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サルコペニアってなに? 筋力低下の原因と予防法

2018-04-07

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「サルコペニア」という言葉をご存知でしょうか?
あまり一般的には広まっていない言葉ですが、高齢者を中心とした筋力低下についての言葉であり、寿命が長くなっている現代社会において関心の高い問題だと思います。
そこで今回は、「サルコペニア」についてその定義や診断方法と予防法についてご説明したいと思います。

サルコペニアとは?

「サルコペニア」とは、加齢や疾患により筋肉量が低下し、全身の筋力低下や機能低下が起こることを言います。

サルコペニアは、原因によっていくつかに分類されています。
加齢以外の原因のないものを「一次性サルコペニア」といい、加齢以外のなんらかの原因があるものを「二次性サルコペニア」と言います。

「二次性サルコペニア」は、下記の三つに分類されます。
・活動に関連するサルコペニア:寝たきりや不活動、無重力状態が続くことによるもの
・疾患に関連するサルコペニア:内分泌系疾患や炎症性疾患によりたんぱく質の合成がされにくくなり筋肉の分解が進んでしまうものや、脳や神経系の疾患により運動神経が損失されてしまい、筋肉の廃用が進んでしまうもの
・栄養に関連するサルコペニア:消化管の疾患による栄養吸収機能の低下や食欲低下、また食欲低下を起こすような薬剤の使用により栄養摂取量が低下し、たんぱく質の合成が十分にできないことによるもの

サルコペニアの診断基準とは?

「サルコペニア」は65歳以上の高齢者に対していくつかの診断を経てその基準を満たしている場合に判断されます。
ヨーロッパ、アジア、日本と少しずつ診断基準が変わってきますので、今回は日本における診断方法をご紹介します。


1. 歩行速度、握力測定
特に意識することなく普通歩行を行い1m/秒未満(一度に横断歩道を渡り切れないほどの速度)であるか、また握力が男性で25㎏未満、女性で20㎏未満のどちらかでも当てはまっているかどうかを測定します。

2. 身体形態
1.の測定で当てはまってしまった場合は、次に身体形態測定を行います。
BMI=身長(m)÷体重(㎏)÷体重(㎏)=18.5未満
もしくは、下腿周径(ふくらはぎの最も太い周径)が30㎝未満
上記のどちらかを満たしているかどうかを計測します。

1及び2の両方があてはまってしまった場合にサルコペニアと診断されます。

サルコペニアを予防するためには?

サルコペニアを予防するためには、その原因をしっかりと理解し、原因を作らないように意識する必要があります。
よって筋力低下を起こさないための適度な運動、筋肉の合成を促す栄養バランスのよい食生活、不活動にならず心身ともに健康でいるための生活習慣が大切です。

・運動
年齢に伴う筋力低下を起こさないために自宅でできるおすすめの運動をご紹介します。

1. 椅子からの立ち上がり運動
下半身及び体幹の筋力を維持・改善するために必要な要素が集約されたトレーニングで、スクワットに比べてフォームの習得など難しいスキルを必要としないのでどなたでも始めやすいトレーニングです。
立ち上がりやすい幅に足を開いていすに腰掛け、しっかりとおじぎをして体重を膝にかけてから立ち上がります。
直立姿勢になったら、またおじぎをして股関節と膝関節をしっかりと曲げながらゆっくりと椅子に腰掛けます。
この単純な動作の繰り返しを10~20回行いますが、出来る方は手を使わず、反動をつけずゆっくりと行うこと、椅子の高さを低くするなどして負荷を調整することでどなたでもご自分に適した負荷のトレーニングを行うことができ、高齢者でも転倒が少ない方法なので安全に取り組めます。

2. ブリッジ
すでに筋力低下を感じていて、立って行う運動には抵抗のある方にもできるおすすめのトレーニングです。
両膝を立てて仰向けに寝て、ゆっくりとお尻を持ち上げたら3秒程度静止し、またゆっくりとお尻を下ろします。これを10~20回繰り返します。
できる方は、お尻を上げたときに横から見た身体のラインが肩から膝まで一直線になることが理想ですが、無理をすると腰を傷めてしまうおそれがありますので無理をしないようにしてください。

3. 階段昇降
トレーニングとしての時間をとらなくても日頃の移動の中でもできてしまうのが階段昇降です。歩行の量を増やすことは運動不足解消のためにはよいのですが、基本的に平地を歩行する際の筋肉の使い方では、筋力を維持、改善できるほどの負荷にはなっていません。
階段昇降では下肢の抗重力筋にかかる負荷が平地歩行より大きく、筋力の維持、改善につながります。自宅に階段がある方はもちろん、スーパーやデパートの中、駅や仕事先などで階段を使用できる機会があれば積極的に使用してみてください。

・食生活
丈夫な筋肉や骨を維持するためには、栄養バランスの取れた食生活が大切です。
炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をバランスよく摂るために、主食、主菜、副菜の一汁三菜のそろった和食をベースにした食事を心がけましょう。
また、筋力強化を考える上では、筋肉合成の材料となるたんぱく質(肉、魚、卵、豆類)を十分に摂ること、たんぱく質の合成を促すビタミン類を摂取することが重要です。

・生活習慣
おいしく食事を摂り、適度な運動を行う体力や気力を持ち続けるためには生活習慣も重要です。
喫煙や過度の飲酒は質の高い食生活や運動効果の妨げになります。
また、ご家族や社会とよい関わりを持てず、閉じこもりになったり過度のストレスを抱えると無気力になったり、良質な睡眠をとりにくくなってしまいます。
規則正しい生活を送り、周囲とよい関係を持つことで心も身体も健康的になり、サルコペニアの予防につながります。

おわりに

今回は、「サルコペニア」について定義や診断基準、予防法についてご説明しました。
サルコペニア予備軍かもしれないと思われる方はもちろん、年齢的にまだ先の話だと思っておられる方も若年期の生活習慣の積み重ねが中高年以降につながってきますので、是非今日から生活習慣を見直し、「サルコペニア」の予防につながるように取り組んでいただきたいと思います。


■プロフィール

監修:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、
病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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