血圧

起立性低血圧の原因になる病気とは?

2018-03-08

関連キーワード

起立性低血圧は、起き上がった時や立ち上がった時に血圧が下がってしまう病気です。
一般的な起立性低血圧の症状は、めまい、頭痛、倦怠感などですが、時に失神を起こすこともあるので要注意です。起立性低血圧の原因として心臓病や糖尿病、がんなど、さまざまな病気が挙げられます。

今回は、起立性低血圧の原因になる病気についてわかりやすく説明します。

起立性低血圧の原因とは?

起立性低血圧は名前の通り、立ち上がった時に血圧が下がってしまうことをさします。
定義としては、収縮期血圧(最高血圧または上の血圧ともいう)が20mmHg以上低下、または拡張期血圧(最低血圧または下の血圧)が10mmHg以上低下することとなっています。血圧が低下すると脳をめぐる血液量を保てないので、ふらつきやめまい、失神などの症状が出ます。原因としては、自律神経の異常や薬の副作用、心臓病、血液量の低下、ホルモンの異常などが考えられます。原因となる病気が多いため、起立性低血圧の発症までの時間や病気の種類によって分類することができます。

例えば、起立性低血圧の症状が出るまでの時間が短いもの、いわゆる急性発症の原因としては血液量低下、長期間の寝たきり、副腎機能不全などが考えられます。

体をめぐる血液量が低下するのは、大量の出血や脱水がある時です。体の中に十分な血液がないと、立ち上がった時に血圧を保つことが難しくなります。

長期間の寝たきりは、高齢者だけではなく、重症な病気で長期間の入院が必要な場合にも起こる可能性があります。あまりに長い間横になっていると、血圧の調整をうまくできず、起立性低血圧になる可能性があります。

副腎とは両方の腎臓の上に位置する臓器ですが、血圧やホルモンの調整を行っています。そのため、副腎の機能が低下していると血圧が下がってしまうことがあります。 起立性低血圧の症状が長期間にわたっている、いわゆる慢性の場合には、加齢や神経の機能障害、食事の影響が考えられます。加齢や神経の障害は急に起きることではないので、起立性低血圧の症状も慢性となります。食後は血糖値をさげるためのインスリンというホルモンが分泌され、消化のために腸に血液が取られるため血圧が低下する可能性があります。

薬の副作用の場合には、急性でも慢性でも発症することもあります。

一方で、起立性低血圧の原因を神経に関連するもの、心臓や血管に関連するもの、薬物に関連するもの、というように分類することもできます。神経に関連するものは、パーキンソン病、脳卒中、糖尿病、アルコール、がんなどが挙げられます。心臓や血管に関連するものは、出血、脱水、副腎機能不全、心不全、心筋梗塞、不整脈などが挙げられます。薬の副作用に関連するものは、降圧薬や抗精神病薬、抗うつ薬、アルコールなどです。

心臓病やがんも起立性低血圧の原因に

起立性低血圧の原因として挙げられる病気の中には、命に関わるものもいくつかあります。つまり、起立性低血圧は血圧が低いというだけではありません。何か別の重大な病気が隠れていて、その病気の1つの症状として起立性低血圧が見られているという可能性があるので要注意です。

例えば、大腸がんではがんの存在する粘膜から出血することがあります。出血量が増えると血管内の血液量は徐々に減っていきます。血管内に十分な血液がないと、血圧を上げようとしても難しくなります。胃腸炎や重いつわり、インフルエンザ感染などにより脱水になった時も起立性低血圧の症状が出る可能性があります。先ほどの出血と同様に、血管内に十分な水分がないと血圧を上げることができません。

心不全や心筋梗塞などの心臓病の場合には、心臓の機能が低下しているので十分な血液を全身へ送ることができません。血圧は、心臓が血液を全身へ送る力と血管の収縮する力によって成り立っています。心機能が低下している状態では、心臓が血液を全身へ送る力が低下しているので血圧を上げることが難しくなります。

糖尿病の合併症として起立性低血圧が見られることも

糖尿病は日本人にとっても身近な病気になっています。近年の食生活の欧米化、運動不足などが原因といわれています。糖尿病では、自律神経障害といって便秘や下痢を交互に繰り返すことや、血圧の調整がうまくできないことがあります。

人が立ち上がると上半身から下半身へ血液が流れます。そのままでは脳内の血液が足りなくなってしまうので、自律神経やホルモンによって血管が収縮します。しかし、自律神経障害があると血管をうまく収縮させることができずに血圧が低下します。自律神経には交感神経と副交感神経があり、一般的に起きている時や興奮している時には交感神経が優位にはたらき、寝ている時やリラックスしている時には副交感神経が優位にはたらくといわれています。つまり、血圧を上げるためには交感神経が正常に機能していることが重要です。

このように糖尿病では、自律神経の障害によって血圧の変動が激しくなり、めまいやふらつき、頭痛などで悩んでいる人は少なくありません。

まとめ

起立性低血圧の原因になる病気と分類の仕方についてまとめました。

血圧は心臓が全身へ血液を送り出す力と血管が収縮する力で決まるので、心臓病や出血、脱水、自律神経障害などでは血圧を正常に維持できないようです。
自律神経障害を起こす病気には糖尿病やがんなども含まれるので、誰でも発症する可能性があります。
めまい、ふらつき、倦怠感に加えて血圧の低下がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

監修:大塚真紀(医師・医学博士)
学歴:東京大学大学院医学系研究科卒。
専門:内科、腎臓、透析の専門医。

自己紹介
現在は育児の傍ら、医師という職業を生かし、医療系記事の執筆・監修、最新医学論文の翻訳、医療コラムの作成に従事。

▲ページトップ