税金

年収が増えると税率はどれくらい上がるの? 所得税率について考えてみましょう

2019-06-11

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所得税は累進課税制度です。すなわち所得が増えればその分、税率が高くなる仕組みです。
会社員の場合、所得税は給与天引きのため、税率を意識する機会は少ないかもしれません。
しかし、転職や昇給・昇格などで収入に変化があると税率が変わることがあります。また、消費税増税などで税金について考える機会も多くなっています。
では年収が増えると、実際にどのくらい税率が上がることになるのでしょうか。
今回は年収の増加と所得税率の関係について解説します。

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累進課税制度とは? 所得税の仕組みについて

日本の所得税は累進課税制度が採用されています。
累進課税制度(累進税)とは、所得が多くなるほど高い税率が課せられる仕組みです。
累進税の目的は所得の再分配です。所得の高い人から税金をより多く徴収し、所得の低い人に公共サービス等を通じて再分配することにより、貧富の差を縮小し、国民の生活水準を平準化する役割を果たしています。累進税としては所得税、相続税や贈与税があります。

一方で累進税が採用されることで、
(1) 賃金が上昇しても税負担が上がり手取り額が増えないため労働意欲が上昇しにくい
(2) 優秀な労働力や資産が海外に流出してしまう
などのデメリットがあります。

累進税の反対は逆進税です。逆進税では、所得に関わらず一律の税率が課せられます。そのため、所得の低い人の方が高い人に比べ、相対的に税負担が重たくなるという性質があります。
逆進税としては消費税があります。
今回の消費税増税に際し、軽減税率の導入や低所得者層への給付金支給を行うのは、こうした逆進性を和らげるためのものです。

年収〇百万円なら税率は〇%? 年収ごとの所得税率を計算

所得税の税率は所得に応じて、5%から最高45%まで7つの段階に分けられています。

(所得税額速算表)
課税される所得金額    税率  控除額
195万円以下        5%   0円
195万円超330万円以下 10% 97500円
330万円超695万円以下 20% 427500円
695万円超900万円以下 23% 636000円
900万円超1800万円以下 33% 1536000円
1800万円超4000万円以下 40% 2796000円
4000万円超      45% 4796000円

まず、このなかで注意すべき点は「収入」と「所得」の違いです。
会社員の場合、税率が掛けられるのは「収入(年収)」ではなく、収入から給与所得控除等を差し引いた「所得」に対してです。

収入 − 給与所得控除 = 給与所得

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
180万円以下                    収入金額×40%、65万円に満たない場合には65万円
180万円超360万円以下              収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下              収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下              収入金額×10%+120万円
1000万円超                    220万円(上限)

さらに、給与所得から基礎控除や社会保険料などを差し引いた金額が「課税される所得」となります。

給与所得 − 所得控除(基礎控除・社会保険料控除等) = 課税される所得

では具体的に、税率が上がる金額の目安を計算します。

所得控除の金額は家族の人数や加入している保険内容によってそれぞれ異なるため、ここでは基礎控除38万円および社会保険料控除(年収の15%)のみを考慮して計算します。

(1)税率5%・・・所得195万円以下 ⇒ 年収441万円以下
収入:441万円 給与所得控除:142万円 基礎控除:38万円 社会保険料:66万円 課税される所得:195万円

(2)税率10%・・・所得195万円超330万円以下 ⇒ 年収649万円以下
収入:649万円 給与所得控除:184万円 基礎控除:38万円 社会保険料:97万円 課税される所得:330万円

(3)税率20%・・・所得330万円超695万円以下 ⇒ 年収1121万円以下
収入:1121万円 給与所得控除:220万円 基礎控除:38万円 社会保険料:168万円 課税される所得:695万円

(4)税率23%・・・所得695万円超900万円以下 ⇒ 年収1362万円以下
収入:1362万円 給与所得控除:220万円 基礎控除:38万円 社会保険料:204万円 課税される所得:900万円

(5)税率33%・・・所得900万円超1800万円以下 ⇒ 年収2421万円

(6)税率40%・・・所得1800万円超4000万円以下 ⇒ 年収5009万円

(7)税率45%・・・所得4000万円超 ⇒ 年収5597万円

あくまでも目安の数字ではありますが、税率の変わる年収は、441万円・649万円・1121万円……などとなっています。この他に生命保険料控除など他の所得控除があれば、これらより高い収入金額が税率の変わる金額となります。

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これ以上働くと税金が上がってしまう? よくある誤解と超過累進課税方式

では、例えば税率が23%である所得900万円と、税率が33%である所得901万円を比べたとき、所得が1万円増えると、税額が901万円×10%(33−23)=90万円も変わってしまうのでしょうか?

答えはNOです。

上記の計算方法は「単純累進税率方式」という計算方式です。日本ではこの方式は採用されていません。

日本では「超過累進税率方式」という方式が採用されています。

超過累進課税方式では、例えば所得900万円の場合、
〜195万円 税率5% ⇒ 195万円×5%=9.75万円
195万円超〜330万円 税率10% ⇒ 135(330−195)万円×10%=13.5万円
330万円超〜695万円 税率20% ⇒ 365(695−330)万円×20%=73万円
695万円超〜900万円 税率23% ⇒ 205(900−695)万円×23%=47.15万円
合計(9.75+13.5+73+47.15)万円=143.4万円 となります。

そのため、例えば所得が901万円・税率が33%だとしても、901万円×33%として計算されるのではなく、900万円を超過した1万円(901−900)の部分にのみ33%の税率が適用されることとなります。

よって、所得が1万円増えたことによる所得税の増加額は3300円となります。

誤解されやすい点ではありますが、このようにして税の公平性や納得感を確保しているといえます。
なお、所得税速算表はこうした計算を考慮して作成されています。

あまり意識せずに給与から引かれているという方も多い所得税ですが、課税の仕組みを理解することで、税金に対する意識も変わってくるかもしれません。

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