疲労回復

ふくらはぎが痛いのはなぜ? その原因と対処法

2018-06-01

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ふくらはぎの痛みは、内臓の痛みなどに比べて安易に考えられがちで、そのうち治るだろうと放置している方も多いのではないでしょうか? しかし、一口にふくらはぎの痛みといっても原因は様々で、放置しておくと重症化してしまう疾患もあります。そこで今回は、ふくらはぎの痛みについて原因とそれぞれの症状の違い、対処法について詳しくご説明します。

ふくらはぎの痛みの原因は?

ふくらはぎに痛みがでた場合に考えられる主な原因をご紹介します。

・筋肉痛や肉離れ
まず考えられるのは、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋の損傷による痛みです。
具体的には、日常あまりしていないような運動や重労働など過度な負担がふくらはぎにかかった際に起きる「筋肉痛(専門的には遅発性筋痛)」や「肉離れ(専門的には筋断裂や筋損傷)」です。

「筋肉痛」は、運動中には痛みを感じないほどの筋線維の微細な断裂が起こり、運動後数時間から数日中に筋肉に痛みが生じます。
その後は、日常生活を送っている間に数日から1週間以内で症状が消失することが一般的です。

一方の「肉離れ」は筋肉痛よりも筋線維の断裂程度が大きく、断裂した瞬間になんらかの痛みを生じることが一般的です。
損傷後すぐに痛みが生じ、軽度なものでは特に日常生活に支障をきたすことなく数週間以内に痛みが消失することもありますが、重度のものでは痛みにより足首を動かしたり足をつくことができず、治療を施した上で治癒までに数ヵ月かかることもあります。

・血行不良
ふくらはぎ自体が痛みの原因となっているものとして「血行不良」もあります。 ふくらはぎは身体の中でも血液を送り出す心臓から遠く、末梢になっているため血流が滞ると早い段階でその影響を受けてしまいます。
冬の寒い日や夏の冷房の効きすぎた部屋などで膝下が露出して冷えてしまったときや、過度の運動によってふくらはぎに疲労がたまっているとき、長時間足を下ろして座りっぱなしの姿勢が続いているときなど、ふくらはぎの血流が悪くなると痛みが生じることがあります。

・坐骨神経痛
ふくらはぎ自体には問題がないのにふくらはぎに痛みを生じるものとして多いのが「坐骨神経痛」です。
「坐骨神経」とは、背骨を通っている脊髄から枝分かれして腰部、臀部、太ももの裏、ふくらはぎという順番に通過している神経です。
ふくらはぎは坐骨神経のなかでも末端に近い部分になるため、腰部、臀部、太ももの裏などどの部分で神経障害が起こってもそこから先であるふくらはぎに痛みが生じることがあります。
具体的に、腰部であれば「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」により坐骨神経を圧迫したり、臀部や太ももの裏の筋肉の過緊張によって坐骨神経の通り道を圧迫することがあります。
坐骨神経痛によるふくらはぎの痛みであれば、その原因となっている部位を明らかにし、解消しなければ症状が軽快しません。

・閉塞性動脈硬化症
「閉塞性動脈硬化症」は、60代以上の男性に多い疾患です。
動脈が硬化したり血管壁に脂がついて血管内が細くなることで血液の流れが悪くなり、ふくらはぎの痛みが生じる疾患です。
坐骨神経痛(主に腰部脊柱管狭窄症)と症状が似ているため、病院を受診して原因を特定することが必要になります。

ふくらはぎの痛みの見分け方

同じふくらはぎの痛みでも原因によって症状の出方に違いがありますのでご紹介します。

・筋肉痛や肉離れ
下腿三頭筋の筋肉痛や肉離れの場合、下腿三頭筋が収縮する際に負担がかかるため痛みを生じます。つま先立ちやジャンプ、ジョギングによって痛みがある場合は下腿三頭筋の損傷を考えてよいでしょう。
また、下腿三頭筋のストレッチ肢位をとることでも負担がかかりますので、ストレッチを行い、反対側とは明らかに違う痛みや伸張感がある場合も下腿三頭筋に問題があると考えられます。

・血行不良
血行不良の場合、ふくらはぎが冷えたり、歩きすぎや過度の運動によって疲労がたまっているときなどに症状が現れます。
下腿三頭筋の問題や坐骨神経痛のように足首を動かしたり何かの動作を行ったり、姿勢を変えるということで痛みが変化することはありません。

・坐骨神経痛
坐骨神経痛の場合、神経を圧迫している根源がどこにあるのかによって症状が少しずつ異なってきますが、特徴として姿勢による影響が大きいということがあります。

「腰椎椎間板ヘルニア」の場合、腰に上半身の重さがかかることで椎間板がつぶされて神経を圧迫しやすくなります。
立っていることでも負担はかかりますが、最も症状がでやすいのが座位になります。
また、腰を丸めることでも椎間板が後方に押し出されて神経症状がでやすくなりますので、靴下を履こうとしたときや前かがみになったときにふくらはぎに痛みが出るという方は腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。

