伝統工芸

日本を代表する色絵陶磁器「九谷焼」

2018-08-02

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伝統的工芸品の中でも比較的多い焼き物ですが、その中でも特に「上絵付け」が最高の芸術であると評価されているのが「九谷焼」です。

ここでは石川県南部の金沢市、小松市、加賀市などで生産されている日本を代表する色絵陶磁器と呼ばれている九谷焼について紹介していきたいと思います。

1、九谷焼の歴史

九谷焼は江戸時代の初期1650年前後に始まったと言われています。加賀藩の支藩であった大聖寺藩の初代藩主である前田利治が九谷で陶石が発見されたことから思いついたとされています。

早速藩士で錬金の任に当たっていた後藤才次郎を肥前国有田で製陶の修行に向かわせ、技能を修得させました。後藤が帰藩すると現在の加賀市山中温泉九谷町あたりに窯を作らせて製造を始めました。

日本の色絵磁器を代表する美しさと力強い様式美が高く評価される作品が作られましたが、わずか50年ほどで突然窯が閉じられてしまいます。これについてははっきりとした理由はわかっていません。このわずかの期間に作られた焼き物は九谷焼の中でも「古九谷」と呼ばれ、現在では非常に高額で売買がされることがあります。

ただし長年研究者の間ではこれらの古九谷と呼ばれる焼き物は肥前国有田で焼かれたものであるとされてきました。実際に江戸(東京)にあった大聖寺藩の藩邸跡から発見された陶磁器を科学的に解析した結果、成分が「有田」のものと「九谷」のものの両方が検出されました。しかしその後、九谷の遺跡からも当時の物と思われる陶磁器片が発見されており、さらなる研究が進められています。話を難解にしている理由の一つとして九谷焼がそもそも有田で技能を学んだ後藤才次郎によってはじめられたことから技法が似ているということもあります。

江戸時代の中期以降になると金沢の春日山窯をはじめ窯が次々と起こされていきます。そして明治時代になると九谷焼中興の祖と呼ばれる九谷庄三や斎田道開によって九谷焼はますます活発に生産されるようになっていきます。

特に九谷庄三が能登で能登呉須と呼ばれる顔料を発見して九谷焼に取り入れたことから開発した彩色金欄手はこれ以降の九谷焼に多く使用されるようになっていきます。

このころから九谷焼は海外へも輸出されるようになっていきます。同時に西洋の技法も取り入れるようになっていき、型を石膏で作って大量生産を可能としたころからの九谷焼は「新九谷」と呼ばれることもあります。

2、九谷焼の魅力とは

九谷焼は陶磁器のうち陶器なのか磁器なのかについて議論されることがありますが、結論から言えば「両方とも九谷焼」です。九谷で上絵付けをしたものは基本的には「九谷焼」なのです。ただし陶器と磁器では特徴が違いますので、その性質を知って自分が望むものを手に入れるようにしましょう。
陶器は原料が陶土で温かみがあり、厚みがあって重たくなっています。指ではじくても鈍い音がするだけです。

磁器は原料が陶石で白っぽいものです。軽くて薄くて丈夫です。指ではじくと高い音が響きます。

また九谷焼の魅力は何といっても色絵付けです。古くは「緑、青、紺、紫」を使用した鮮やかな青手古九谷のころから色彩が豊かでした。現在一般的には「赤、黄、緑、紺、紫」の5つの色を使用した「五彩手」と、その独特な絵図柄が高く評価されています。

その図柄は古九谷狩野派の絵師である久隅守景の指導によって描かれるようになったとされています。「豊かな色彩」「完成された表現力」「大胆で斬新な構図」「自由な線」「豪快さと味わい」が絶妙なバランスで成り立っているとされています。

さらに明治時代には京都の画家である青木木米の指導が加わり、さらに色彩豊かで情緒を感じる絵図柄へと変化していきます。この絵図柄が九谷焼を日本を代表する色絵付けであると決定づけているのです。

3、九谷焼ができるまで

九谷焼ができるまでの流れを見ていきます。

採取・・・まず石場で陶石を採取します。
粉砕・・・そしてその陶石を細かく砕いていきます。
水簸・・・細かく砕いた陶石を水に浸すことでゴミや鉄分などの不純物を取り除いていきます。
坏土・・・そしてその後、余分な水分を除いていきますが、ここで水分が多すぎたり少なすぎたりすると焼いたときに割れたり変形したりする原因となるので注意が必要です。
土揉み・・・土をよく揉むことでゴミを取り除いたり空気を押し出したりします。ここでしっかりと揉んでおくと成型しやすくなります。
形成・・・円形のものはロクロで、それ以外のものは手びねりで形成していきます。
乾燥・・・仕上げを行いながら不必要な部分を削ったりして乾燥させていきます。
素焼き・・・800℃前後で素焼きします。8時間ほど焼くと肌色になります。
下絵・・・コバルト成分の呉須で絵を描いていきます。
釉薬・・・釉薬を使用していきます。白釉を使用すると透明になって陶磁器を覆います。
本焼き・・・1300℃前後の高熱で15時間ほど焼きます。
上絵付け・・・呉須で線を描いたり、五彩の上絵具で彩色していきます。
上絵窯・・・800〜1000℃で焼きます。
金窯・・・金彩や銀彩を行って最後に金窯で400℃で焼きます。

4、現在の九谷焼

現在でも九谷焼は安価な日用品から高価な工芸品まで幅広く存在しています。特に高価なものは宮内庁が贈答品として使用することもあり、海外の王室などの祝い事への贈答品としても利用されています。その独特の色使いには熱心なファンも多く、海外でも高く評価されている工芸品でもあります。

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