疲労回復

これって五十肩!? その症状と対処法

2018-05-11

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中高年になると多くの方が肩の痛みや関節の動きの制限を経験します。 このような症状を一般的に「五十肩」と言い、「四十肩」や「六十肩」という言葉もありますが、基本的には症状も原因も同じで、正式名称では「肩関節周囲炎」と言います。
今回は、「肩関節周囲炎」について症状や原因、対処法を詳しくご説明します。

五十肩の症状とは?

まずは、五十肩の一般的な症状と経過をご説明します。

・痛み
五十肩になったかな? と感じやすい最初の症状として肩関節周囲の痛みがあります。
軽いものであれば特定の動きをしたときのみ感じる「運動時痛」、重症な場合は安静にしていてもうずくように痛む「安静時痛」があります。

・可動域制限
痛みとともに多い症状として、肩関節の動きが低下する「可動域制限」があります。
痛みが原因で動かせないという場合もありますが、筋肉や靭帯の伸張性が低下して関節の動きが硬くなってしまい、痛みがないのに動かないという状態になる場合もあります。

・脱力感
肩から腕が重たい、肩が抜けそうな感じがするという症状がでる場合があります。
また、反対の手や他者に支えてもらえば動かせるが、自力では肩関節を動かせないという場合もあります。
このような症状は、肩関節を支えたり、動かすために使われる筋肉にうまく力が入らなくなっていることによるものです。

・五十肩の経過
五十肩の一般的な経過は「炎症期」から始まり、「凍結期」、「解凍期」と続いています。
「炎症期」は、とにかく肩関節周囲の炎症が強く、安静にしていても強い痛みがあったり、少し動かしただけでもズキンと鋭い痛みが走ったりすることが特徴です。
「凍結期」は、関節の動きが低下し日に日に動かしにくくなってきます。痛みの方は炎症期に比べると少しずつ落ち着いてきますが、まだまだ無理な動きをしたり、どこかに肩をぶつけたりすると鋭い痛みが走ることがあります。
「解凍期」は、徐々に関節の動きが改善してきます。痛みを感じる頻度も徐々に減り、鋭い痛みも感じにくくなってきます。

このような経過を辿って治癒していくことが多いですが、重症度や症状が現れ始めてからの対応によっても経過が異なってきますので、あくまでも参考までにしていただけたらと思います。

五十肩の原因は?

・組織の柔軟性の低下
普段から適度な運動やストレッチなどのケアをしていないと、年齢とともに筋肉や靭帯といった組織の柔軟性は低下してきます。
そうすると、今まで当たり前にできていた遠くに手を伸ばすことや肩を捻る動作などで筋肉や靭帯が対応しきれずに損傷してしまいます。
小さな損傷を繰り返すことや損傷があるまま肩を使い続けることで炎症が徐々に広がり、大きな痛みにつながってしまうことがあります。

・筋力の低下
トレーニングをしていないと筋力は年齢とともに低下してきます。
今までは特に負担を感じずに行っていた作業でも筋肉に軽い肉離れを起こしてしまったり、重たいものを持つ時に筋力不足で支えきれずに、関節に負担がかかってしまうことがあります。
このようにして筋肉や関節を損傷してしまうことが、痛みや可動域制限の原因となります。

五十肩の対処法は?

五十肩に対して自分でできる対処法は多々あります。
しかし、炎症期、凍結期、解凍期のどの期にあるのかということや何による痛みが強いのかということによって対処の仕方が変わってきます。
誤った対処をしてしまうと症状を悪化させてしまうこともありますので、しっかりとご自分の状態を理解した上で行ってください。


・消炎処置

炎症による痛みが強い場合には消炎処置によって痛みが格段に軽減します。
急激に痛みが強くなり始めた炎症期は特に消炎処置が大切です。
消炎処置の基本は、「安静」です。五十肩になったと思うと関節が固まらないようにという心配から痛みがあっても動かした方がよいと思われる方がおられます。 しかし、痛みのある動きをしていると炎症は強くなる一方なので、基本的に痛みのある動きを行うのは禁止です。
なるべく安静にして、手を下に垂らしておく、もしくは手を下ろしているだけでも痛みのある場合は、三角巾などで腕の重さが肩にかからないように吊っておくのも有効です。
次に、「アイシング」を行いましょう。氷嚢を使用し、痛みの強い部位を中心に肩関節を覆うようにして15~20分冷やしてください。
特に急激に痛みが増した急性期は一日に何度も繰り返し冷やしてください。
安静やアイシングを行っても痛みが緩和しないときや痛みが強いときは、「消炎鎮痛剤」の飲み薬や湿布を整形外科などで処方してもらうのも有効です。


