅刹です。
今では再び善側となり、罪業を成した者を懲らしめ、天部として仏法を守ります。
顔つきや伝承こそ恐ろしげでも、元は自然の精霊です。
与えられた務めを果たすの実であり、そこにはひたむきささえあります。
見た目や第一印象だけでなく、じっくり見ることの大切さを体現する鬼、それが羅刹です。

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