代謝

便秘とは?その原因となるものについて

関連キーワード

便秘と聞くと、男性より女性に多いと思われるのではないでしょうか?実際、便秘には性別差があり、科学的根拠も考えられています。
女性の場合、排便に必要な括約筋や腹筋が男性に比べて弱いこと、気恥ずかしさなどの理由から排便を我慢してしまい、排便リズムが崩れてしまうこと、骨盤の骨格が男性より広く、腸が下垂し動きが弱くなりやすい、女性ホルモンの働きなどの理由が挙げることができます。

今回は、便秘の原因についてお話していきたいと思います。

スポンサー

便秘の定義

まず、便秘とはどのような定義づけがされているのか、調べていきましょう。便秘は主に消化管に何らかの原因があり起こるものです。そのため、もし便秘となってしまった場合、受診する病院の科は、消化器内科・外科のどちらかに受診するのが妥当と言えます。

日本消化器学会が提唱している便秘とは、「本来体外に排出すべき便を、十分量かつ快適に排出できない状態」という定義がされています。しかし、この便秘の定義は世界各国の学会により考え方が異なるため、世界的で明確な定義がないとされています。

便秘の診断基準

便秘の診断基準として、診察や検査を受けるものとして、「下腹部膨満感」「排ガス量」「排便回数」「残便感」「排便時の肛門の痛み」「便量」「便の状態」といったものを複合して考察します。腹部の痛みや膨満感により、画像診断が行われると、より確実な診断がつくことになります。

スポンサー

便秘の主な原因

主な原因には様々あります。

・消化管自体に全く異常がない状態なのに腸蠕動の機能低下を起こし、便回数や量が減少してしまう。
・消化管そのものになんらかの病変がある。
・生活習慣の乱れやストレス。
・薬物などの中毒によるもの。

上記のように原因は多岐に渡ります。消化管以外にも、神経系疾患であるパーキンソン病、多発性硬化症、ヒルシュスプルング病などが原因である場合もありますし、強皮症、アミロイドーシス、筋萎縮性側索硬化症などの筋異常性疾患でも便秘が現れます。

その他、内分泌疾患、代謝性疾患である糖尿病なども原因となります。消化管そのものの病変では、イレウス、憩室炎、腸ヘルニア、腫瘍、腸重積、腸への寄生虫などが便秘の原因となり得ます。  薬剤が原因で起こる便秘には、咳止めによる便秘がよく知られているのではないでしょうか。咳止めの主作用には、鎮咳作用が挙げられていますが、副作用には便秘が挙げられています。まれにこの副作用を利用した下痢の治療が行われる場合もあり、その判断は診察した主治医により決められます。市販の風邪薬にも便秘を起こす薬剤成分が含まれていることがありますので、詳しくは薬剤師に確認するといいでしょう。

また便秘を起こす薬剤には、鎮痛剤全般、高血圧治療薬、睡眠薬などもあるため、もし治療でこれらの内服を行っている場合は、副作用により便秘が起こっていることも考え、医師に相談していくといいでしょう。

スポンサー

主な症状

上記「便秘の診断基準」に症状を挙げましたが、ここでは腸に何らかの疾患がある場合の症状を挙げていきます。

もし腸の閉塞性疾患が原因となっている場合、嘔気、嘔吐、嘔吐物に便臭がある、血便、食欲不振、めまい、腹痛、時には背部まで痛みが伴う場合があります。これらの症状がみられた場合、腸の疾患が疑われ、レントゲン・CT・MRIによる画像診断と内視鏡検査が行われる場合があります。
しかし、これらの検査により病状が悪化してしまうほど切迫した状態にあると考えられた場合は、緊急的に手術治療となる場合もあります。

便秘の治療方法

腸に何らかの疾患がないと判断されたときに行われる治療方法をお話していきます。第一選択として行われるのは、緩下剤の内服です。弱めの下剤と整腸作用のある乳酸菌製剤が併用される場合もあります。それでも効果が得られない場合、浣腸を行うこととなります。

浣腸は、グリセリンを直接直腸に流し込むことにより、直腸を刺激し便排泄を促すという治療方法です。刺激が強い分、効果もありますが、同時に危険を伴う治療でもあるため、基本的には専門の医師や看護師による処置を受けることが望ましいと言えます。現在では浣腸薬も市販されており、簡単に入手することができます。しかし、危険を伴う処置であることを薬剤師から説明を受け、理解し、購入し使用するようにしましょう。

まとめ

便秘の定義や診断基準などについてお話してきました。
腸に何らかの疾患がない場合、生活習慣の乱れや、食物繊維不足の食事、運動不足、排便習慣がついていないなどの要因が原因となっていることが多いと考えられます。
便秘が続き、内服薬など思い当たる原因がないのであれば、一度消化器内科を受診して相談してみましょう。そして、腸の健康状態を調べてもらうことが望ましいと考えます。
正常な排便は健康のバロメーターの一つです。健康増進のためにも、排便習慣を整えていきたいですね。

人それぞれ違う便秘の原因

便秘の原因は人それぞれ違います。女性の場合、体の解剖生理学的な理由と、女性ホルモンの作用により便秘になりやすいと言われていますが、毎日お通じがよい人もいます。どのような差があるのか気になるところですよね。