・温熱療法

血流が滞っていることによるコリに近い痛みがある場合、筋肉や関節が固まって可動域制限を生じている場合には、肩周囲の組織を温めることが有効です。
ゆっくりと適温のお湯で入浴し全身の血流を促したり、ホットパックや湯たんぽなど部分的にあたためる道具を使うことで、肩周囲の組織が柔らかくなり、痛みの緩和や可動域の改善につながります。
ただし、炎症による痛みが強い場合に間違えて温熱療法を行ってしまうと、炎症が増悪して症状を悪化させてしまいますので、慎重に判断を行ってください。


・筋緊張緩和

筋肉の緊張が高まって痛みを感じる場合、筋肉の伸張性が低下して可動域制限がでている場合には筋緊張の緩和が症状改善につながります。
筋緊張の緩和には、マッサージやストレッチが効果的です。
心地の良い強さで緊張の高い筋肉をマッサージしたり、ゆっくりとした呼吸を行いながら、硬くなっている筋肉を伸張するストレッチを行ってください。


・適度な運動

炎症期を過ぎ、凍結期や解凍期に入っている場合は強い痛みを伴わない適度な運動が大切です。
凍結期は、可動域を確認しながら、その範囲内でゆっくりと動かすことで関節周囲の血流を促進し、周囲の組織の伸張性を保つことができるので、それ以上の拘縮を予防することに役立ちます。
解凍期は可動域範囲内はもちろん、徐々に大きく動かしていったり、少し負荷をかけて筋力を使うようにすることで可動域の拡大につながります。


おわりに

今回は、「五十肩」について症状や対処法を詳しく説明しました。
正しい知識を元に、早い段階で五十肩に気づき、適切な対処をしていただくことで経過も良好なものに変わってくると思いますので是非参考にしていただければと思います。
ただし、五十肩は自身での対応のみで治っていく場合と、そうでない場合がありますので、経過に不安を感じた場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。


著者:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

肩こり・五十肩の原因は猫背!? 猫背姿勢が与える影響と治し方

猫のように背中が丸まった姿勢を「猫背姿勢」と言い、良くない姿勢として多くの方が認識されておりながらもなかなか治せないでいます。
また、猫背姿勢が健康にとってどのような点で良くないのかということをはっきりと説明できる方は少ないと思います。
そこで今回は、猫背姿勢が健康に与える影響を分かりやすく解説し、猫背姿勢を治すための方法を詳しくご説明します。

猫背姿勢ってどんな姿勢?

本来の人間の背骨を横から見ると滑らかな弯曲があり、これを「生理的弯曲」と言います。
生理的弯曲では、頸椎部が前方に凸の前弯、胸椎部が後方に凸の後弯、腰椎部が前弯となりS字カーブを描いています。
しかし猫背姿勢の方は背中が丸まり、特に胸椎の後弯が強くなっています。
そして胸椎の後弯が強くなると、胸椎の左右に位置する肩甲骨は正常よりも外に流れて外転した状態になってしまいます。
このような状態が続くと、身体に対して次に述べるような悪影響を及ぼしてしまいます。

猫背姿勢が健康に与える影響とは?

猫背姿勢でいることが健康に与える影響をまとめてご紹介します。

肩こり・背部痛
胸椎が後弯して肩甲骨が外転した状態になると、肩甲骨の内側に付いている菱形筋や首から肩甲骨に向かって付いている僧帽筋、肩甲挙筋が常に引きのばされた状態になってしまいます。
筋肉はゴムのように伸張性がありますが、常に引きのばされた状態になると元に戻ろうとして緊張した状態が続きます。
その結果、筋疲労を起こして肩こりや背中の痛みを引き起こしてしまいます。

■五十肩・六十肩
五十肩・六十肩というのは通称で、正式には「肩関節周囲炎」と言います。
肩関節周囲炎は肩関節の炎症により痛みや可動域制限を生じるもので、加齢に加え運動不足や過度の負担が続くことで、肩関節の周りの筋肉が硬くなってこってしまったり、筋力が低下したりして発症します。
猫背姿勢でいると肩関節が前方に押し出されて本来と異なる位置になってしまうため、肩関節が動かしにくくなったり、筋力を発揮しにくくなり、肩関節の炎症を起こすリスクを高めてしまうのです。

■呼吸機能低下
私たちの肺は、胸骨、肋骨、脊柱で囲まれた胸郭に守られています。
そして呼吸を行う際には、肺が膨らんだりしぼんだりするのに伴って胸郭も拡がったり戻ったりを繰り返します。
しかし猫背姿勢になると、胸郭は下を向いてしまい拡がりにくくなってしまいます。
結果として肺に空気が入りにくくなり、呼吸機能が低下してしまいます。
通常は猫背姿勢であることだけで日常生活に支障を及ぼすような呼吸機能の低下にはつながりませんが、呼吸器疾患のある方にとっては姿勢に伴う胸郭の動きの差だけでも呼吸のしやすさやしにくさにつながることもあります。

■スポーツパフォーマンス低下
前にも述べたように、猫背姿勢は肩関節を動かすにあたって可動域や筋力発揮の面で不利な状態になります。
よって、野球の投動作など肩関節の動きを必要とするスポーツ競技においては猫背姿勢であることによってパフォーマンス低下につながってしまいます。
また、呼吸機能に対しても猫背姿勢は悪影響を及ぼすため、高い心肺機能を必要とするスポーツ競技においても不利な状態になってしまいます。

