税金

親が子どもの扶養に入るための条件とメリット

2019-04-27

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「扶養」というと配偶者や子どもの事がまず頭に浮かびますが、「親」も扶養の対象となっています。
そして税や社会保険上のメリットは、配偶者や子どもと同等か、それ以上の場合もあるのです。
「うちは同居していないから」といって扶養に入ることを諦めている方がいらっしゃいますが、条件によっては別居していても可能な場合があります。

そこで今回は、
・別居している両親や、配偶者の両親は扶養に入ることができるのか
・扶養に入ることが認められるための条件
・親が子どもの扶養に入るメリットと注意点
といったポイントについて詳しくお話ししてまいります。

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別居の親もOK、意外に広い扶養の範囲

意外と知られていませんが、「扶養」に含まれる範囲はかなり広く、税法上では「6親等内の血族及び3親等内の姻族」社会保険上では「3親等内の親族(血族及び姻族)」となっています。
6親等というと「いとこの孫」などですから、かなり遠い親戚までが含まれるのです。
自分の両親や祖父母といった「直系尊属」であれば別居していても問題ありませんし、姻族も含まれるため、配偶者の両親も条件次第で扶養に入れることが可能です。
ただし税法と社会保険は別々の制度なので、それぞれ条件が異なります。
次の項目ではそれらの条件を見てまいりましょう。

税法上の扶養と社会保険上の扶養は条件が違う

○税法上親を扶養に入れるための条件
1. 6親等内の血族または3親等内の姻族で、納税者と「生計を一にしている者」であること
同居している場合は、明らかに独立して生活している場合を除いて「生計を一にしている者」と見なされます。
一方別居している場合は生活費や介護費用、療養費などを仕送りしているという事実が必要です。銀行振り込みの控えなどを保存しておけば安心です。

2. 親の年収が給与収入のみの場合は103万円以下、年金収入のみの場合65歳未満は108万円以下、65歳以上は158万円以下であること

給与所得のみ 親の年収103万円 基礎控除額38万円 給与(年金)控除額65万円 所得額0円
年金収入のみ(65歳未満) 親の年収108万円 基礎控除額38万円 給与(年金)控除額70万円 所得額0円
年金収入のみ(65歳以上) 親の年収158万円 基礎控除額38万円 給与(年金)控除額120万円 所得額0円

税法上扶養に入るためには、「所得」があってはいけません。

よく扶養に入っている主婦の方がパートで働いた場合、「年間の給与収入を103万円以下に抑えなければ」ということが話題になりますが、あれは103万円という収入から、38万円の「基礎控除」と、65万円の「給与控除」を引いてもらえるので、「所得」としては「0円」になるということです。
ただ親が扶養に入る場合、年金収入のみというケースが考えられます。
その場合、年金収入に対しては、65歳未満は70万円、65歳以上は120万円の控除が受けられるため、基礎控除の38万円と合わせた108万円、158万円がそれぞれの収入の上限となります。

3. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
納税者が事業などを営んでおり、親がそれを手伝っている場合を「事業専従者」といいます。
事業専従者への給与は特例で必要経費にすることが認められているため、扶養控除と「ダブル」でメリットを受けることはできないことになっているのです。

○社会保険の被扶養家族の条件
1. 被保険者の3親等内の親族(血族・姻族)であること
3親等内の親族なので、被保険者の両親はもちろん、配偶者の両親も含まれます。
ただし、被保険者の両親は「直系尊属」にあたるので別居していても認められますが、配偶者の両親は「同居していること」が条件となります。
このあたりは税法上と異なるため、注意が必要です。

2. 収入が以下の範囲内であること
同居の場合
60歳未満 年間収入130万円未満 収入が被保険者の収入の半分未満
60歳以上又は障害者 年間収入180万円未満

別居の場合
60歳未満 年間収入130万円未満 収入が被保険者からの仕送り額未満
60歳以上又は障害者 年間収入180万円未満

同居の場合と別居の場合、また60歳未満か60歳以上かで条件が変わってくるため注意が必要です。

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親が子どもの扶養に入るメリットと注意点

○親が子どもの扶養に入るメリット
・子供は扶養控除を受けることができ税金が安くなる
親が子どもの扶養に入ると、納税者である子どもは以下の金額を所得額から控除してもらうことができます。
所得税
区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
老人扶養親族(※1)
同居老親等意外の者 48万円
同居老親等(※2) 58万円

※1 老人扶養親族とは70歳以上の対象者をいいます。
※2 同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系尊属で、納税者またはその配偶者と普段同居している人をいいます。

住民税
区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 33万円
老人扶養親族(※1)
同居老親等意外の者 38万円
同居老親等(※2) 45万円

例えば65歳の親の場合は38万円、70歳で老人ホームで暮らしている親の場合は48万円、70歳で同居している親の場合は58万円の所得控除を受けることができます。
年収600万程度の方の所得税の税率はおおよそ10%ですから、70歳の老人ホームで暮らす親を扶養に入れた場合、¥480000×10%=¥48000程所得税が安くなり、住民税も合わせると約8万~10万円程度の節税となります。

・親は健康保険の支払いが不要になる
子どもの扶養に入った親は、健康保険料の支払いが不要となります。

○注意点
・高額医療費の自己負担限度額が高くなってしまう可能性がある
大きな病気をした時や、長期入院をした時など、高額な医療費を支払わなければならない場合、「この金額以上は支払わなくても良いですよ」という高額医療費の自己負担限度額制度はありがたいものです。
ただこの自己負担限度額は被保険者の年収によって決められているため、年金生活者だった親が子どもの扶養に入った場合、この限度額が上がってしまい、支払う医療費が増えてしまう可能性があります。
そのため親が支払っていた国民健康保険の保険料の額と、増えてしまう自己負担限度額を慎重に比較することが大切です。

・国民健康保険には扶養の概念がない!
子どもが個人事業主などで、国民健康保険の被保険者の場合、親が扶養に入ることはできません。
国民健康保険は国民一人一人を対象とするものであり、「扶養」という概念自体が存在しないからです。

親が子どもの扶養に入ることには大きなメリットがある

親が子どもの扶養に入ることについて、税法上と社会保険上に分けてお話ししてまいりました。
「子どもの扶養に入るなんて!」とお考えになる方もいらっしゃると思いますが、税法上は子どもが扶養控除を受けられるというメリットのみで、特にデメリットはありませんし、社会保険上も「親の保険料の支払いがなくなる」という大きなメリットがあります。
親にも子どもにもメリットのある仕組みです。一度検討されてみてはいかがでしょうか。

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