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遺言とは。正しい知識と注意点について解説

2018-10-11

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遺言という言葉、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
ドラマでお金持ちが亡くなったときの遺産相続のシーンなどが思い浮かぶかもしれません。「我が家はお金持ちでもないし、関係ないよ」と思いがちですが、相続でトラブルとなるのが相続税と遺産分割を巡る相続人同士の争いです。
相続人同士が争うことで、悪いことはあっても良いことはないので、そうした争いがおきないように生前に準備しておくことが重要です。

1.遺言とは何か

遺言の概要と種類についてご紹介します。

1-1.遺言とは

遺言とは生前に、亡くなった後のことを考えて、遺族のために残した言葉や文書のことをいいます。亡くなる前の言葉や、亡くなる前に残した文書は故人の最後の意思を表すものとして、亡くなった後の法律関係に大きな影響を与えます。

特に故人の葬儀の後に発生する相続の手続きをトラブルなく円滑に進める上で、遺言を文書の形にした遺言書を作成しておくことはとても重要です。遺言書は遺言というメッセージを誰でも見える形で明文化するので、遺産を巡る争いの防止や故人となった本人しか知らない財産などを遺族に伝える上でとても役立つと言えるでしょう。

1-2.遺言の種類

遺言の種類は大きく「普通方式遺言」と「特別方式遺言」に分けることができます。普通方式遺言には次の種類があります。

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

自筆証書遺言は、故人となった人が生前に自筆で作成した文書に基づく遺言、公正証書遺言は故人となった人が生前に遺言を口述し、その内容を公証人が証書として作成する形の遺言、秘密証書遺言は公証人が関与することは公正証書遺言と同じですが、遺言内容を秘密とすることに違いがあります。

普通方式遺言の3つの種類について、それぞれ次のことに注意が必要です。

・自筆証書遺言:遺言の内容を秘密にできるメリットはあるが、偽造されたり滅失したり、内容が書き換えられたりするおそれがある
・公正証書遺言:偽造されたり滅失したり、内容が書き換えられたりすることは防止できるが、遺言の内容を秘密にする上で問題がある
・秘密証書遺言:遺言の内容を秘密にできるメリットはあるが、滅失する場合がある

特別方式遺言には次の種類があります。

・危急時遺言
・隔絶地遺言

特別方式遺言は、疾病や負傷により亡くなる可能性が高い場合、交通事故に巻き込まれることで亡くなる可能性が高い場合に作成する「危急時遺言」と、伝染病の拡散防止のために行政措置によって交通を断たれた場所にいる人、刑務所に服役している人、災害現場の被災者などのための「隔絶地遺言」があります。いずれの種類の遺言を行う場合にも、法律に定められている一定の手続きに従う必要があります。

2.遺言は無効になる場合がある

遺言を文書化した形の遺言書。法的な効力を持たせるためには、やはり法律に従った手順で作成する必要があり、自由に記述すれば良いというものではないようです。法律に則って作成されていない遺言書およびその中身である遺言は無効となる場合もありますので注意が必要でしょう。

作成手順や記述内容についてわからない場合は、遺言書を作成する前に、法律に詳しい外部の専門家や行政機関の窓口に相談されるほうがいいのかもしれません。

3.無効にならないために注意するポイント

遺言書を法的に有効とするためには次のポイントをおさえておくといいでしょう。

・遺言書の基本的な書き方、様式などを書籍やインターネット上で公開されている情報で確認する
・遺言書の種類ごとに注意点を確認しておく
・わからない場合は外部の専門家、公証人役場などに相談する

遺言書の種類ごとに注意点を確認するというのは、例えば自筆証書遺言を作成する場合だと次の条件が必要であったり、内容が含まれている必要があります。

・自分が直筆で記述すること(代筆やパソコン、ワープロによる作成、映像や音声で作成した物は無効)
・遺言書がいつ作成されたかの日付があること
・署名と押印があること
・遺言をする人が単独で作成すること(夫婦による共同の遺言書は無効)

せっかく作成した遺言書が法的に無効となっては大変です。少し億劫な部分もあるかもしれませんが、遺言は人生の最後のメッセージですから、そのメッセージをきちんと次の世代を担う方に伝えるためにも、遺言書の作成は細心の注意を払って、法律的に正しい手順に従って作成したいものです。

4.遺言に関するQ&A

遺言および遺言書について、よくある疑問に対する回答をいくつかご紹介します。

4-1.遺言や遺言書がなければどうなりますか

遺言や遺言書がない場合、遺産分割に関しては法律に従うことになります。ただし法律で規定しているのは抽象的な相続分の割合だけなので、実質的には関係する相続人全員が集まって遺産分割に関する協議を行い、その合意に基づいて遺産分割が行われることになります。

遺産分割が円滑に合意に達すればそれで良いのですが、相続人各人は「少しでも多くの財産が欲しい」と考えるのが普通なので、遺産分割を巡る相続人同士の争いが生じる場合があり、家庭裁判所に調停してもらったり、審判を受けることになったり、弁護士など外部の法律の専門家に利害調整の話し合いの仲介を依頼するなどの必要が生じます。

相続人同士の争いが始まると、解決までお金も時間もかかります。また相続財産がある程度大きいと、相続税の申告と納税の必要がありますが、申告や納税の期日に間に合わないといったケースも出てくるでしょう。

4-2.遺言は訂正や取り消しができますか

遺言の訂正や取り消しはいつでも、何回でも可能です。ただし、訂正や取り消しの手続きは法律に規定する内容に従って行う必要があります。

4-3.公正証書遺言をする場合にどのような資料が必要ですか

公正証書遺言の作成を依頼する場合、基本的な資料として次のものが必要です。

・遺言者本人の本人確認ができる資料(印鑑登録証明書や運転免許証など公の機関が発行した本人を証明できるもの)
・遺言者と相続人の続柄が確認できる資料(戸籍謄本等)
・相続人以外の第三者に遺贈する場合は、その人の住民票
・相続財産に不動産がある場合、登記事項証明書、固定資産税評価証明書
・遺言者で証人を用意する場合、その人の氏名、住所、生年月日、職業等がわかるメモ

上記以外に追加で資料が必要な場合もありますので、事前に最寄りの公証人役場で確認しておくといいでしょう。

5.まとめ

遺言は、単に「作成すれば良い」というものではなく、法的な効力を持たせるために一定のルールに従って作成する必要があります。作成に当たっては最寄りの公証人役場で書式や作成手順などを相談されるといいでしょう。

「終活」という言葉が最近はよく使われますが、後に続く世代を無用な争いに巻き込まないための「終活」の1つとして、遺言書を元気な間に正しい方法できちんと作成しておくことが、後々の不安の解消につながるのではないでしょうか。

監修:Asasei

二級FP技能士(番号:F20321015439号)
二十数年間の行政系公務員生活の後、在職中に取得した金融、投資知識をもとに自宅にて執筆活動、相談業務を実施しています。
経済や金融、外国為替などの知識を生かして株式投資やFXなど資産運用を行っています。

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