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「手術を決断する前に! 腰部脊柱管狭窄症の治療法と自分でできる対処法」

2018-05-22

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腰痛や下肢痛、しびれを伴う疾患に悩む方は多くその原因は様々ですが、その中でも特に中高年に多いのが「腰部脊柱管狭窄症」です。
整形外科を受診するとこの診断名が告げられることは多くありますが、それに対してどんな治療法があるか、また自分でどのように対処すれば症状が緩和するのかといったことはなかなか説明されません。
そこで今回は、腰部脊柱管狭窄症とはどのような疾患なのか、またどのような治療法があるのか、自分でもできる対処法にはどんなものがあるのかということをわかりやすくご説明します。

腰部脊柱管狭窄症とは?

人間の身体の中心は首から腰にかけて背骨が積み木のように積み重なっており、これをまとめて「脊柱」と言います。
一つひとつの背骨は本体部分(椎体)とその後ろ側にリング状になった部分があり、そのリング状の部分が連なって「脊柱管」というトンネルを作っています。
その脊柱管の中を通っているのが「脊髄」であり、手足につながる運動神経や感覚神経が脳から脊髄を通って手足に枝分かれしていきます。
脊柱管は、椎体、脊椎と脊椎の間にある椎間板、脊柱を連結するための黄色靭帯といった組織で囲まれており、加齢や腰への過度の負担で黄色靭帯が肥厚したり、椎間板が変形すると脊柱管が狭くなってしまいます。脊柱管が狭くなると脊髄の通り道が狭くなり、神経を圧迫してしまいます。
これによって腰背部や下肢になんらかの症状がでるものを腰部脊柱管狭窄症といいます。

腰部脊柱管狭窄症の症状

腰部脊柱管狭窄症の主な症状をまとめてご紹介します。

・腰背部の痛み
腰部脊柱管狭窄症により、神経が圧迫された部分では神経の炎症が起きます。
その部位に痛みが生じるため、腰背部に痛みを伴います。
ただし、ぎっくり腰や腰椎椎間板ヘルニアに比べると、腰背部の痛み自体は強くないことが多いのも特徴です。

・下肢の痛みやしびれ
腰背部で神経を圧迫すると、そこから枝分かれしていく下肢の神経が圧迫されるため、下肢に神経痛やしびれがでます。
これらの症状は寝ているときや座っているときに比べ、立位や歩行が続くときにでやすい傾向があります。
腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状として「間欠性跛行」があります。
これは、歩いていると下肢の痛みやしびれが強まり歩けなくなるが、しゃがみこんでしばらく休むと症状が緩和し、また歩き出してしばらくすると症状が出てくるというものです。

・下肢の筋力低下や感覚低下
下肢へ続く神経が圧迫されると、下肢の運動神経や感覚神経も阻害されます。
つま先があがりにくい、太ももやふくらはぎに力が入らないといった筋力低下の症状や足の裏や太ももの感覚が鈍いといったような症状がでます。

・排尿・排便障害
腰部脊柱管狭窄症の中でも重篤な症状に、排尿・排便障害があります。
尿や便が出ている感覚がわからなかったり、尿が出にくい、尿漏れが起きるということがあります。

腰部脊柱管狭窄症の治療法

腰部脊柱管狭窄症の治療法には大きく分けて手術療法と保存療法があります。

・手術療法
腰部を切開、または内視鏡下にて脊柱管を拡げ、神経の圧迫を取り除くような手術を行います。
上記の症状が強く日常生活に支障がある場合、保存療法を続けても改善が見られずむしろ悪化していくような場合に検討されます。

・保存療法
手術を行わずに、症状を緩和させる治療法をまとめて保存療法といいます。
保存療法には色々な治療法がありますのでご紹介します。

1. 薬物療法:痛み止めの薬や神経や血液の流れを良くする薬によって症状の緩和を図ります。
2. 神経ブロック療法:腰部に直接神経ブロックの注射をすることで、神経の痛みを緩和します。
3. 装具療法:コルセットなどの装具を着用することで腰部への負担を減らします。
4. 牽引療法:腰部を牽引して圧迫ストレスを軽減することで、神経の通り道を拡げます。
5. 温熱療法:ホットパックなどで腰部を温めることで血流を改善し、神経の流れをよくします。
6. 運動療法:体幹筋力を鍛えることでコルセットと同じ力をつけ、腰部への負担を減らします。また、ストレッチなどで腰部や下肢の筋緊張を緩和させることで神経の圧迫を減らして神経の流れをよくします。

