仏像

ヒトなら仕方がない?煩悩の元五欲は悪い物ではなかった

2017-12-18

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生きている限り、尽きない物があります。欲です。美味を求め、異性を求め、地位向上を求め、人々は苦悩してきました。仏教ではこうした欲を五欲と呼びます。

五欲の内訳と「生物としての」欲

五欲の内訳は、食欲、色欲、睡眠職、財欲、名誉欲となっています。
最初の三つは生物としての当たり前の欲に思われがちですが、少し度が過ぎてしまうのが人間です。動物はお腹がすけば最低限のものを食べますが、人間は特にお腹が空いていなくても「口寂しい」と何かを口にします。
また食材や料理に意味もなく価値をつけ、「うん、さすがは60年物のワイン」などと通ぶったりもするものです。
ある程度おいしくてお腹が満たせればいいのに、それ以上を求めてしまうのが食欲。他の欲も同じことが言えます。色欲とは男女の関係であり、動物で言えば繁殖期にのみ発生する欲です。オスはより多く子孫を残そうと、メスはより良い遺伝子を遺そうとします。
しかし人間はコミュニケーションもしくは快楽目的での行為が多く、時には人の恋人まで横取りする生き物です。

人間にしかない欲

睡眠欲は仏教においては眠る、というよりも「だらけていたい」と言った方が近いでしょう。
「動きたくない、楽したい」というわけです。財欲は金品や宝石類をとにかく集めてため込む欲です。ドケチ欲とも言えます。
名誉欲は「ホラ、私凄いでしょう?褒めて、称えて」といったいわば虚栄心のことです。これらは皆、人間にしかない欲に思えます。しかし、生物として当たり前の欲も、人間にしかない欲も、人間という体から生まれているのは確かです。

欲の発生源、五蘊

欲は心の中に生まれますが、その発生源は人間を形作る五つの感覚、五蘊(ごうん)です。
これは人間を形作る心と体のことです。あらゆる物質を意味する色蘊、物質を見て感じる受蘊、対象について考える想蘊、「あれをしたいな、しようかな」と思う行蘊、判断や分析等を行う識蘊の五つから成ります。好みのアクセサリーを見つけたとしましょう。「かわいいなー、欲しいな。初デートに付けて行ったら褒めてくれるかな。少し高いな。給料日前だけど買っちゃおうかな。しばらくカップ麺でいいか」といった一連の感情の中に五蘊と五欲が入っています。
指輪が色蘊、綺麗だと感じるのが受蘊、色々考えているのが想蘊であり、「買おうかどうか」と迷うのが行蘊、「給料日前だけど買っちゃおう」というのが識蘊です。
初デートにつけよう、よく見られたいというのが名誉欲であり、そもそも相手とデートしたいのが色欲なのです。ちょっとした迷いにもたくさんの要素が混じっている、それが人間だとお釈迦様は仰っています。

苦と悟りの源、それが欲

迷い、欲は煩悩であり、これがあるから色々苦しみます。
先のアクセサリーの件にしてもそうです。相手を独占したい気持ちからペアリングを買ってしまう人もいれば、給料が安いと愚痴を言う人もいるでしょう。
「上を見ればきりがない」と言います。見栄の為の受験勉強、就職、それが元で心を壊した人も数知れず。「みんな欲が悪いんだ」となるでしょう。欲は苦しみの発生源です。
欲しいけど手に入らないのは仏教における基本的な苦の一つ、求不得苦(ぐふとく)とされます。
今まで挙げた欲は、いずれも煩悩や悲劇の元になったりもしますが、ある意味では原動力です。買いたい物があるならお金を溜めればいいのです。
解決策はどこにでもあります。仏教では先に述べた五蘊がヒントでした。「この体は仮の物で、一時的な物。欲だって一時的な物である」という真実に気付けば、不思議と迷いは晴れて場合によっては悟ることができます。

まとめ

五欲は人間として当たり前の物で、それ自体は恥ずべきものではありません。ただコントロールを利かせないと、とんでもないことになりかねないのです。考えようによっては色々と見るから色々と分かるのですが、線引きが難しいのもまた事実。道に外れない程度に欲をコントロールして生きていきましょう。

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