日本画

今にも動き出しそうな動植物、生命力を描く伊藤若冲の最高傑作「動植綵絵」

2018-12-10

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1716年、京都の青物問屋の長男として生まれた伊藤若冲は、家業から離れ浮世絵師として新たな道を歩み、さまざまな美しい絵を残していきました。中でも1757年頃から約10年の歳月をかけて完成させた「動植綵絵」は、彼の生涯の代表作といってもよい作品です。若冲の「動植綵絵」の秘密を詳しくご紹介します。

繊細で微細な鶴の描写に隠された驚くべき技法

「動植綵絵」の中で鶴と梅の描写が優美な作品に『梅花群鶴図(ばいかぐんかくず)』があります。6羽の鶴が重なり合い、どれがどの体で足なのかと思わせるほど鶴が生き生きと動くさまが描かれています。迫力を感じさせる鶴の描写に、梅の枝が生き物のような動きを見せる見事な作品です。

「梅花群鶴図」(動植綵絵)

また、『梅花群鶴図』の梅の花が鶴の頭と同じくらいの大きさであることも特徴的です。若冲作品の中に2羽の鶴の首の動きがおもしろい作品『竹梅双鶴図』があります。ここでも、『梅花群鶴図』のときと同じ、鶴の背景に梅が描かれています。しかし、この作品の梅の花は小さく脇役のようなやさしい雰囲気を出しています。

若冲の生き生きとした鶴の描写は中国画家の陳伯冲の影響を受けていると考えられています。陳伯冲の『松上双鶴図』と同じ構図で描かれた若冲の『旭日双鶴図』では、鶴の羽の微細な描写表現により美しさが増しています。

若冲は、これまでの鶴と梅の描写から「動植綵絵」の『梅花群鶴図』で梅と鶴のどちらが主役と決めず両方の調和と美しさを出しているようです。

若冲の小禽がおりなす優美な表現をみる

「紅葉小禽図」(動植綵絵)

「動植綵絵」の中には『薔薇小禽図』や『牡丹小禽図』といった画面全体に薔薇や牡丹の花が咲き乱れた作品に小鳥の動作がおもしろい色鮮やかな作品もあります。
中でも若冲の「動植綵絵」終盤(50代)に描かれた作品『紅葉小禽図』では、色が微妙に違う紅葉が散りばめられ、3本の幹の太さが違う枝にオオルリが美しく映えています。ここでも紅葉の葉が大きく描かれていることがわかります。若冲ならではの、緻密で美しい表現により全体の明度が高く、光が差し込む様子までわかります。

若冲作品の中には小禽も数多く描かれています。注目する点は、背景に描かれる花と小鳥の調和が優美で見る人の目を釘付けにすることです。花鳥画に近い「動植綵絵」の中の『桃花小禽図』では、満開の桃の花に白い羽の鳩と青い羽に白いお腹の小鳥が桃の花の中で生き生きとしている様子が描かれています。

躍動感が伝わる若冲の鶏図

「鶏の画家」と呼ばれていた若冲の鶏の絵には躍動感が伝わってきます。『南天雄鶏図』では、背景の白菊に頭上の小鳥、黒い軍鶏の頭上に南天の赤い実と、とさかの赤が美しさと迫力を出していきます。

「南天雄鶏図」(動植綵絵)

『棕櫚雄鶏図(しゅろゆうけいず)』では、白鶏と黒の軍鶏のコントラストが美しさを増し、頸部の長い羽毛が風になびいているようすまで描かれています。さらに、若冲の最高傑作と言われているのが『群鶏図』です。

「群鶏図」(動植綵絵)

さまざまな種類の鶏が重なり合うように描かれています。近くでよく見ないと、どの鶏の足で羽なのかわからないほどですが、雄鶏の美しさが際立っているのはわかります。

しかし、本物はめったに見ることはできませんし、自分の好きな時に見ることはできません。そんな時には、若冲の描写を再現し、自分の部屋に飾ることができる【伊藤若冲『動植綵絵』複製掛軸・額装コレクション】がございます。

自身の部屋の雰囲気に合わせて、掛け軸のタイプも額装のタイプもありますので、その色彩の調和をご自身の手元で確認してみてはいかがでしょうか。



若冲が好んだ白い鳥の荘厳表現

「老松孔雀図」(動植綵絵)

若冲の鳥の絵の中には白い鳥が多く描かれています。空想の鳥である白鳳をはじめ白い孔雀(インドクジャク)の絵は、「動植綵絵」の中でも人気のある作品です。『老松孔雀図』は、南蘋派の画を描く岡岷山(おかみんざん)の『牡丹孔雀図』と同じ図様になります。

若冲は、『牡丹孔雀図』(岡岷山筆)から花弁の陰影や岩、松を明瞭に肉付けし、孔雀の羽の細やかな表現を加えています。これにより若冲の『老松孔雀図』に荘厳さが加わっているようにみえます。『老松白鳳図』では、雄の鳳凰が胴体を曲げ、松の上に立つ荘厳優美な姿があります。

「老松白鳳図」(動植綵絵)

金泥を刷いた上に羽毛の模様を緻密に描き、白の中に赤と緑が鳳凰の表情をより豊かに魅せていきます。鳳凰を上から見つめるような小鳥の動作も印象的な作品です。

若冲の心情を表す月梅の世界

若冲が家業を弟に譲った年に描かれたと言われている作品が「月梅図」です。画面全体に梅の枝が広がり、多くの花を咲かせています。この絵では若冲の孤独な半生を思い返しながらその裏返しのような梅の花を咲かせたかったのではないかとも言われています。

「梅花皓月図」(動植綵絵)

『月梅図』と同じ図様の絵に「動植綵絵」の『梅花皓月図(ばいかこうげつず)』があります。外隈(そとぐま)という外側に色をつけ、輪郭線を描かない技法で満月を描いています。さらに、梅の花を胡粉で一枚一枚描き、花の中央に黄色で花粉を描くという細部までこだわった美しさが見どころの作品です。

若冲の「動植綵絵」の歴史を振り返る

「動植綵絵」は、明治18年に相国寺で若冲八十五回忌の法要の時に展観が行われたことがあります。しかし、明治政府が進める廃仏毀釈により仏教界は困窮に陥っており、「動植綵絵」は皇室に献上されることとなりました。それ以降、「動植綵絵」は、皇室の御物となり、大正期に修理が行われ皇室の保護のもと今日でも現存しています。

本物の「動植綵絵」を見るには期間限定の特別展に足を運ばなければなりません。しかし、【伊藤若冲『動植綵絵』複製掛軸・額装コレクション】をお持ちになれば、自分の手元で鑑賞することができます。お部屋の雰囲気に合わせられるようにと、掛軸に軸装した品、額装に仕立てた品と2通りあります。ぜひ、若冲の代表作「動植綵絵」を手に入れてご自身の部屋に飾って楽しんでみてください。



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