伝統工芸

「こけし三大コンクール」も!こけしの歴史と種類

2018-08-01

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日本には様々な伝統的工芸品がありますが、皿や茶わんなどの日用品が多いなか、「お土産品」「おもちゃ」として有名なのが「こけし」です。

実は非常に歴史がある工芸品でもあり、現在では様々な地域で作られている「こけし」。ここではそんな「こけし」について紹介していきたいと思います。

1、こけしの歴史

江戸時代ごろから土産物として有名になっていった「こけし」ですが、実は歴史はずっと古く、約1300年前の奈良時代にまでさかのぼります。

称徳天皇の治世に四種類の陀羅尼経を納めるための入れ物が必要になりました。そのときに作られたのが100万個にも及ぶ塔婆です。100万個あったことから「百万塔」とも呼ばれたこれらが日本最古の「こけし」であるとされています。

その後、平安時代に入って清和天皇の第一皇子である惟喬親王が木地師たちを集めて、ロクロ焼きの技術を指導しました。そこで修行して技術を学んだ木地師たちは日本各地に散っていき、それぞれに木地師を中心とする集落をつくっていきました。

彼らはお盆や茶わんなどの日用品を作る傍らで子どもたちへは木製玩具を作りました。男子には「独楽」、女子には「こけし」を作ったのです。

現在のようなこけしが形作られたのは江戸時代中期ごろの享保年間と考えられています。江戸時代後期には東北地方の温泉地の土産物として販売されるようになっていきました。

明治時代ごろには人気の玩具として扱われましたが、大正時代に入ると輸入玩具などに押されてだんだんと人気は下降していきます。

しかし昭和に入ってまた勢いは盛り返し、「伝統こけし」として認められるようになるとその地位を確立させていきました。

現在伝統こけしは大きく分けると11の系統に分かれます。そのうち宮城県には「鳴子」「作並」「遠刈田」「弥治郎」「肘折」の5系統があります。その5系統は「宮城伝統こけし」として国の伝統的工芸品として認定されており、「鳴子木地玩具協同組合」「仙台地区伝統こけし工人組合」「弥治郎こけし業協同組合」「遠刈田伝統こけし木地玩具業協同組合」という四地区の協同組合からなる「宮城伝統こけし連合会」が運営管理を行っています。

2、こけしの種類

こけしは大きく分類すると、昔ながらの様式を守っている「伝統こけし」とそこから派生した「新型こけし」の二つに分かれます。新型こけしはさらに工芸的な「創作こけし」と安価で販売されている「こけし人形」とに分かれていきます。

伝統こけしはそれぞれの地域によって材料や作られ方に差があります。それらの中でも特に知名度が高いのは「鳴子こけし」です。もともとは女子の玩具として使われていたこけしですので、こけしの胴回りも子どもの手に収まるような太さをしていました。そのためにこけし単独で立たせることができないものも多くありました。

しかし鳴子のこけしはかなり早い段階から「飾る」ことを念頭に置いた作られ方がしていることがわかります。胴回りが太く安定感があるために独立して立たせることも容易です。また首を回すと「きゅっ」という音が出るのも特徴で、その安定感のある胴には菊の花が描かれることが多くなっています。

同じ宮城伝統こけしでもそれぞれに特徴が分かれています。

「作並こけし」はこけしの頭部に赤い輪の飾りを入れるのが一般的となっており、胴には鳴子と同じく菊の花がかかれます。

「遠刈田こけし」は、人形の頭部に赤い放射線状の飾りを入れて、さらに額から両ほほに向かって八の字に赤い飾りを描きます。胴は菊や梅の花が描かれることが多くなっています。

「弥治郎こけし」は、頭部に帽子のように色のついた輪を描き、シンプルな仕上がりにまとめています。

「肘折こけし」は頭部は赤い放射線か黒髪にされており、胴は菊の花や石竹などの模様が入っています。

その他の系統でもそれぞれに特色があるため、自分の好みにあったこけしを選ぶことができるのもこけしの特徴と言えます。

3、こけしの保存の仕方

こけしは木製の工芸品ですので保存の仕方も重要になってきます。まず特に湿気が多いところや乾燥しすぎるところでは割れたり変形したりする恐れがあります。

また直射日光や家庭の蛍光灯の近くにあると退色が進んでいきます。直射日光は退色するだけでなく木の傷みが激しくなっていきますので劣化も進んでいきます。密閉した場所で湿気があったりするとカビが生えたりもしますので、できるだけ直射日光の当たらない風通しの良い場所に置くのが良いでしょう。

4、こけしの今

近年ではやはり宮城県を中心とする東北地方がメインと考えられていますが、京都や群馬をはじめ日本各地で「伝統こけし」「新型こけし」が作られています。

新型こけしの中には、現在流行っているマンガやアニメのキャラクターをこけし風にアレンジした「キャラクターこけし」が作られてもいますし、若い職人が強い独創性を持って新しいこけしを作る「創作こけし」も増えてきています。

その一方で伝統こけしは古くからその芸術性を評価するものとして「こけし三大コンクール」が開かれてきました。

こけし三大コンクールとは、

1.全日本こけしコンクール
宮城県白石市でゴールデンウィークに開催されるもので最高位に内閣総理大臣賞が与えられる権威のあるコンクールです。

2.全国こけし祭り
宮城県大崎市で9月の上旬に開かれるものです。もっとも古くから開催されている権威のあるコンクールで、これが開かれている間は鳴子温泉郷で多数のこけしの被り物をした行列がパレードをすることでも有名です。最高位には文部科学大臣賞が与えられます。

3.みちのくこけしまつり
毎年秋ごろに山形県山形市で開催されるもので、最高位には内閣総理大臣賞が与えられます。

現在でも飾り物として珍重されるほか、こけしを加工して印鑑にしたものなどもあります。また自衛隊の部隊章や東北自動車道の県境標識に使用されるなど幅広くそのデザイン性が利用されています。

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