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解明されていないのに有毒説が独り歩き「紫陽花の毒性」

2018-05-01

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梅雨空の下、紫陽花は雨にも負けずに、色とりどりの小さな花を大きな手毬のように咲かせてくれます。
紫陽花はアジア・北アメリカに約40種が自生していて、日本にも約10種の自生種があります。
紫陽花は古来より親しまれていたので、全国各地に紫陽花が咲き誇る名所があり、初夏を彩る風物詩のひとつです。

「美しい花には毒がある」とのことわざどおり、紫陽花にも毒があると言われています。
紫陽花の毒とは、どんなものなのでしょうか。
実際どういう被害があるのでしょうか。

紫陽花の毒性成分は明らかではない

紫陽花には青酸配糖体が含まれている」「紫陽花の葉は有毒」と言った説が定説となっていますが、実際には紫陽花に含まれる「毒性成分は未だに明らかではない。」ということが、厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」において、「高等植物:アジサイ」でも示されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082116.html

中国四川省の紫陽花の葉と茎に、青酸配糖体が含まれているのが発見されても、京都の紫陽花からは見つからず、各地の紫陽花について調査しても、含まれているものとそうでないものも見られ、「はっきりとしたことはわからない」「量もバラバラ」というのが実態のようです。

紫陽花の葉を食べて起こる中毒症状

紫陽花の葉を食べて起こった中毒症状としては、食後30~40分以内に嘔吐・めまい・顔面紅潮が見られます。
重篤な症状は幸い見られず、いずれも2~3日以内に回復しています。

結果として、紫陽花の葉を食べたことで中毒が起こることがあっても、これまでには、重篤に至ったケースは見つかっていません。

紫陽花の変種「甘茶」による中毒

紫陽花の変種に、「甘茶」があります。
この甘茶の葉から作ったお茶「甘茶」をお釈迦様の誕生日を祝う「花祭り」で振る舞う習わしがあります。
花祭りで甘茶を飲んだ幼稚園児や小学生が嘔吐する中毒事件が、2009年20010年に起こり、このときは全員が軽症で、1日以内に回復しました。

甘茶は古くから薬用として利用されており、有毒成分の存在はこれまで報告されていませんでしたが、結果として中毒事件が発生しています。
いずれも小学生以下の小児の中毒のみが発生しています。

毒性成分がはっきりしなくても中毒が起こることがあるから

紫陽花については、変種の甘茶も含めて、毒性成分が明らかではありません。
成分検査を行っても、毒性成分が含まれていない紫陽花も多いのにも関わらず、中毒症状を引き起こすケースも見られています。

料理や和菓子を乗せる飾りとして紫陽花の葉が使われることも多く、上に乗っている食品を食べて中毒を起こしたケースはありませんが、添えられている葉を食べて中毒を起こすケースがあります。

紫陽花の葉を食用しなければ中毒は起こさないし、料理の添えものとして古くから利用されてきています。
通常は食べないものでも、皿に乗っている以上、食べてみる気になる人が絶対にいないとは言い切れないし、口にして中毒を起こす可能性もあるので、念のため料理に添えるのは控えるようにしましょう。

紫陽花の花は装飾花なので花ではなくガク

紫陽花の花の、色鮮やかな4枚の花びらからなる花は、実は花ではなく、装飾花と呼ばれる「ガク」なので、葉っぱになります。
紫陽花の花そのものは、品種にもよりますが、大きな手毬状の花の中央部に寄り集まったようについている小さなものが本当の花になります。

紫陽花の花を食べて中毒になったというケースは見られませんが、花に見えるものは葉っぱのひとつなので、絶対に中毒を起こさないという保証はないので、花もエディブルフラワーのように皿の上に飾るのは控えるようにしましょう。

「甘茶」は健康に良いとされていますが、飲むのは中学生以上のみとして、中毒を起こしたことがある小学生以下の子供については、宗教行事であっても飲ませるのはやめるようにしましょう。

実態がないのでむやみに毒扱いすべきではないものの

きれいで艶やかな花を咲かせる紫陽花ですが、栽培していても、これと言ってつきやすい害虫がないため、年間を通して殺虫剤を使用する必要はほぼありません。

強い中毒症状を引き起こす毒を持つ鈴彼岸花などの有毒植物の多くも、同じように虫がつきにくい特徴をもち、ネズミやモグラにかじられることもなく、牛に与えても牛が食べないことが知られています。

紫陽花の葉を食べることによって、中毒症状を起こすことがありますが、中毒症状そのものは重篤にはならないし、いつでも誰にでも起こることではなく、同じように食べてもなんともないこともあり、有毒物質そのものが特定されていません。

そうはいっても中毒症状を起こす確率がゼロではない以上、むやみに危険な毒物扱いする必要はないものの、体調の悪い人や小さな子供の口に入らないように注意する必要があります。
また、食べるものだと勘違いして、つい口にしてしまうことがないように、皿の上などには、たとえ飾りとしてであっても、盛り付けるのはやめるようにしましょう。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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