四字熟語

「万物は因果で結び合う」融通無碍という考え

2018-02-07

関連キーワード

「全然」という言葉が肯定語として使われるようになって久しいです。言葉は時代によって意味を変えることがあります。
しかし、根の部分は案外変わっていないこともあるのです。「全然」にしても、「すべてにおいて」との意味合いので、肯定的に使われるのも納得できるでしょう。

融通の意味

「ちょっと融通をきかせてよ」といったように、現在融通という言葉は「臨機応変に対応する」との意味で使われます。
早く言えば、「多少の事には目をつぶる」といったところです。元々は「一つのことにとらわれない、自由であるさま」と言った意味の「融通無碍(ゆうづうむげ)」が略された言葉でした。
「融通」という字は融ける、通ると言う言葉が合わさっています。液体のような柔軟性を持って融け合うイメージから、この言葉は生まれました。

「無下」とは違う、「碍」の字が意味すること

「無碍」という部分についても見ていきましょう。「無下にする」という言葉がありますが、これは意味が違いますのでご注意ください。
「無下」とは「ひどい、いやしむべき」と言った意味があるので根本的に違います。融通無碍とひとくくりになっていますが、「無碍」の方にも意味はありました。
それ即ち、「何ものにも邪魔されない状態」です。
これと柔軟の融通を合わせ、「一つの考えにとらわれることなく、臨機応変な対応ができる」「何にも縛られない、自由な対応」との意味合いとなっています。

元は『華厳経』の考え

この融通無碍は、元々『華厳経』の中で語られている華厳宗の思想でした。
一見すると個々として成り立つ物事が、実はお互いに関係があり、作用しあっているという考えです。
しかも、それがどこまでも重なり合っているというのが華厳宗の考えです。これを重々無尽の縁起と言います。

華厳宗の奥義、無碍法界

華厳宗には無碍法界というものがります。何かと言えば、仏の目で見た世界です。
ここに至るのが、華厳宗の目標となります。しかしいかにして仏の目線に至れば良いのでしょうか。まず、理事、事事の二つの存在を知りましょう。理事とは絶対的な真理、事事とは目に見える世界です。
まずは理事無碍法を取得します。「世界中の事物はお互いによく混ざって調和をしている」との真理を、何の偏見もなしに見るのが理事無碍法です。
この段階で既に悟りを得ているように思えますが、まだ上の段階がありました。それが事事無碍法です。
理事無碍法における「理」を取っ払うのです。「真理なのに!?」そもそも、真理だ事物だと分けている時点で完全に悟れていません。
事(じ)と事が溶け合って調和している、それが真実。物事はただ起きているだけと言うのが、華厳宗での真の悟りになるのです。

まとめ

全てが溶け合っているありのままこそが現実であり、受け入れるべきこと。すべての事象は、ただ因果で結び合っているに過ぎません。
言葉の意味が変わるのも、ただ起きているだけのことです。それに対し、どう反応するか?一般人はそのことに囚われているようですが、そこから少し目線を変えればそれだけで信じられないほどの自由が心に沸き起こります。お金がない、もてない、出世しない。
こうした苦しみから解放される為の仏教の考えが「全部苦だよ、執着しなければいいんだよ」になのです。執着から離れてすべてはただ影響し合い存在するだけと思えば、少しは気も楽になります。

▲ページトップ