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猫背姿勢はなぜよくない? 猫背が生み出す全身の不調を徹底解説

2018-04-05

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「猫背姿勢」は悪い姿勢として一般的に定着しています。
確かに猫背姿勢はなんとなく活気のない姿勢に見えてしまいますが、実際に猫背姿勢になることで全身に悪影響があることはあまり知られていません。
そこで、今回は猫背姿勢が全身に及ぼす影響と猫背姿勢を予防・改善するために気を付けておきたいポイントをご紹介します。

猫背姿勢はなぜ起こる?

・猫背姿勢とは?
正常な頸椎から腰椎までの脊柱を横から見ると滑らかなS字カーブを描いており、頸椎部分はやや反った形(前弯)、胸椎部分はやや後ろに丸まった形(後弯)、腰椎部分はやや反った形(前弯)になっています。これを「生理的弯曲」と言います。
しかし、「姿勢が悪い」と言われる方の多くは胸椎の後弯が生理的弯曲よりも強くなっており、これが一般的に「猫背姿勢」と言われています。

・なぜ猫背姿勢になりやすい?
人間の身体の特徴として、目や鼻、口といった感覚器が身体の前面についています。
そして、食事、字や絵を描くこと、車の運転など日常生活動作のほとんどは目や口などの感覚器を頼りに行いますので、身体の前面で行うことになります。
そうすると、自然と上肢(肩から指先)が前に出てくる機会が増え、それに伴って肩甲骨が外に開き、胸椎の後弯が強まった姿勢になってきます。
逆に、肩甲骨を内側に寄せ、胸椎を伸ばす方向に持ってくる動きは日常生活内で少なく、意識してそのような動作をしなければなかなかすることがありません。
このようなことから、人間の身体は猫背姿勢になりやすくなってしまっているのです。

猫背姿勢が全身に及ぼす影響とは?

猫背姿勢が続くと、活気や元気がなく見えてしまうだけでなく、全身に対して様々な悪影響があります。
ここで、猫背姿勢がおよぼす具体的な影響をご紹介します。

・肩こりや腰痛
猫背姿勢になると胸椎の後弯が強くなることに伴い、頭部は正常な位置よりも前方にでてきます。
頸部から肩甲骨や胸椎周囲についている筋肉は頭部の重さを支えるために機能していますが、頭部が前方にでてしまうと頭が前方に落ちないように支えるために必要な力が通常よりも大きくなってしまいます。
その結果、必要以上にそれらの筋肉が収縮することになり、肩こりにつながってしまいます。
また、猫背姿勢になると上半身の重心位置がずれてくるため、腰の筋肉や関節にも負担がかかってきて腰痛にもなりやすくなってしまいます。

・腹筋や背筋の低下
生理的弯曲を保った良い姿勢では、脊柱の前後にある腹筋や背筋がバランスよく働いています。
しかし、猫背姿勢では腹筋も背筋もあまり使われていないため、徐々に腹筋や背筋の筋力が低下してきます。
そうすると、いざよい姿勢を取ろうとしても筋持久力が足らずにすぐ不良姿勢に戻ってしまったり、重い物を持ち上げようとしたときにも筋力が足らずに腰を傷めたりしてしまいます。

・胃腸の消化不良
胃腸をはじめとした内臓は、脊柱が生理的弯曲を保った状態で腹部のいい位置に収まり、うまく機能できるようになっています。
しかし、猫背姿勢になり腹部がつぶれた状態になると、胃腸も押しつぶされた状態になってしまいます。
その結果、食べた物の消化が滞ったり、逆流するといったことも起こってしまいます。

・代謝低下
本来、人間の身体は横になって息をしているだけでもカロリーを消費しています(基礎代謝)。
また、横になっているよりは座っているとき、座っているよりは立っているときといったように姿勢を維持するためも筋力を要し、エネルギーを使っています。
しかし猫背姿勢になっているときは、正しい姿勢でいるときに比べて姿勢を保持するために必要な腹筋や背筋をきちんと使っていません。
結果として、全身の代謝が低下してきてしまいます。

・脊柱の変形
基本的に脊柱の弯曲は筋肉の動きである程度コントロールできるものなので、若年層は意識するようにすれば姿勢を矯正することができます。
しかし、中高年から特に老年になってくると、姿勢をコントロールするための筋肉が衰えるだけではなく、関節も硬くなってきます。
長年不良姿勢を続けていると、脊柱の関節は動きにくくなり、脊柱の骨自体も変形してしまいます。
そうなると、正しい姿勢をとることは不可能になってきますし、そこから無理に正しい姿勢をとろうとすると関節や骨を傷めることになってしまいます。
ですから日頃から、正しい姿勢をとる練習をしておくことが重要です。

今からでも気をつけたいポイント

「正しい姿勢をとる」といってもすぐに思いつくことは背筋を伸ばすようにする程度で、どんなポイントを注意すれば猫背姿勢を矯正することができるのかということは曖昧かと思います。
そこで、「正しい姿勢をとる」ために日頃から意識しておきたいポイントをご説明します。

・骨盤を起こす
まず一番に注意したいポイントは骨盤です。
どんなに背中を伸ばそうと思っても脊柱の土台となっている骨盤が後傾していてはよい生理的弯曲は作り出せません。
まずは、座ったときに坐骨(骨盤を起こしたときに両側のお尻の真下に触れる突起)が座面に対して垂直に立つように意識してみてください。

・肩甲骨を寄せる
骨盤の傾きが矯正できたら、胸椎の後弯を整えます。
胸椎の後弯が強くならないようにするためには、肩甲骨がだらっと外に開いた状態ではなく、肩甲骨の間を少し締めて緊張させた状態にします。
そうすることで自然に胸椎の生理的後弯をつくることができます。
「猫背を治す」「背筋を伸ばす」といった際に多いのが、腕を後ろに引いて胸を張ったような姿勢ですが、腕を引いても肩甲骨が引き寄せられていなければよい姿勢はつくれませんので、しっかりと肩甲骨の位置を意識してください。

・顎を引く
骨盤と肩甲骨の位置が整ったら最後は、頭部の位置です。
一生懸命肩甲骨を寄せようとすると逆に頭部が前方にでてきがちですが、それではよい姿勢とは言えません。 骨盤を起こして肩甲骨を寄せた状態で顎を軽く引き、後頭部を背中にある壁につけるイメージで少し下げるようにしてみてください。

おわりに

今回は、猫背姿勢が全身に及ぼす影響と姿勢を修正するポイントについてご説明しました。
今まで姿勢を気をつけなければと思いながらもなかなか続かなかった方も多いかと思いますが、今回ご紹介した具体的なデメリットをご理解いただき、今まで以上に姿勢改善に取り組んでいただければ幸いです。
意識をしなくてもよい姿勢がとれるようになってくるまでにはかなりの時間を要すると思いますが、まずは意識している間のみでも姿勢の改善に努めましょう。
身についてくれば快適かつ健康的な日常生活の第一歩となりますので、是非今日から始めていただきたいと思います。


■プロフィール

監修:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、
病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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