「腰部脊柱管狭窄症」の場合、腰を反らすことによって脊柱管が狭くなってしまうため、症状がでやすくなります。また、特徴的な症状として「間欠性跛行」があり、歩行を続けていると徐々に下肢の痛みが出現して歩くことが困難になります。
腰を丸めるようにしゃがみこむことで神経の通り道を拡げることができ、しばらくその姿勢をとっているとまた歩くことが可能になります。

臀部(梨状筋)や太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)の過緊張によってふくらはぎに痛みが生じている場合には、原因となっている筋肉が収縮したりストレッチされること、または圧迫されることで症状が生じます。
腰椎椎間板ヘルニアの症状と似ているので鑑別が難しいこともありますが、前かがみになると梨状筋やハムストリングスがストレッチされて症状がでたり、座位で臀部や太ももの裏が圧迫されることで症状がでることもあります。

・閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症の症状は、安静時における足の冷えやしびれ、痛み、また腰部脊柱管狭窄症と同じ間欠性跛行です。
特に間欠性跛行においては階段の昇りのように下肢の筋力を大きく使い、下肢の筋肉への血流がより必要なときに症状が強くでます。こちらも数分間休憩すると大抵の症状はおさまります。
また、閉塞性動脈硬化症が重症化すると、末梢の壊死や潰瘍、黒変が起こってしまうことも特徴の一つです。

ふくらはぎの痛みの対処法

それぞれの原因によって痛みの対処法も異なるのでご説明します。

・筋肉痛や肉離れ
筋肉痛の場合、基本的には自然に治癒してきます。
ただし、早く筋肉痛を治したい場合には血流を促すことで治癒過程を早めることができます。
心地よい程度の温度のお湯に浸かったり、強い痛みがでない程度のストレッチやマッサージをしたり、ゆっくりとウォーキングをすることで血流が促されます。

肉離れの場合は、筋肉痛よりも程度のひどい筋損傷になりますので、受傷後すぐは炎症を落ち着かせることが必要です。
痛みのでることはなるべく控えて安静にしておくことをはじめ、氷で患部を冷やすアイシングや弾性包帯などで患部を圧迫すること、足を高くあげておくことで損傷部位からの出血を抑えることができます。
また受傷後数日が経ち、炎症が落ち着いてきたら受傷した筋肉が治癒過程で硬くなってしまわないようにストレッチやマッサージを少しずつ行い、日にちの経過とともに過度な負担にならない範囲で足首を動かしたり歩行を行ったりしていきます。

・血行不良
血行不良の場合、血流を促すことが症状の改善につながります。
お風呂にしっかりと浸かったり、レッグウォーマーやサポーターを使用して患部を温めます。
また、疲労の場合がたまっている場合は特に、患部のマッサージやストレッチも効果的です。

・坐骨神経痛
坐骨神経痛の場合、原因となっている部位によって対処法も異なりますが、共通して言えることは坐骨神経の通り道を圧迫しないようにすることが目標なので、腰や臀部、太ももの裏、ふくらはぎといった部位の筋肉を柔らかくするためのストレッチが行われます。
ただし、ストレッチの肢位をとること自体で症状がでてしまう場合には逆効果になってしまうのでマッサージなど他の方法を検討します。
また、腰が原因となっている坐骨神経痛の場合には、腰への負担を軽減するために腹筋や背筋を中心とした体幹筋力のトレーニングも行います。
そしてどのタイプの坐骨神経痛であっても症状がでるような姿勢や行動を続けていると症状は改善しないので、症状がでやすいと自身で把握した姿勢や行動は極力避けるようにします。
原因が腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症にあり、これらの対処を行っても症状が軽快せず、日常生活に大きな支障をもたらす場合には外科的手術によって神経を圧迫している部位を取り除いたり、神経の通り道を拡げる必要があります。

・閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症は血行障害の一種なので、前に述べた入浴やレッグウォーマーでの保温、マッサージやストレッチでの血流促進が効果的です。
加えて閉塞性動脈硬化症の場合、病院での治療に運動療法も取り入れられています。
症状がでる一歩手前まで歩いては休憩することを繰り返し行うことで、血管が細くなって血流が滞っている場所と別の血管が発達し、血流が改善するとされています。
また、血流を改善するための内服薬を使用することも多くみられます。
それらの保存療法(手術をしない療法)でも症状が軽快しない場合には、外科的手術によって血管の迂回路を形成したり、血管の内部を拡張したりする措置を施すことがあります。

おわりに

今回は、ふくらはぎの痛みについて原因とそれぞれの対処法をご説明しました。 自身で痛みの原因を特定するという点で参考にしていただければと思いますが、なかなか自身では特定しにくく似通った症状もありますので、症状が軽快しないときや自身ではっきりと特定できないときは早めに整形外科に受診することをおすすめします。


著者:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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