高齢者の骨折を予防するための生活習慣とおすすめのトレーニング

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はじめに

高齢になってくると、ちょっとつまづいたり尻もちをついただけでも手足や背骨を骨折して大事に至ってしまうことが多くなります。
また骨折したことで外出頻度が減り活動性が低下したり歩きにくさなどの後遺症が残ってしまうことがあり、一気に肉体年齢を重ねてしまうということも多々あります。
そういった理由からも高齢者は特に骨折に注意し、日頃から予防に努める必要があります。
そこで今回は、高齢者の骨折の原因と予防のために行うべき生活習慣、そしてその中でも骨折予防に役立つおすすめのトレーニングをご紹介します。

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骨折はなぜ起こる?

高齢者が骨折しやすい原因をご紹介します。

■骨密度の低下
私たちの身体では「骨代謝」といって骨の中の古くなった細胞を破壊して新たな細胞で骨を作るという代謝が常に起こっています。
若いときは骨を破壊するスピードと形成するスピードのバランスがとれていますが、加齢に伴い骨を形成するスピードよりも破壊するスピードが速くなってしまいます。
そうすると骨の中の密度が低下して、すかすかになってしまうため骨折しやすい脆い骨が出来上がってしまいます。
特に女性の場合は、骨代謝のバランスを保つために働いていた女性ホルモンの分泌が閉経とともに急激に低下するため、骨密度が急に低下し「骨粗しょう症」に陥ってしまいます。

■運動機能の低下による転倒
加齢とともに下肢体幹の筋力やバランス機能などの運動機能が衰えると、転倒のリスクが高くなります。
転倒が増えると自然に骨折の機会も増えてしまいます。

骨折を予防するための生活習慣

骨折を予防するために日頃から気を付けておきたい習慣についてご紹介します。

■骨に荷重をかける
骨は適度な荷重負荷をかけ続けることで強度を維持することができますが、加齢とともに活動量が減ると、歩くことや手を床につくことなど骨に荷重をかける機会が少なくなってしまいます。
歩行や段差昇降で下肢および背骨の骨密度を、手を床について行う雑巾がけや何かを押すような動作で上肢の骨密度を保つことにつながりますので日常生活内でそういった行動を積極的にするようにしましょう。

■骨を強くする食事を心がける
身体作りの基本は食事からというように、骨密度の維持には食事の内容も大切です。
骨の形成に役立つといえば、「カルシウム」の十分な摂取が第一です。
カルシウムを豊富に含む食品は、小魚、乳製品、大豆製品、小松菜、わかめやひじきなどの海藻類です。
また、カルシウムと同時に「ビタミンD」や「ビタミンK」を摂取することでカルシウムを体内に吸収する効率が上がったりカルシウムが骨に沈着しやすくなります。
ビタミンDはさけ、うなぎ、さんま、いわし、ぶり、さばといった魚や干ししいたけ、キクラゲ、卵黄といった食品に、ビタミンKはほうれん草、小松菜、にら、ブロッコリーといった緑黄色野菜や納豆、鶏もも肉に多く含まれています。
その他にもマグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸を積極的に摂取することがおすすめです。
逆に、アルコールやカフェイン、インスタント食品やスナック菓子に含まれるリンなどの成分は骨密度維持のためにはなるべく避けたい成分になりますので、注意しておきましょう。

■十分な睡眠をとる
成長期には十分な睡眠を意識してとっている方が多いですが、中高年の骨密度のためにも睡眠は重要な要素です。
睡眠中は、成長ホルモンが分泌されやすいためその間に骨の形成や修復が行われます。
特に22時から2時は「ゴールデンタイム」と呼ばれるほど成長ホルモンの分泌が盛んな時間帯なので、その時間に睡眠をとることでより多くの成長ホルモンが分泌されます。
また、寝てさえいればよいというわけでもなく、質の高い深い睡眠をとることが成長ホルモンを十分に分泌させるポイントなので、寝苦しい環境や睡眠の質が下がるほどの過剰なストレスはなるべく避けるようにしましょう。

■運動機能を維持して転倒を予防する
骨折の多くは転倒や転びそうになって手をついたことなどで起こります。
そのようなアクシデントが起こったときに骨折しないよう骨自体を強くしておくことも大切ですが、そもそもバランスを崩したり転倒しないように下肢体幹を中心として運動機能をしっかり維持しておくようにすることが骨折の予防につながるといえます。

