肩甲骨ストレッチのやり方と効果

2018-10-05

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はじめに

肩甲骨は背中にぺったりと張り付いている大きな三角形の骨です。
手足の関節のように曲げたり伸ばしたりといった大きな動きがないため身体の動きにはあまり関与していないように思われている方も多いかもしれませんが、上肢の土台になっており、手や腕を動かすときに肩甲骨の動きがとても重要になります。

そこで今回は、肩甲骨の動きを整えるためのストレッチの方法と効果を詳しくご説明します。

肩甲骨の構造と動き方

肩甲骨とその周りの構造、肩甲骨の動きについてご説明します。

■肩甲骨の構造
肩甲骨は背中に左右一つずつある扁平な骨です。
前面は胸骨(胸の中央にある骨)、側面は肋骨、背面は脊柱で囲まれた胸郭に張り付く形で存在するため、肩甲骨と胸郭をつなぐ筋肉によって体幹部に固定されています。
この肋骨と胸郭で構成される関節を「肩甲胸郭関節」と言います。
また肩甲骨の外側には関節窩があり、上腕骨の骨頭と「肩甲上腕関節」を作っています。

■肩甲骨の動き
肩甲骨は手の動きや体幹の動きに伴って動きます。
腕を挙げてバンザイをするときには左右の肩甲骨がハの字になるように回旋する「上方回旋」、腕を後ろに引くときには反対に肩甲骨の下方が身体の中央に寄るように回旋する「下方回旋」をします。
また、首をすくめるときには肩甲骨がそのまま上方にスライドする「挙上」、肩を下げるときには下方にスライドする「下制」、背中を丸めるときには左右の肩甲骨が外に離れていく「外転」、胸を張るときには肩甲骨同士が内側に寄る「内転」という動きをします。
このように私たちが日常的に行っている動作にともなって肩甲骨はとてもよく動いていますので、肩甲骨の動きが悪くなってしまうと身体全体の動きも悪くなってしまいます。

肩甲骨ストレッチのやり方

肩甲骨の動きをよくするためのストレッチをご紹介します。

■肩甲挙筋ストレッチ
肩甲挙筋は、第1~4頸椎の横突起から肩甲骨の内側上部についている筋肉です。
肩甲骨を引き上げる作用があり、肩こりのときにはこの筋肉の過緊張がだるさや痛みの一因となります。

1. 首を右斜め下に倒し、右手を頭の上に軽く乗せます。

2. 首の左側の筋肉に伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止します。

3. 手を離して頭の位置をゆっくりと元に戻したら左右を逆にして右側の筋肉も伸張します。

頭の上に乗せた手で頭を引っ張るようにすると首の神経を引き伸ばして傷めてしまう可能性があるので手は頭の上に置いて手の重さをかけるのみにしましょう。

■僧帽筋ストレッチ
僧帽筋は、後頭骨や頸・胸椎の棘突起などから鎖骨外側や肩甲骨上部についている筋肉です。
首から背中にかけて範囲が広いことより、上部線維は肩甲骨の挙上や上方回旋、中部線維は肩甲骨の内転、下部線維は肩甲骨の下制や下方回旋とそれぞれ異なる作用があります。
特に上部線維は肩甲挙筋と同じく肩こりの際には過緊張状態になっている場合が多く、だるさや痛みの一因となります。

1. 首を右斜め下に倒し、そのまま左側の天井を見るように首を左に回旋したら右手を頭の上に軽く乗せます。

2. 首の左側の筋肉に伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止します。

3. 手を離して頭の位置をゆっくりと元に戻したら左右を逆にして右側の筋肉も伸張します。

■菱形筋ストレッチ
菱形筋は第6頸椎~第4胸椎の棘突起から肩甲骨の内側についている菱形の筋肉です。
肩甲骨を内転する作用があるので、この筋肉がしっかり働くことで胸の張れた良姿勢をとることができます。

1. 両手を胸の前で組み、肩の高さで肘をゆっくり伸ばしながら背中を丸めて後ろに下げられるだけ下げます。

2. 肩甲骨の内側に伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止します。

■胸張り体操
猫背姿勢になっていると肩甲骨は常に外転した状態になり、内側にある菱形筋を収縮することが少なくなってしまいます。
肩甲骨が外転した状態では肩こりになりやすいだけでなく、肩関節の可動域が狭くなって五十肩にもなりやすくなってしまいますので、姿勢を修正するためにも肩甲骨を内転させるこの体操をおすすめします。

1. 胸を張りながらゆっくりと左右の肩甲骨を内側に寄せ(内転し)ます。

2. 背中の内側に緊張を感じたらゆっくりと元の楽な状態に戻し、また肩甲骨を内側に寄せるという動作を10回程度繰り返し行います。

腕を後ろに引きながら行うと腕の動きばかりになってしまい肩甲骨が動いていない場合もありますので、手は膝の上に乗せるか身体の横につけた状態にして肩甲骨のみの動きを意識しましょう。

■肩甲骨回し
肩甲骨を大きく全ての方向に動かすことで、肩甲骨周りの筋肉を全体的にほぐし、血流も促すことができます。

1. 肩をすくめて肩甲骨を上に引き上げ、肩を後ろに引いて肩甲骨を内側に寄せ、そのまま肩を下ろすという動きによって肩甲骨を滑らかに動かします。

2. 1の動きで肩を前から後ろに回したら、後ろから前に回す動きも同じように行います。

肩甲骨ストレッチの効果

肩甲骨ストレッチによって得られる効果をご説明します。

肩こり解消
一般的に肩こりは首筋にある重だるさ、鈍痛といった症状をさし、原因となっているのは肩甲挙筋や僧帽筋の過緊張や血流不全によるものです。
前にご紹介したこれらの筋肉のストレッチを行うことで、凝ってしまった筋肉の伸張性が高まり、血流が改善、肩こりの症状が改善します。

■五十肩・六十肩予防
五十肩や六十肩のことを「肩関節周囲炎」と言います。
肩関節周囲炎とは、名前の通り肩関節やその周りの筋肉などが炎症を起こして痛みや可動域制限を引き起こしているものです。
その原因は、加齢による筋力低下や運動不足による肩関節周囲の筋肉の伸張性低下がほとんどです。
肩甲骨のストレッチを行うことで肩関節の動きとともに必要な肩甲骨の動きも良くなるため、肩関節への負担が減り、炎症を起こしにくくなります。

■肩関節の可動域改善
肩関節の動きは、「肩甲上腕関節」と「肩甲胸郭関節」の動きを合わせたものになりますが、肩甲骨周囲の筋肉が硬くなっていると肩甲胸郭関節の動きが少なくなってしまうため、その分肩関節の可動域は少なくなってしまいます。
肩甲骨ストレッチによって肩甲骨の動きをよくすることで、肩関節の可動域が改善します。

■背部の部分ダイエット
猫背姿勢で肩甲骨をあまり動かす習慣がないと肩甲骨をはじめ背中の周りにもったりとした脂肪がついてしまいます。
肩甲骨を動かすことで背中の脂肪燃焼につながるとともに、引き締まったきれいな背中を手に入れることができます。

おわりに

今回は、肩甲骨ストレッチのやり方と効果についてご説明しました。
肩こりや五十肩予防・改善、背中の部分痩せにもとても効果のあるものばかりですが、ストレッチの効果は継続していただくことで発揮されます。
テレビを見ながらや寝る前などの隙間時間で構いませんのでぜひ継続していただき、快適な生活を送っていただければと思います。


■プロフィール

監修:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、
病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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