日本画

29種類もの桜を写生した絵師 坂本浩然とは

2018-03-07

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※国立国会図書館ウェブサイトより転載

今も昔も変わらず、日本人の心を強く惹きつけ魅了する存在の桜。
そんな桜を美しく写生し、今に残る作品「桜花譜」を作り上げた坂本浩然という絵師をご存知でしょうか?

江戸時代後期の絵師 坂本浩然

坂本浩然(さかもとこうねん)は江戸時代後期に医師、本草家、そして絵師として活躍した人物です。本名は坂本直大と言い、浩雪、永斎、純沢などの号で呼ばれることもあります。

和歌山藩医兼本草鑑定の坂本純庵を父として生まれ、医学や本草学を学んだとされています。ちなみに本草学とは江戸時代の植物学のことで、薬用を目的として植物や動物などを研究する学問のことを指します。当時は今のように医療が発達していなかったため、治療には専ら植物などが薬として活用されていました。そのため、当時の医師は坂本浩然のように、医師であると同時に本草学を研究する本草家でもあったと言われています。

坂本浩然は医学や本草学を学んだ後、摂津高槻藩主である永井氏に仕えていました。また、彼は医師ながら草花の写生にも優れており、さまざまな作品で写生画を残しています。例えば坂本浩然が1835年に刊行した「菌譜」は全56種の菌類を分類し図説した作品ですが、こちらは江戸時代に刊行された類書の中で最も優れていると言われています。また、父の坂本純庵との共著作品である「百花図纂」においても、坂本浩然が図説を担当しているそうです。

29種類もの桜が描かれている「桜花譜」

※国立国会図書館ウェブサイトより転載

坂本浩然の作品のひとつである「桜花譜」では、29種類もの桜が色鮮やかに描かれています。「桜花譜」は1頁に1種類の桜が描かれている構成で作られているため、写生画としての芸術的価値はもちろんのこと、図鑑としての価値も非常に高い作品だと評価されています。

今でいう「花見」のような桜を目で楽しみ愛でるという風習は、江戸時代に入るまでは貴族や武士などの間で親しまれていたものでした。しかし江戸時代に入ってからは庶民の間でも花見の風習が広まっていったことで、桜の品種改良も行われるようになったと言われています。当時生まれた桜の品種数は不明ですが、もともとの桜の原種と品種改良で生まれた品種とを合わせると、現在およそ600種類もの品種が日本で確認されているそうです。

ちなみに現在日本の桜のおよそ8割を占めると言われているソメイヨシノは明治期に生まれた品種なので、「桜花譜」には描かれていません。

美しい桜の写生画をぜひチェックしてみて

※国立国会図書館ウェブサイトより転載

満開の桜をじっくりと目で楽しむだけでももちろん良いですが、今年は坂本浩然に倣って桜の花を思い思いに写生してみてはいかがでしょうか?
坂本浩然が描いた「桜花譜」は現在国立国会図書館デジタルコレクションにて無料で公開されているので、ぜひご覧になってみてください。

国立国会図書館デジタルコレクション「桜花譜」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1286920

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