伝統工芸

メノウの天然石を細やかに加工した、世界に誇る宝石工芸 若狭めのう細工の魅力をご紹介

2018-07-03

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古くから七宝の一つに数えられ、貴石のルーツともいわれているメノウ。その硬くて美しいメノウに驚くほど細かく彫刻を加え、研磨作業を続けることで出来上がる「若狭めのう細工」は、福井県小浜市の伝統工芸品のひとつです。今回は、若狭めのう細工の歴史や魅力について迫っていきたいと思います。

若狭めのう細工の起源は奈良時代から

若狭めのう細工の起源は奈良時代にまで遡ります。はるか昔、若狭彦神社、若狭姫神社の建立にあたって、王仁族(百済から渡ってきた古代の渡来人)が神宝を作り祭祀したのち、社前に住みついて玉(ぎょく)作りを生業としたことがそもそもルーツだったと言われています。その後江戸時代、享保年間に若狭の高山喜兵衛という人物が、メノウの原石を適温で焼くと美しい赤色に変化することを発見したことで、焼き入れの技術が取り入れられるようになったそうです。

さらに明治時代になり、中川清助という人物がメノウにいろいろな細工を施す工芸彫刻法を創ることに成功すると、各地の美術博覧会に出展し、若狭めのう細工の素晴らしさを紹介しはじめます。こういった普及活動により若狭めのう細工の評判は一気に上がり、名声を集めることとなりました。

しかし戦後、北海道の原石枯渇や物品税導入により、1952年に協同組合を立ち上げることで産地の見直しが行われることとなります。また、戦前は100軒以上あった工房も、時代の流れとともに若狭めのう細工の従事者が年々減少し、現在では職人がひとりしかいない状況だそうです。そんな逆境の中でも、地元では歴史ある美しい若狭めのう細工を後世に伝えられるようさまざまな努力が続けられています。

優雅な色調と繊細な彫刻が施された唯一無二の宝石工芸

若狭めのう細工は昭和51年に通商産業大臣により国指定の伝統工芸品に指定されています。非常に硬い石であるメノウを砕き、思い思いに彫刻を施していく技法は、厳しい修行の中で生まれるものです。

若狭めのう細工として作品を生み出すには、まず原石を調べることから始めるそうです。色や模様を調べ、どのような細工に適しているかを判断するのです。細工の行き先が決まったら、原石を適切な大きさに切断し、美しい色を出すために酸化させたのち焼き入れを行います。その後は原石を細工しやすいように切断し、形を整えるまでに約12時間、原石を削って形を作るのに約16時間、そしてメノウならではの透明感ある美しさに仕上げるための磨き作業に約8時間かけて、ひとつの作品ができあがります。

メノウならではの優雅な色調が楽しめる

若狭めのう細工は、置物やアクセサリーをはじめ、箸置きやお猪口など様々な装具品に仕上げられています。メノウならではの優雅な色調と、硬い石に彫刻を加えたとは思えないほど繊細で細やかな細工は若狭めのう細工ならではの魅力です。ぜひ実際に手に取ってその美しさを堪能してみてください。

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