骨折を予防するおすすめのトレーニング

高齢者の骨折を予防するためにおすすめのトレーニングをご紹介します。

■つま先立ち
ふくらはぎの筋肉を鍛えるとともに、上げた踵をトンと下ろすことで下肢の骨密度を高めるようなよい刺激が入るトレーニングです。

1.両足を骨盤の幅に開いて立ち、つま先がまっすぐ進行方向を向くようにそろえます。
2.ゆっくり踵を上げ、上げきったら踵をトンと一気に下ろします。
3.この動作を繰り返し行います。

■つま先上げ
足首を反らす筋肉を鍛えることでつまづきにくくなるとともに、後方にバランスを崩しそうになったときにバランスをとる練習を行います。

1. 手すりなど安定した持ち手の前に立ち、両足を骨盤の幅に開きます。
2. 重心を徐々に踵のほうに移し、つま先を上げて踵だけで立っている状態になります。
3. いける限り後ろまで重心を下げたらゆっくり重心を元に戻して直立になります。
4. この動作を繰り返し行います。

■片足立ち
転倒予防のための実践的なバランスのトレーニングができるほか、下肢の骨に適度な荷重負荷がかけられるトレーニングです。

1. 直立した状態から左右どちらかの足を10cm程度持ち上げ、そのままバランスを取ります。
2. 大きくバランスが崩れたり、立っている方の足の位置がずれたら終了します。
3. バランスが崩れない場合は最高1分間片足立ちを続けます。
4. 左右の足を変えて両足とも同じようにトレーニングを行います。

片足立ちが5秒にも満たない方は、慣れるまで手すりなどを軽く持って行うようにしてみてください。
ただし両手でしっかり握ったり、手の方に体重をかけてしまうとトレーニングの効果が半減してしまいますので、体重はしっかり足で支えてバランス修正の補助のみを手で行うようにしてください。

■スクワット
下半身の大きな筋肉を全体的に鍛えるトレーニングです。

1. 背筋を伸ばして立ち、両足は骨盤の幅に開き、つま先は進行方向かやや外向きにします。
2. 手は胸の前か身体の後ろに組む、または身体の横に沿わせておきます。
3. 足関節、膝関節、股関節を全て同じくらい曲げるようにしながらゆっくりと重心を落としていきます。
4. 膝が90度程度に曲がるところまでもしくは太ももが床と平行になるところまで重心を落としたらゆっくりと重心を上げて元の体勢に戻るという動作を繰り返し行います。

■リストカール
転倒時や手をついたときに骨折の多い手首の周りの筋肉を鍛えることで手首の骨折予防につながります。

1. 台の上に肘から前腕を乗せて手首から先が台から出るようにします。
2. 手のひらを上に向けてダンベルなどのおもりを落とさない程度に軽く握り、手首を反らした状態からゆっくりと手首を曲げ、おもりを持ち上げたら同じようにゆっくりと下ろします。

■腕立て伏せ
「上半身のスクワット」ともいえる肩甲骨から腕にかけて上半身の筋肉を全体的に鍛えるトレーニングです。
ついた手に体重をかけることで上肢の骨密度維持にもつながります。

1.肩の真下で、肩幅よりも拳二つ分広げた幅で両手を床につきます。
2.足は骨盤の幅とし、膝を伸ばしてつま先だけが床につくようにします。
3.身体を横から見たときに肩から足首までが一直線になるようにし、腰が反ったり曲がったりしないようにします。
4.3までのポジションがとれたら、ゆっくりと肘を曲げ、身体を床に近づけていきます。
5.身体や顔が床につく手前まで下ろしたら、ゆっくりと肘を伸ばして元のポジションに戻し、この動きを繰り返し行います。

腕立て伏せが筋力的に難しい方は、つま先ではなく膝を床について行う「膝立ち腕立て伏せ」を行ってみてください。

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おわりに

今回は、高齢者の骨折についてその主な原因と骨折を予防するためにおすすめのトレーニング、注意したい生活習慣についてご紹介しました。
一度脆くなった骨密度を再度上げたり、骨折によって低下した関節可動域や筋力を再び戻すのはとても大変なことです。
早い段階で骨折のリスクを知り、予防することでそのような苦労なく元気に長生きすることに近づきますので、是非今日からでも骨折予防のためにできることを始めてみてください。

■プロフィール

監修:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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