年金

自分が先立った後の配偶者の住居は?生活費は?

2019-04-13

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平均未亡人期間」という言葉があります。
(夫婦の平均的な年齢差)+(男女の平均寿命の差)
の合計値のことで、配偶者の死後一人で暮らさなくてはならない期間を示します(通常夫の方が早くなくなるので未亡人期間としています)。

厚生労働省の平成29年人口動態調査によると、夫婦の平均的な年齢差は「2.3歳」、また平均寿命の差は「6.17歳」となっています。
合計8.47歳、平均して8年以上は死別した後一人で暮らしていかなくてはならない計算になります。
そうなると心配なのが「残された配偶者」のことです。
特に「何処に誰と住むのか?」という住居の問題と、「蓄えと年金だけでやっていけるだろうか?」という生活費の問題は、『できれば自分が元気なうちに準備をしておいてあげたい』と考える方も多いかと思います。

そこで今回は、
・一人になった配偶者の住居と生活費の問題
・現金収入の「核」となる年金の問題
・蓄えや年金だけでは足りない場合に対処するアイデア
などについてお伝えしてまいります。

老後の「独居」は誰にでも必ず関係してくる問題です。
ぜひ最後までお付き合いください。

自分の死後、配偶者の住まいはどうなる?

○夫婦間の相続は1億6千万円までは税金がかからないが・・・
夫婦間の相続や贈与については様々な特例や優遇策が設けられています。
例えば住宅の場合、結婚してから20年経っている夫婦の間であれば、自宅として使っている不動産を贈与しても、2000万円までは課税されないという配偶者控除があります。
もっともこの特例を使わなくても、相続自体は夫婦間であれば1億6千万までは相続税はかからず、また100坪以下の土地であれば80%減の価格で相続できる「小規模宅地等の特例」があるため、一般的な方であれば自宅の相続自体に問題はありません。
ただ問題なのは、「自宅だけ相続しても生活することはできない」という点です。
住まいを確保するために自宅を相続すると、他の相続人(子供など)との関係上、金融資産など生活費に使うことのできるものの相続分が少なくなります。
すると老後の生活費に困窮したり、バリアフリー化のために自宅をリフォームしようとしてもその資金を捻出することができないという事態になってしまうのです。

○配偶者居住権の新設
そのような問題を解決するために2020年民法が改正され、「配偶者居住権」が新設されることになりました。
賃借権のように「残された配偶者が自宅に住み続けられる権利」が法的に認められ、その権利自体を相続できることになったのです。
所有権とは異なり「自宅に住み続けられる権利」なので、相続財産としての評価額は低くなります。

例えば、
・自宅として住んでいた住宅2000万円
・預貯金を含めた金融資産3000万円
を妻と2人の子供が相続した場合を考えてみます。

法定相続分は配偶者1/2、子供1/2(今回の場合はそれを更に2人で分けるので、1人あたりは1/4)なので、
・妻(2000万円+3000万円)×1/2=2500万円
・子供A・B(2000万円+3000万円)×1/2×1/2=1250万円
となります。

ここで今までの場合、妻が自宅に住み続けたいと考え自宅を相続すると、自宅の評価額は2000万円なのでその他の金融財産は500万円しか相続することができず、生活費不足などで困っていたわけです。

一方民法改正後は、新設された配偶者居住権を仮に1000万円とすると(実際には様々な条件によって評価額は変わってきます)、配偶者居住権の他に金融資産などを1500万円相続することができます。

それまでに比べると幾分残された配偶者が生活しやすくなったということができます。

一人になると受け取ることのできる年金額が減ってしまう

生活する基盤である自宅は確保できたとして、生活費にあてる主立った収入はやはり年金に頼ることになります。

年金については配偶者が会社員・公務員などだった場合と、自営業者等だった場合で大きく異なります。

配偶者が会社員・公務員だった場合、年金は老齢基礎年金+老齢厚生年金の2階建てとなり、夫婦2人分の老齢基礎年金に加え老齢厚生年金を受け取ることができます。

では配偶者である夫が亡くなった場合はどうなるのでしょうか。

まず夫の分の老齢基礎年金が減ります。そしてさらに夫が受給していた老齢厚生年金の3/4を遺族厚生年金として受け取ることができますが、夫婦2人の時より大幅に収入は減ってしまいます。

配偶者が自営業者だった場合は更に深刻で、元々受け取ることができるのが老齢基礎年金だけなので、単純に世帯の年金額が半分になってしまうのです。

総務省統計局の家計調査報告(2017年度)によると、自営業者だった夫に先立たれた妻(60歳以上の高齢単身無職世帯)の生活収支は、「月々40715円の赤字」という統計結果もあり、自宅を相続しても年金以外に何かしらの収入源を考えないと、安心して老後生活を送ることは難しい現状となっています。

リバースモーゲージの契約を配偶者が引き継ぐことのできるプランもある

そんな自宅以外に主だった資産がなく、老後資金に不安を持っている方々に注目されているのがリバースモーゲージです。

リバースモーゲージとは自宅を担保にして金融機関から融資を受ける金融商品。

自宅は担保に提供するだけで売却の必要がないこと、また融資を受けた元本は契約終了時(通常は契約者の死亡時)まで返済の必要がないことから安心感があり、使い勝手が良いため人気となっています。

返済については契約終了時に自宅を売却して一括精算することも可能なため、残された子供達に迷惑をかける心配もありません。

契約者である夫の死亡後も配偶者が契約を引き継ぐことのできるプランもあり、夫婦2人、そして残された配偶者が悠々自適な生活を送るために役立てることができます。

1人になった配偶者のことを考えたシニアライフプラン

悠々自適なシニアライフを送るためには、しっかりとしたライフプランを立てておくことが重要となってきます。

特に残された配偶者の住居、生活費などの問題は、「自分がそのとき一緒に対応することができない」だけに、予め十分に考えておく必要があります。

備えあれば憂いなし。ぜひご夫婦で話し合ってみてください。

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