ことわざ

罪を憎んで人を憎まずの意味・使い方

2018-03-30

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意味

人が罪を犯すにはそれなりの理由や事情があるので、犯した罪は憎むべきであるが、その人そのものを憎むべきではないという考え方のこと。

由来

古代中国の思想家である孔子の「孔叢子」のなかの刑論にある言葉で、「古之聴訟者、悪其意、不悪其人」というところからきています。
これは孔子の弟子が孔子に質問したときのことです。弟子が「司法官として罪を裁く際にどうすれば良いか」と聞き、それに対して孔子が「罪を犯すには何かしらの理由、原因があったはずで、そちらに目を向けるべきである。罪そのもの、もしくは罪人に対してのみとらわれてはいけない」と答えたものです。

つまり、このことわざの本来の意味合いは「司法官として裁く側」の心構えを表しているものであって、被害を受けた側が加害者に対して「人を憎まず」と言っているのではないのです。

この考え方はキリスト教でも同様の者がありますし、そもそも孔子は「徳によって治める」という考え方をしているので、罪に対して厳罰を与えるという考え方をしていなかったということも関係していると考えられます。ただし、イスラム教には「復讐せよ」という考え方があるためにあまり当てはまりません。

英語表現では、
Hate not the person but the vice.
(人を憎まずに罪を憎め)
というものがあり、ほぼ日本と同じ使用法がなされています。

意味の変遷

日本でこの考え方が広まったのは「大岡越前」や「遠山の金さん」などの時代劇での「御裁き」によって「勧善懲悪」「情状酌量」などが行われたことによります。この考え方の広がりによって、ただ罪人を処罰すれば良いというものではなく、その罪を犯すに至った原因などを考えるということが普及したとされています。

ただし現在では「被害者側が加害者側を許すべき」という間違った使用例も多くなってきています。しかしこのことわざにこのような意味合いはありません。また、「罪を憎む」ということ自体が曖昧な表現で、結局被害者側はどうすれば良いのかということもわからないために悩む場合があります。「最終的にはその憎むべき罪を犯した人に罪を償わせるのでは?」となってしまうからだと考えられます。

使用法、使用例

「くそっ、信じていたやつに金を持ち逃げされた。許せない!」
「罪を憎んで人を憎まずと言うだろう。何かそうなった原因があったんじゃないか?」

類似した意味のことわざ

「其の罪を悪んで其の人を悪まず」・・・同じ意味で使用されています。

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