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睡眠薬は体と脳に悪い?睡眠薬について正しい知識を知ろう!

2018-10-06

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現代では、勤務形態が多様化し、深夜勤務が当たり前になってきています。人間の身体は本来、朝の陽を浴びて覚醒し、日が沈み暗くなると睡眠に至るという睡眠と覚醒のリズムで生活するようになっています。
この睡眠と覚醒のリズムが、概日リズム(サーカディアン・リズム)と呼ばれるものです。しかし、そのサーカディアン・リズムが崩れてくると「眠れない」という状態に陥ってきます。

朝に起きて、夜に眠るという規則正しい生活をしていくことで改善されることが考えられますが、長期的にサーカディアン・リズムが崩れた状態が続くことにより、眠りたくても眠れない不眠となってしまうことがあります。
不眠はとても辛い症状であり、医師の診察を受けると、「睡眠薬」の内服治療を勧められる場合があります。日本人の睡眠薬に対する印象として、「薬に頼りたくない」「依存性が強い」という思いを持たれている方が多いように感じられることがしばしばあります。

そこで今回は、睡眠薬のメリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

睡眠薬は体と脳に悪影響を与えるのは本当?

日本の風潮から、睡眠薬に対する印象ですが、実際「本当に悪影響を与えるか?」を考えると、現在日本で使用されている処方睡眠導入剤は副作用が少なく安全性が高いものが使用されています。詳しく話すと、作用機序により睡眠導入剤は数種類に分けることができますが、今回のテーマでは薬剤の種類はあまり関係ないため割愛します。

数種類ある睡眠導入剤には、それぞれに主作用と副作用が違います。現在ではほとんど処方されることがない、西暦1900年代前半に開発された睡眠導入剤は薬剤耐性(常用し続けると効果が得られにくくなる)と、薬剤依存性(常用し続けることで、その薬を使用しないとイライラや震えなどの不快な離脱症状が出現する)が強く表れるといった特徴があり、これが今日の睡眠薬に対する印象につながっているのかもしれません。

現在処方されている睡眠導入剤はこれら薬剤耐性、依存性がほとんどなく、さらに用法用量を守れば日中に眠気などが現れることはまずありません。ただし絶対に副作用がないとは言い切れないため、定期的に主治医の診察を受けることが重要になります。

現在使用されている日本の処方睡眠薬は正しい用法用量を守れば、安全性が高く、体と脳に悪影響を与えるとは言えず、むしろ治療的効果が高く得られ、症状改善につながると言えるでしょう。

追記として、自己判断による市販の睡眠導入剤を使用する場合は、薬局の薬剤師に自身の症状を詳しく説明した上で購入するかを判断してください。市販されている「寝つきをよくする薬やサプリメント」は睡眠導入剤ではなく、抗アレルギー薬・総合感冒薬に使用される薬剤の副作用で現れる「眠気」を主作用として利用されている商品が多く、自己判断で使用した結果、日中も続く眠気などにつながってくる可能性があります。市販薬は、そのような症状が現れた場合でも、すぐに専門医の診察を受けることができない点が悩ましいと言えます。ただ市販されている薬剤は、安全性が高いことから簡単に購入できるようになっているため、極端な警戒意識を持つ必要はないでしょう。

睡眠薬のメリット

睡眠薬のメリットとして挙げられるのは、寝つきが良くなる、熟眠感を得られる、疲れが取れる、イライラや不安感が改善されるといったものが挙げられます。眠れない・疲れが取れない・イライラして不安が強いなどといった辛い不眠の症状を改善させる効果が期待されます。

睡眠薬には作用機序による種類以外にも、効果時間による分類がされています。不眠の症状に合わせた睡眠導入剤を選ぶことができ、不眠症の状態であれば数種類合わせて使用することもあります。

事例として、「寝つきが悪いけど、一度眠りについたらまとまった睡眠を取ることができる」場合、寝つきをよくするタイプの薬が処方されます。また、「寝つきはいいけど、夜間必ず中途覚醒を繰り返してしまい熟眠感がない」といった事例には、睡眠を持続させるタイプの薬が処方されます。このように、睡眠導入剤には寝つきをよくするタイプから睡眠を持続させるタイプなど、症状に合わせた様々な薬があります。

