仏像

キッチンから広がった連想、庫裡とは何か

2018-03-23

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何気なく使用している言葉の中には、連想が元になっているものもあります。
実は仏教から来ている日常語も数多いですが、純粋に仏教僧侶の世界だけで使用されかつ少しだけ意味合いが広がった言葉が存在しました。その名は、庫裡(くり)です。

庫裡の定義

別名は庫院。「庫」、「裡」ともに内側という意味を持ちます。
「裡」の字は「裏」と同じ意味ですが、「裏側」の意味ではありません。
これは漢語で言葉の後に付き、「ある状態」などを示す言葉です。「秘密裏に云々」と言った場合に使われますね。
つまり「庫裡」は、「庫(ものを蓄えておく場所)ですよ」という意味なのです。
元は食事を作り、食べる為の場所、いわばお坊さんのダイニングキッチンでした。今では伽藍(僧侶の修行の場)と分け、生活する場所として使われています。
大きめのお寺ではコリが独立した建物として存在しますが、お寺の伽藍と一体化している所も多いです。

日本だけにいるお庫裡さん

庫裡は名称としても使われます。現在、庫裡には住職や家族が住む家との意味もあるので、その連想から、家庭と寺を守る住職の妻を「お庫裡さん」と呼ぶのです。
仏教では基本的に僧侶の妻帯は禁じられており、日本の浄土真宗が初の妻帯可能な宗派になります。
つまり、実質住職の妻、「お庫裡さん」は日本だけにしかいないのです。ちなみに、妻帯可能な初の宗派は浄土真宗ですが、この宗派ではお庫裡さんとは呼びません。

お客さん用の食事は小庫院で

禅宗では大庫院と小庫院に分けることがあります。これは、誰のための食事を作るかによって異なります。
大庫院は仏様にお供えする為の大事な食事だけでなく、この寺に住まう僧侶たちの食事も作る場所です。
いわば、身内向けの厨房になります。小庫院は参詣客などの食事を用意する所です。
「内と外を分けるのか」と思う人もいるでしょうが、お寺によっては小庫院が山のふもとにあったり、内容も修行僧とは違っていたりします。飽くまでお客さん用としての料理なのです。

守護者は韋駄天

家の至る所は神仏により守られています。お寺も同じくご本尊を始めとする神仏によって守護されていますし、庫裡も例外ではありません。
庫裡の守護神は韋駄天です。足が速いことで有名な韋駄天ですが、それが何故台所であり厨房の守護者となったのか。一つには防火の意味があります。
「火の用心。うん、大丈夫」と見回るだけではなく、その俊足で食料を集めることもしているわけです。
かつてはお釈迦様の遺骨を盗んだ鬼を走って捕まえた武勇伝を持つ韋駄天様は、今では食卓を見守る神として何だか近しい印象となりました。
寺院で韋駄天を祀るのは禅宗が多いです。

まとめ

韋駄天が守護している点、妻を「お庫裡さん」と呼ぶ点など、庫裡には様々な連想が関係していることが分かります。
厨房、調理場は贖罪を料理、活力へと変える場所です。この食材は、こうしようとの考えもある意味では連想と言えましょう。
料理とは変化であり、変化は仏教の基本です。調理場に立つときにそのことを意識すると、庫裡に関する諸々の変化や連想も分かる気がしませんか。

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