感染症

ピロリ菌ってなに?ピロリ菌の検査方法や除菌方法について

2019-11-30

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健康診断や人間ドッグなどで、ピロリ菌の検査をしたことのある方も多いのではないでしょうか。
ピロリ菌は、日本人の約半数が感染しているともいわれており、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの原因になることがわかっています。

今回は、ピロリ菌の概要、検査方法、除菌方法などについてわかりやすくまとめます。

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ピロリ菌とは?

ピロリ菌とは、胃の粘膜に住みつくことのできる細菌です。ヘリコバクター・ピロリともよばれます。

昔は、胃の中が胃酸によって強い酸性に保たれているので、細菌が生息できると考えられていませんでした。しかし、ピロリ菌はウレアーゼという物質を出して、胃の中の尿素を分解してアンモニアのバリアを作り、胃酸を中和できることがわかりました。

ピロリ菌が発見される前は、胃潰瘍に対する治療として胃を切除する手術も行われていました。しかし、ピロリ菌が発見されてからはピロリ菌を抗生剤によって除菌するという内服薬の治療が第一選択になりました。

ピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍だけでなく、十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)などの病気の原因になるといわれています。

ピロリ菌にはどうやって感染する?

日本におけるピロリ菌の感染率は、世代によって大きく異なります。
20代では10%以下で、30代で15-20%、50代では50%以上と高くなります。世代が上昇するほどピロリ菌の感染率が高いのは、高齢になるほど感染しやすいわけではなく、生まれた時代の衛生環境が影響しているといわれています。
ピロリ菌は主に井戸水などから感染することがわかっており、上下水道が完備していなかった時代に生まれた人はピロリ菌に感染しやすかったということです。
現在の日本は、衛生環境がよいため自然界でピロリ菌を見つけることはできないといわれています。つまり、ピロリ菌は、現在ピロリ菌に感染している胃の中だけに存在しています。
ピロリ菌に感染している人が食べた物を違う人が食べると感染する可能性があります。このことから、大人から子どもへの食べ物の口移しは避けた方がよいといわれています。

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どんな人がピロリ菌の検査を受けるべき?

ピロリ菌の検査は、胃や十二指腸潰瘍の経験のある人、胃や十二指腸潰瘍を繰り返している人、胃炎の人、早期胃がんの内視鏡的治療を受けた人は健康保険で検査を受けることができます。自費にはなりますが、希望すれば人間ドックや健診で検査を受けることも可能です。
なんとなく胃の具合が悪い人、親族に胃がんの方がいる人などは検査を受けてみてもよいかもしれません。

ピロリ菌の検査方法は?

ピロリ菌の検査方法には、内視鏡いわゆる胃カメラを使う方法と使わない方法があります。
内視鏡を使う検査方法では、胃の粘膜の一部を採取してピロリ菌がいるかどうか確認します。内視鏡を使わない検査方法には、呼気(吐き出した息のこと)、尿や血液、便などを使用するものがあります。呼気を使用する検査方法は尿素呼気試験法とよばれていて、検査薬を服用する前後の呼気を集めてピロリ菌感染の有無を調べます。
尿や血液を使用する検査では、ピロリ菌に感染すると体の中でピロリ菌に対する抗体が産生されるので、その抗体の有無を見ることによってピロリ菌に感染しているかどうかわかります。

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ピロリ菌の除菌方法は?

ピロリ菌に感染すると、基本的に除菌治療をしない限りは感染している状態が続くと考えられています。
ピロリ菌に対する治療は、除菌治療とよばれていて胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生剤を合わせた3つの薬を1日2回、1週間内服します。約80%の方は、この治療法で除菌に成功するといわれています。除菌治療後には、ピロリ菌の有無を確認する検査があります。もし、除菌治療後の検査でピロリ菌が検出されなければ除菌成功となり治療は終了となりますが、除菌後も定期的に内視鏡検査を受けるようにした方がよいです。

残念ながら、除菌治療後にもピロリ菌の感染が確認された場合には除菌失敗となり、二次除菌療法へと進みます。2種類の抗生剤のうち1つを変更して、再度7日間内服をします。ほとんどの場合には、二次除菌後に治療が成功するといわれています。薬を飲み忘れると細菌が抵抗力をつけてしまう場合があるので、治療期間中は忘れずに飲むことが大切です。

まとめ

ピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になる細菌です。
ピロリ菌は、強い酸性である胃の粘膜でも生きられるように、胃酸を中和するウレアーゼという物質を産生することができます。ピロリ菌の感染率は、50代以上になると多くなります。胃の調子が悪いことが続いていると感じている方は、一度ピロリ菌の検査を受けてみるとよいかもしれません。
ピロリ菌の検査方法は、胃カメラで胃の粘膜を採取するものだけでなく、呼気、血液、尿、便などを使用するものなどさまざまです。ピロリ菌の感染が確認できた場合には、内服薬による除菌治療を行います。

監修:大塚真紀(医師・医学博士)
学歴:東京大学大学院医学系研究科卒。
専門:内科、腎臓、透析の専門医。

自己紹介
現在は育児の傍ら、医師という職業を生かし、医療系記事の執筆・監修、最新医学論文の翻訳、医療コラムの作成に従事。

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