不眠が続いている場合、生活リズムを整えるとともに、睡眠に関する専門医の診察を受けると良いでしょう。睡眠導入薬を安全で的確に治療として処方できるのは、睡眠外来やメンタルクリニックの医師になります。内科医など睡眠専門医以外でも処方することができますが、睡眠専門医でなければ、具体的な症状の把握と、症状にあった適切な睡眠薬の選択、用量の調整や内服治療期間を計画することが難しいと言えます。

そのため、例えば基礎疾患を持っており、かかりつけの医師がいる場合、かかりつけ医師に睡眠薬を処方してもらうのではなく、不眠の相談をして紹介状を書いてもらい、不眠に対する専門治療を行っている医師の診察を受けることが望ましいと言えます。そうすることで、睡眠薬のメリットを最大限生かすことができるようになります。

睡眠薬のデメリット

睡眠薬のデメリットは、どの薬にもある副作用があります。その副作用は、どの睡眠薬にもほぼ共通して、健忘、筋弛緩、呼吸抑制、日中にも強い眠気を持ち越す、便秘などといったものが挙げられます。重篤な副作用には、アナフィラキシーショック、悪性症候群といったものが挙げられます。これだけを聞くと「とても怖い薬」だと思ってしまいますが、鎮咳薬、去痰薬、抗生物質といった風邪に処方される薬でも同様の副作用が見られる場合があり、副作用の発現リスクは他の薬に比べて高い訳でも低い訳でもありません。

睡眠薬の一番のデメリットとして挙げられるのは、その効果を評価するのにかかる期間が2週間ほどかかるという時間の長さと考えられます。不眠の症状というのは、ほとんどの場合、長い期間をかけて形成されたものであるため、改善させるにも相応の時間がかかると言えます。睡眠薬を内服すれば、つらい不眠の特効薬的な効果が得られる訳ではありません。医師は症状を聞き、原因となっているものを抽出しながら薬を選択し、処方します。内服当初は効果が強く現れたり、低く現れたりすることがあります。これは不眠状態だった脳と体が薬の効果についていけないために起こるものです。脳と体が薬に順応してくるまでの期間を大体2週間として考え、そこで初めて薬効の評価を行います。この時の診察で、睡眠薬を使って眠れているか、眠気の持ち越しがないかなどの確認をして、薬の変更や、内服量の調整が考慮されます。

このように何度も薬効の評価を繰り返し、最も合った睡眠薬の量や組み合わせがされることになります。睡眠薬の内服をしつつ、日常生活を整えていき、不眠症状が緩和されてきたら、治療終了に向けての減薬が開始されます。自分の症状改善に効果がある睡眠薬の種類、量、組み合わせが見つかるまでに長い期間がかかることが一番のデメリットではないかと考えられます。

まとめ

睡眠薬のメリット、デメリットについてお話してきました。睡眠薬は「体や脳に悪影響を与える」訳ではありません。副作用の発現も他の薬と比べて高い訳でも低い訳でもありません。むしろ内服することで辛い不眠症状の治療をすることができ、治療を継続することで症状を改善することができると言えます。ただ、症状改善までに要する期間が長いため、気長に治療を受けなければいけません。治療の自己中断をしてしまうことで、最悪のデメリットを招いてしまう可能性があるため、不眠治療の定期受診は必ず受けるようにしましょう。

監修:mikkumikupapa
ライセンス:看護師免許(正看護師)
勤務:行政看護師(乳幼児施設)
専門及び経験分野:
小児
脳外科、循環器内科外科、呼吸器内科、てんかん、先天性疾患、指定難病、小児がん、児童精神疾患及び発達障害、強度行動障害など。
成人
呼吸器内科、耳鼻科、消化器内科、婦人科、整形外科、救急搬送傷病者の救命治療処置など。

自己紹介:男性看護師として、病棟勤務の経験は15年。専門は小児科領域。特に発達障害を抱える子供が二次的障害を引き起こし、入院治療が必要となってしまったケースへの治療と看護について経験と学びを深めてきました。現在はその経験を活かし、乳幼児に関わる行政看護師として勤務しています。保育園を兼ねた職場であり、日々元気な乳幼児と関わりながら、保護者へ流行りの感染症や予防方法、成長発達に関わることなど多岐に渡る相談を受けています。自身も3姉妹の父であり、1日中元気な子供に囲まれた生活を送っています。

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