乳幼児の場合でも、便性が緩く、一日に何度も排便がある子どももいれば、便秘傾向であり2~3日に1回しか排便のない子どももいます。乳幼児の場合、腸内細菌がまだ安定していないのと、腹筋や肛門括約筋などの筋力が弱く、大腸の蠕動運動を促す力が弱いことから便秘になる場合があります。

女性の便秘と、乳幼児の便秘の一例を挙げてみましたが、多くの場合、「大腸の蠕動運動が弱く便を貯め込みやすい」「肛門括約筋が弱く直腸に便を貯め込みやすい」「腸内細菌のバランスの乱れ」の3つのどれかに当てはまるように考えられます。なぜこの3つの原因が多いと考えられるのか、1つずつに分けて考察していきましょう。

大腸の蠕動運動が弱い原因

大腸の蠕動運動は、腹筋や足の筋力を補助として使うことにより、効率よく働くようにできています。慢性的な運動不足や、元々の筋力が弱い人の場合、大腸の蠕動運動が弱くなり、便を貯め込みやすい体質となってしまいます。大腸が便を貯め込むことに慣れてしまうと、蠕動運動はさらに弱くなるため、慢性的な便秘になってしまう可能性もあります。

大腸が便を貯め込むことに慣れてしまうと、後から筋力トレーニングをして、筋力をつけたとしてもすぐに改善されません。理由として、「便が硬くなり腸内を移動しにくくなる」「筋力による蠕動運動の補助があっても大腸自体が蠕動運動を弱く保ってしまう」ということが挙げられます。

肛門括約筋が弱い原因

肛門括約筋は意識的にトレーニングすることが可能です。トイレに座るという排便習慣をつけていれば、この問題はほとんどの場合起こらないと考えられます。しかし、排便習慣がなく、外出先で便意を感じた時に、便を我慢することを続けてしまうと、直腸が便を貯め込みやすくなってしまい、便意も感じにくくなってしまいます。その結果、肛門括約筋も働く機会を失い、筋力が低下してしまうということになってしまいます。

乳幼児期から始めるトイレトレーニングは、排便習慣を身に付け、便秘を防ぐという役割も持っています。ただ単にトイレで排泄ができるようにというだけで行うものではないことが分かります。成長の過程で排便習慣をつけることは、便秘を防ぐことにつながり、健康的な生活を送るために重要なものとなってきます。

腸内細菌のバランスが乱れる原因

腸内細菌は食生活や睡眠習慣など、ライフスタイルにより左右される傾向があります。善玉菌と悪玉菌が理想的に混在している状況では、普通便となり、腸内で動きにくくなるということはありません。しかし、偏った食事や睡眠不足になると、悪玉菌が増えてしまい、便を硬くし、臭いを発するようにさせます。

また、ライフスタイルに夜勤やストレスが強い仕事をしている場合、自律神経を乱すことから、適切な腸蠕動を抑制してしまうこと、必要な筋力の働きさえも抑制してしまうことから、さらに便秘に拍車をかけてしまいかねません。

生活リズムを整え、食生活も野菜を取り入れた栄養素をバランスよく食べることで、腸内細菌のバランスを整えることができます。さらに自律神経の乱れも防ぐことができるため、大腸の働きも正常に整えることにつながります。

まとめ

便秘を起こす原因を3つ挙げ、お話してきました。3つの原因を分解して調べていくと、筋力の弱さ、排便習慣がないこと、夜勤などのライフスタイルにより引き起こされる可能性が分かりました。

病気による異常がなくても、これら生活習慣により便秘が引き起こされている可能性が高く、改善するためには、原因となっている生活習慣を一つずつ抽出していくことで、便秘改善への焦点を当てることができます。慢性的な便秘の場合、長い時間をかけて便秘になってしまった可能性があるため、便秘対策を始めてすぐに改善されるということは難しいと考えられますが、乳幼児のトイレトレーニングのように時間をかけて地道に行っていくことで、改善される可能性は十分にあります。

監修:mikkumikupapa
ライセンス:看護師免許(正看護師)
勤務:行政看護師(乳幼児施設)
専門及び経験分野:小児
脳外科、循環器内科外科、呼吸器内科、てんかん、先天性疾患、指定難病、小児がん、児童精神疾患及び発達障害、強度行動障害など。
成人
呼吸器内科、耳鼻科、消化器内科、婦人科、整形外科、救急搬送傷病者の救命治療処置など。

自己紹介:男性看護師として、病棟勤務の経験は15年。専門は小児科領域。特に発達障害を抱える子供が二次的障害を引き起こし、入院治療が必要となってしまったケースへの治療と看護について経験と学びを深めてきました。現在はその経験を活かし、乳幼児に関わる行政看護師として勤務しています。保育園を兼ねた職場であり、日々元気な乳幼児と関わりながら、保護者へ流行りの感染症や予防方法、成長発達に関わることなど多岐に渡る相談を受けています。自身も3姉妹の父であり、1日中元気な子供に囲まれた生活を送っています。

スポンサー

    ▲ページトップ