日本史

磨くともっといろいろできた!打製石器から磨製石器への移行がもたらした変化とは

2018-03-13

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現代より、遡ること3万8千年。それまで主な生活の道具だった打製石器に、「磨く」とい作業が加わった「磨製石器」が登場しました。
磨くことで石器の表面がより滑らかに、より鋭利になって、道具の持つ性能が飛躍的にアップしたのです。

石の重さとザラザラを活かした調理器具

氷期だった石器時代が終わる頃、地球は温暖化の時期にはいりました。それまで大陸と陸続きだった日本でしたが、海水面が上昇したことで、大陸から切り離され日本列島ができたのです。

同時に温暖化によって動物や植物の分布が変化しました。これまでの亜寒帯性の針葉樹に変わり、木の実が採れる落葉広葉樹や照葉樹が広がっていきます。

木の実の加工のために作られたのは、磨製石器の「石皿」と「磨石(すりいし)」です。この二つはセットで、堅い木の実をすりつぶし粉をひくための調理道具です。大人の握りこぶし大の磨石は持ちやすく、石皿は適度な重さで作業をやりやすくしてくれたことでしょう。

山形県の押出遺跡・長野県の大崎遺跡からは木の実の粉からできた縄文時代のクッキーが出土しており、このことからは植物を粉にして食べ物とする文化が広く普及していたことが分かります。

丈夫な農工具

打製石器の代表各に「石斧」があります。重さを利用して、木材をたたき割ったり土を掘ったりして使用していました。この石斧も先端に磨きをかけると表面が滑らかになり、木や土から抜けやすくなります。また、鋭くなるので、伐採や細かい木材加工、獲物の解体などがしやすくなりました。

便利な携帯用工具

原石を打ち砕いて作った剥片石器の「石錐(せきすい)」は、獣の皮や樹の皮などに穴をあける工具です。ドリル部分に磨きをかけてより鋭くして使用します。様々な加工現場で役立つ優れものだったことでしょう。

呪術に用いられた複雑な形

大型磨製石器である「石棒」は男性を表し呪術・祭祀に利用されたと考えられています。またその研磨の技術を生かし作った「石剣」もまた、実用的な武器としての使用ではなく呪術的な意味合いを持っていたものと思われます。吉野ケ里遺跡からは折れてしまっているものの精巧な形状が美しい石剣が出土しています。

直接的に生活に役立つわけではない、非実用的な石器が作られた背景には、文化の発展があります。

しかし長く続いた打製石器の時代とは違い、磨製石器はやがて「金属」にその地位を譲ることになります。

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