杖の種類と付き方

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はじめに

杖を使用することにより、さまざまなメリットがあります。しかし、それぞれの杖の特徴をしっかり理解せずに使用してしまうと逆に歩きにくくなる可能性もあります。

ここでは、それぞれの杖の特徴の理解と適切な杖の選び方を解説します。

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杖の目的と役割

杖を使用すると、以下のようにさまざまなメリットがみられます。

1.歩行を安定して行うことができる
2.足や腰にかかる負担を減らすことができる
3.杖を使用することにより、安心感が出る

1.歩行を安定して行うことができる
加齢に伴って身体機能は弱くなっていきます。その中でも足腰の筋肉が衰えてしまうと、日常的に歩いていても足がひっかかったりして歩くのが難しくなります。

そのような人に対して、杖を使用することにより、体をしっかり支えることができ、歩行の安定を助けてくれ、身体のふらつきをおこさずに、リズミカルに歩けるようになります。

2.足や腰にかかる負担を減らすことができる
歩きたいものの動くと足腰が痛くて歩くことができない、もしくは歩くのがしんだいなどといった問題に対しても杖を使うことは有効な方法となります。

歩くときに杖に体重をかけて、足腰にかかる体重の負担を分散させることができるため、負担が軽減され、痛みが少なくなります。

3.杖を使用することにより、安心感が出る

歩行の安定性が低くなったり、歩くことがしんどくなると転倒することによる、怪我などを考えてしまって外出をあまりしなくなってしまいます。

しかし、杖を使用することにより、歩行の安定性が高くなると、安心して歩くことができます。安心して歩けるようになると外出する頻度も少なくならずに人との交流も積極的に持つことができます。

杖の種類と特徴

最適な杖を選ぶためには、それぞれの杖の種類と特徴を把握することが重要になります。主な杖の種類は以下のような種類があります。

1.T字杖
2.ロフストランド杖
3.松葉杖
4.多脚杖

ここでは、上記の杖に対してそれぞれの特徴や長所について解説します。

1.T字杖
・T字杖の特徴
最も一般的なタイプの杖となっており、1本杖とも呼ばれています。

T字杖は特別な扱いなどの注意点は必要ないため、すぐに慣れることができます。また、200〜500グラムと比較的軽量のため、高齢者が持っていても負担となることが低くなっています。

・T字杖を使用するに適している人
T字杖は杖がなくても自力で歩ける状態の人におすすめとなっています。

T字杖は体重の約6分の1程度しか支えることができないため、歩行の補助用となっています。
・T字杖の持ち方
グリップは人指し指と中指で挟むように握り、麻痺や怪我をしていない方の手で持つようにします。

2.ロフストランド杖
・ロフストランド杖の特徴
ロフストランド杖は上の方に前腕を通す輪っかであるカフと下の方に握り手であるグリップがついた杖のことをいいます。

ロフストランド杖の特徴は、高い安定性があることです。体重をカフとグリップの2カ所で補助するため、T字杖と比較すると体重を分散させることができるという特徴があります。そのため、握力が弱っている高齢者の歩行に関しても安定して行うことができます。

・ロフストランド杖を使用するに適している人
ロフストランド杖は握力が弱っている人や身体に麻痺がある人に向いており、握力が弱っている方や身体に麻痺がある人に向いています。

また、握りと前腕の2点で支えるので、腕の力も使うことができ、握力が十分にないときにも有効となっており、片手しか使えなくとも、前腕カフで杖をさげて、用事をすることもできます。

このようにT字杖を上手に使えなかったり安定性に不安があった場合はロフストランド杖を選ぶようにします。

・ロフストランド杖の持ち方
ロフストランド杖の持ち方はT字杖と同じように人差し指と中指で挟むように握ります。

ただ、ロフストランド杖はグリップの上の部分に前腕を通すカフがあり、カフとグリップの距離が近すぎると手首に負担がかかりやすくなるため、自分自身に合った長さに調節してから使用するようにします。

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松葉杖

・松葉杖の特徴
松葉杖は、脇あてとグリップが付いている杖となります。

松葉杖はもっとも重い荷重に耐えられる杖で、ロフストランドクラッチより安定性がみられます。 骨折などで片足に体重がかけられない時や足の筋力が衰えた時も、松葉杖を使用すれば歩行することができます。

松葉杖というと骨折した時に使用するイメージがあると思いますが、歩行の際に使うと、身体の左右バランスを整えることができます。

・松葉杖を使用するに適している人

松葉杖は骨折や捻挫をしている人や下半身の麻痺などで下半身にサポートが必要な人に有効です。ただし、松葉杖を使用するにはある程度の幅が必要となります。

・松葉杖の持ち方

松杖先は、足の前と外側から15cm程度離したところに置きます。松葉杖を持つ場合は脇下に指2〜3本程度の隙間を開けて、肘関節を軽く曲げてグリップを握るようにします。

松葉杖の付き方はT字杖と同じようにまずは松葉杖の杖先を前方に出します。次に、脇あて部分を腕と上半身で挟み、グリップ部分に体重をかけます。松葉杖に体重をかけたら、麻痺などがないほうの足を前に出して進んでいきます。

多脚杖

・多脚杖の特徴
多脚杖とは、杖先が3点または4点の杖のことをいいます。

多脚杖は支える支柱が多いため、安定性が高いという特徴があります。

多脚杖を使用する場所は段差のない平らな場所では有効的な手段となっていますが、屋外のように段差のある場所では、逆に転倒してしまう危険性があるため多脚杖を購入する場合は注意が必要です。

・多脚杖を使用するに適している人

多脚杖はT字杖での歩行では足元が安定せずに足の力が低下しているという人におすすめな杖となっています。多脚杖は杖先が4点と安定しているため、姿勢が悪い人や、背骨が曲がった人にも適しています。

・多脚杖の持ち方

グリップの握り方はT字杖と同じように持ちます。グリップの位置が、肘を30〜40度曲げた状態の位置にくる長さのものを選び、脚が広がった方を体側にし、安定している麻痺や怪我をしていない方の手で持つようにします。

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適切な杖の選び方

自分自身に合った杖を選ぶ重要なポイントは「長さ」になります。杖を使用して快適に歩くためには、自分の身長に合った最適な長さの杖を選ぶのが重要になります。

杖の長さの目安は腕を下ろした立位姿勢で、杖を体側に垂直に立て、手首の骨が出ているところが握りの位置の目安となります。

杖は歩行時、肘が約150度程度曲がるようにします。

杖の最適な長さの目安は計算式でも出すことができ、「身長÷2+3cm」という計算式の数字が適切な長さとなります。

杖の長さの目安はおおよそは上記に合わせて長さを調整するものの、腰や背中が曲がったやや前傾姿勢の高齢者には2〜3cm短めにするとよい高さになります。

まとめ

今回はそれぞれの杖の特徴を解説しました。今回の記事でそれぞれを杖に対しての理解を深めるとさまざまな状態に対してどの杖を使用するのかを選ぶことができます。

杖は使い方をしっかり行えば大きなメリットがあるためしっかり理解して多くのヒトに適切な杖を紹介できるようにしましょう。

【経歴】
野田 政誉士
(理学療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級)
約10年前に理学療法士の資格を取得し、病院に勤務。急性期・回復期・生活期までの病期を経験するものの主に回復期リハビリテーション病棟にて臨床業務を実施。
現在は管理職として勤務しており、臨床業務だけではなく管理業務の両方を行っており、病棟の知識だけではなくの知識だけではなく、在宅への介入やマネジメント業務にも力を入れている。

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