■背中の皮下脂肪増大
猫背姿勢で肩甲骨が外転したままの方は、肩甲骨を内側に引き寄せるためにある菱形筋がしっかりと機能していません。
菱形筋を機能させて肩甲骨を動かすことで左右の肩甲骨の間の血流がよくなり脂肪も燃焼されますが、肩甲骨を動かしていないと背中の皮下脂肪も増大してしまいます。

猫背姿勢の治し方

猫背姿勢を治すためのエクササイズをご紹介します。

■ペルビックチルト
猫背姿勢の方は骨盤が後傾している方が多いですが、背骨骨盤の上に乗っているので、骨盤が適した位置にないと正しい姿勢にすることができません。
そこで、まずは骨盤の起こし方を練習します。

1. ある程度の硬さのある椅子に腰かけます。

2. 坐骨(左右のお尻の下に手を敷いたときに触れる骨)がしっかりと座面に当たるように骨盤を起こします(この状態をニュートラルとします)。

3. おへそを後ろに下げるようにしながら骨盤を後傾させ、動かせるいっぱいのところまで動かしたら骨盤を前傾させながらニュートラルの状態に戻します。

普段の座位姿勢でも骨盤がニュートラルな状態が正しい姿勢につながる状態であることを意識してください。

■肩甲骨内転体操
肩甲骨の位置を正しい位置に修正する体操です。

1. 椅子に腰かけて骨盤をニュートラルの状態にしたら、胸を張りながらゆっくりと左右の肩甲骨を内側に寄せ(内転)ます。

2. 背中の内側に緊張を感じたらゆっくりと元の楽な状態に戻し、また肩甲骨を内側に寄せるという動作を繰り返し行います。

腕を後ろに引くばかりで肩甲骨が動いていない場合もありますので、手は膝の上に乗せた状態にして肩甲骨のみの動きを意識しましょう。

■胸椎伸展体操
猫背姿勢の方は胸椎の後弯が強い状態でずっと過ごしているので、胸椎の伸展可動域が小さくなっていることが多々あります。
この体操では、胸椎の伸展可動域を拡大することを目的としています。

1. 椅子に腰かけて首の後ろで手を組みます。

2. 骨盤を起こしながら胸骨が天井方向を向くように胸椎を伸展させます。

3. 楽な姿勢と胸椎を伸展させた姿勢を繰り返し行います。

胸椎を伸展させる際には、頸椎の伸展があまり入らないようにするため、首の後ろで組んだ手でロックすることがポイントです。
また、胸椎伸展の可動域がいっぱいの状態でさらに反らそうとすると、腰椎の伸展が強くなってしまいますので、無理をしないように注意しましょう。

■上体捻り体操
猫背姿勢の方は、胸の前の筋肉(主に大胸筋)を中心に身体の前面の筋肉の伸張性が低下しています。
また、胸郭の動きも硬くなっています。
この体操は、大胸筋や腹斜筋など身体の前面の筋肉の伸張性を高めるとともに胸郭の動きも拡大することを目的とした体操です。

1. 横向きでベッドや床の上に寝て、頭から足までが一直線になるようにします。

2. 上になっている方の脚は股関節、膝関節ともに90度になるように曲げておき、両手は肩の高さで自分の身体の前に伸ばし、両手を重ねるようにします。

3. 肘をしっかりと伸ばしたまま、上半身を天井向きに捻ると同時に上になっていた方の手は反対側の床の上に置き、両腕が一直線になるようにします。

4. 上になっていた方の胸の前の筋肉や腰~肋骨周りがストレッチされているような感覚を感じながら数秒静止し、また元の横向きの状態に戻るという動きを繰り返します。

■ラットプルダウン
猫背を修正するために必要な背部の筋肉を総合的に使った体操です。
アスリートの筋力トレーニングとしてもこの種目は行われるため、ジムなどにある筋トレ器具を使って行うこともできますが、今回は自宅でも行えるようにタオルを使用して行います。

1. 椅子に腰かけたら骨盤をニュートラルの状態まで起こします。

2. フェイスタオルの両端を両手で持ち、バンザイをします。

3. 肩甲骨の内側の筋肉で肩甲骨を下内側に引き寄せる意識をしながら頭の後ろにタオルを下ろすように腕を引きます。

4. バンザイと腕を引く動作を繰り返し行います。

今回は多くの方の悩みでもある「猫背姿勢」について、猫背姿勢が健康に与える影響と治し方をご紹介しました。
今回ご紹介した体操は、どれも手軽に自宅で行っていただけるものばかりで運動習慣のない方にもすぐできるものになっていますので、是非取り入れていただき、ご自身の姿勢修正に一歩踏み出していただきたいと思います。

■プロフィール
著者:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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