仏像

仏像群のセンター、中尊と脇侍

2018-04-08

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静物画や物語に共通して必要なものがあります。主役です。つまりは、その作品の中心となる存在のこと。
仏像の世界においては、中尊(ちゅうそん)と呼ばれます。

中尊と本尊の違い

「それはご本尊の事ではないか」とちょっとした疑問が頭をかすめるでしょう。
中には中尊とご本尊が一緒の場合もあります。しかし、中尊と本尊は根本的に違うものです。本尊はただ一体でデンと構えていることもあります。
本尊とは、各宗派で最も崇拝すべき仏を示すのです。言わば、ソロ活動をするアイドルと言った所。
この本尊は、時折両脇に脇侍(きょうじ)や眷属を従えると中尊と呼ばれるようにもなります。
つまり、ソロで祀られている時は本尊、脇侍や眷属のセンターを務めると中尊と呼ばれるわけです。

脇侍との関係

脇侍というのは、中尊の両脇や周りを固める菩薩、或いは童子のことです。
その役割は中尊の補佐で、言ってみれば敏腕秘書。向かって左を左脇時、右を右脇侍と言います。中尊から見ると右側が左脇時で左側が右脇侍と少々ややこしいことになりますが、ここは参詣者基準で考えて下さい。
お釈迦様を中心とした釈迦三尊像では左脇侍が文殊菩薩で右脇侍が普賢菩薩になります。
この組み合わせが多いですが、興福寺中金堂や法隆寺金堂などでは薬王菩薩、薬上菩薩が脇侍です。文殊菩薩は智慧、普賢菩薩修行を象徴しています。

如来だけとは限らない中尊、三体とは限らない三尊形式

よく知られるのが三尊像という、三体一組の像。こうした像容を三尊形式と言います。
お釈迦様の場合は普賢菩薩と文殊菩薩で、阿弥陀如来の場合は観音菩薩と勢至菩薩が脇侍です。中尊とは必ずしも如来ではなく、菩薩や明王を中尊とする場合もあります。1000体の千手観音像と二十八部衆の像が荘厳な迫力を見せる三十三間堂では、中央に大きな千手観音座像がありますが、これも中尊です。
「三尊形式」とは言いますが、中には三十三間堂のようなパターンや、文殊五尊像のような「全五体で一組」というケースもあります。
文殊五尊像とは、獅子に乗る文殊菩薩を中心に、獅子を引く優填王(うでんのう)といった、「旅路の一コマ」を再現したような群像です。

奈良大仏も中尊

センターとして最重要視される中尊ですが、特に有名で大きな中尊と言えば、奈良大仏こと東大寺の廬舎那仏でしょうか。
「大仏さんの脇に誰かいたっけ?」います。向かって左に虚空蔵菩薩、右に如意輪観音菩薩(腕が二本しかないことなどから、元は他の仏との説あり)です。
他には四天王の広目天と多聞天。建設当時はもっといたのですが、1000年以上の時代の中、兵火に晒されることもあった大仏殿のこと、今では計5体になりました。
これは大仏殿の像で、有名な四天王像は戒壇堂という別のお堂に祀られています。

まとめ

人は一人では生きられない、とはよく言われることです。
仏様は大方お一人で何でもこなせるでしょうが、脇侍という部下の力を借りることも多々あります。時に象徴的に、時に役目を持って。支えがあっても、堂々たる中尊の佇まいが失われることはありません。
むしろ、部下を従えているからこそ大いなる力を感じさせる。そんなこともあるのです。

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