自宅でできる腰部脊柱管狭窄症の対処法

腰部脊柱管狭窄症の治療において自分で行うことができるのが、運動療法です。
上に述べたほかの保存療法と併用して日々行うことで治療効果も高まりますので具体的なやり方をご紹介します。

・腰背部の筋緊張緩和

腰背部の筋緊張を緩和することで神経の圧迫を軽減することができます。
筋緊張の緩和にはストレッチやマッサージなどの方法がありますが、ここでは自分で行いやすいストレッチを3種類ご紹介します。

1. 仰向けに寝て両膝を手で抱えて腰を丸める。
2. 仰向けに寝て両手を横に広げる。片方の股関節、膝関節を曲げ身体の反対側に持ってくる。腰が捻られるような体勢で保持する。
3. 直立からゆっくりと身体を前屈し、太ももの裏や腰背部に伸張感を感じたところで保持する。

ストレッチはいずれも筋肉が伸張された肢位で20~30秒保持すると効果的です。 ゆっくりと呼吸を続け、息を止めないようにしてください。
万が一、ストレッチの肢位をとることで症状が出現する場合は、無理をせず、理学療法士などの専門家に相談してから行ってください。

・体幹筋力を強化する
腹筋や背筋といった体幹筋力を強化することで自前のコルセットを装着しているようになり、腰部を支える力が増して負担が軽減されます。
コルセットと同じ役割を果たすのが「腹横筋」という筋肉です。
腹横筋を鍛える基本的なトレーニングとして「腹式呼吸」をご紹介します。

1. 両膝を立てて仰向けに寝て、お腹の上に両手を添えます。
2. 3秒程度かけてゆっくり息を吸い込みながらお腹を膨らませます。
3. 10秒程度かけてさらにゆっくり息を吐きながらお腹をへこませていきます。

肩に力が入らないように注意しながらこの呼吸を繰り返し行います。
始めはご紹介したように横になって行いますが、腹式呼吸で腹圧が高まる感覚がつかめてきたら座位や立位などいつでもどこでも行えますので、気づいたときにこまめに行うようにするとより効果的です。

・お尻の筋力を強化する

歩行や立ち座りの動作などでお尻の筋肉を使いますが、お尻の筋力が低下していると同じような働きをする腰背部の筋肉に負担がかかり、腰部脊柱管狭窄症の症状がでやすくなってしまいます。
よって、お尻の筋肉を鍛えておくことも大切になりますのでご紹介します。

1. 両膝を立てて仰向けに寝ます。
2. 肛門をしめるようにしながらゆっくりとお尻を持ち上げて3秒保持します。
3. ゆっくりとお尻を下ろします。
お尻を持ち上げて保持する姿勢は、身体を横から見た時に肩から膝までが一直線になるようにするのが理想的です。
無理をしすぎて腰が反ってしまうと逆効果になってしまうので、腰が反らないように腹筋にも軽く力を入れておきましょう。

・症状がでたらしゃがみこむ
腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状として立位や歩行が続くと下肢の痛みやしびれがでてくる「間欠性跛行」をご紹介しました。
間欠性跛行が出現したときには、速やかにしゃがみこみ腰を丸めるようにしましょう。
しゃがむことで概ね症状が緩和し、再び活動できるようになります。
それを知っていて症状がでたときに早めに対処すると、苦痛の程度も活動性も変わってきます。

おわりに

今回は、腰部脊柱管狭窄症の症状や治療法、自分で行うことのできる対処法についてご紹介しました。
治療法の選択は専門家である整形外科医とよく相談する必要がありますが、自分でも病態や治療法をある程度の理解することで納得できる経過をたどれるのではないかと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。


著者:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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