年金

還暦から始めるサードライフ設計

2019-06-12

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還暦とは干支(えと)つまり十干十二支(じっかんじゅうにし)の組合わせが一巡し、元の組合わせに戻ることをいいます。
10と12の最小公倍数は60なので、一巡するのは60年。
生まれたときの干支に戻るため、「2度目の生誕」として赤いちゃんちゃんこを着て長寿を祝います。
しかし、戦前までのように平均余命が50年程度だった頃であればともかく、「人生100年時代」と言われる現在、還暦はセカンドライフのスタート地点であり、そして終活=サードライフを考え始めるタイミングといった方が適切かもしれません。
また、定年が60歳という企業がまだまだ多く、還暦を機に「働き方」が大きく変わるのも今後のことを考える理由となります。
そこで今回は「還暦から始めるサードライフ設計」と題し、還暦以降の「お金」についてお話しをしてまいります。

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還暦を迎えてもまだ人生は1/3残っている

還暦を迎えたといっても、まだ人生の2/3地点を越えたに過ぎません。

○60歳の平均余命は男性23.72歳、女性28.97歳
厚生労働省発表の平成29年簡易生命表によると、日本人の「平均寿命」は男性81.09歳、女性87.26歳となっています。
しかし、平均寿命とは現在0歳の赤ちゃんが「平均してあと何年生きられるか」ということを表した「0歳児の平均余命」です。
では還暦、つまり60歳の方の平均余命を見てみると、男性は23.72歳、女性は28.97歳となっています。
つまり、現在還暦を迎えている方は、平均して男性は83.72歳、女性は88.97歳まで人生が続くわけです。

○平均余命の意味
ここで「平均余命」の意味を考えてみます。
平均余命とは、「その年齢の人数が、死亡を経て半数になるまでの年数」を表すものです。
先ほどの還暦の方の平均余命でいえば、
・還暦を迎えた男性の数が半数になるのは23.72年後
・還暦を迎えた女性の数が半数になるのは28.97年後
ということを表しています。
これは、平均余命を迎えても「半数の方は生きている」ということを意味しています。
85歳の平均余命は男性6.26歳、女性8.39歳です。
つまり、還暦を迎えても「人生はまだ1/3以上残っている」と言えるのです。

○終活はサードライフの設計図
これまで還暦以降の生活は「セカンドライフ」といわれてきましたが、還暦後の人生が30年以上もあることを考えると、セカンドライフの後、「サードライフ」のことを考える必要が出てきます。
厚生労働省発表の「健康寿命の延伸・健康格差の縮小」によると、平成28年の健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)は男性72.14歳、女性74.79歳となっています。
還暦から健康寿命までを「楽しく老後エンジョイするセカンドライフ」、健康寿命から平均余命後までを「人生の最後を充実したものとするサードライフ」と考えてはいかがでしょうか。
最近、人生の終末向けて準備をすすめる「終活」が話題となっています。
この終活はサードライフの設計図。
設計を始めるのに還暦は最適なタイミングといえます。

還暦の前と後でがらっと変わる支出と収入

還暦の前後で収入と支出といった身の回りのお金が激変します。
そこで、まずはそれをきちんと把握する必要があります。

○【支出】住宅ローン・教育費が減り、医療費・介護費が増える
支出面では住宅ローンの完済、子どもたちの学校卒業により、住居費・教育費が減ります。
一方、加齢により医療費や介護費が増加することが予想されますが、本格的に増えてくるのは健康寿命を迎えてからです。

○【収入】定年となり年金が中心に
年金の支給年齢引上げにともない、定年の延長が課題となっていますが、まだまだ60歳定年、以降は嘱託や契約社員という形での再雇用が中心となっています。
問題は再雇用された後の「収入減」です。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「高齢者の雇用に関する調査」によると、還暦時点の賃金を100とした場合、それ以降の再雇用では60〜80程度に減少するという調査結果が出ています。

60歳から65歳の間は年金も支給されないため、60〜80%に減額された収入で、いかに生活していくかを考えておかなくてはなりません。

また、65歳からは年金が支給されますが、健康面、雇用面の関係上、いつまで働けるかは分からない状況です。

そこで還暦後、まだ働けるうちにサードライフを快適に過ごすための老後資金の準備をしておく必要があります。

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還暦からでも間に合う老後資金の準備

「還暦を迎えてから老後資金の準備を始めても遅いのではないか」と思われるかもしれませんが、人生100年時代、サードライフの準備であれば還暦から始めても十分に間に合います。

○つみたてNISAの活用
つみたてNISAとは、NISA(少額投資非課税制度)の一種で、「NISA口座(非課税口座)」を作り、そこから支出された年間40万円までの非課税投資枠で購入した投資信託などの配当・譲渡益が「非課税」となる仕組みです。
年間の非課税枠が120万円までのNISAに対し、年間の非課税枠を40万円とより少額にし、その代わり非課税期間を最長20年(NISAは5年)として、「投資初心者の方がコツコツと長期間投資をする」のに適したものとなっています。
このつみたてNISAを還暦から始めると、非課税期間が終了する20年後は80歳。年間40万円×20年=800万円もの資金を貯めることが可能です(ただし運用によって元本が増えたり、減ったりする可能性があります)
年金に加えサードライフの10年を快適に過ごすために頼もしい資金といえるのではないでしょうか。

○終の住処(ついのすみか)をどうするか
また、セカンドライフ、サードライフを過ごすための終の住処の事も考えなくてはなりません。
それまでの自宅に住み続けるのか、有料老人ホーム等に入居するのか、子どもに相続させるのか。
子どもに残す必要が無ければリバースモーゲージを活用して老後資金を更に潤沢にするという方法もあります。
リバースモーゲージとは自宅を担保にして融資を受ける金融商品。
融資を受けた元本は契約終了時(通常は契約者の死亡時)まで返済の必要がなく、契約終了時に生命保険金などで一括返済したり、自宅を売却した売却益で一括返済することも可能です。
実際には融資を受けず、いざという時のために「融資枠(この金額までは融資できるという限度枠)」だけ設定しておくこともできます。
相続されることのない自宅の空家対策になり、セカンドライフ、サードライフの悠々自適な資金作りにもなる一石二鳥の方法です。

還暦から始まる「本当の人生」

生まれてから還暦までの人生は、親や会社、または家族の事情などに大きな影響を受けます。

しかし、還暦からのセカンドライフ、サードライフはそのような制約から解放され、自分自身が楽しむことのできる「本当の人生」といえるものです。

ただ、その本当の人生を充実したものにするためには、しっかりとした計画が必要となります。

今回の記事をきっかけとして、サードライフの設計図を描いてみてはいかがでしょうか。

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