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実は怖い転倒〜転倒の理解を深めて予防しよう〜

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はじめに

高齢者になると歩行時足のひっかかりがみられるなど転倒がしやすくなります。しかし、高齢者の中でどれくらいの割合の人が転倒しているのか、また転倒が発生しやすい場所などを知っている人は少ないと思います。

今回は、転倒について注目されている理由と実際に転倒が発生している場所・要因を解説した後に転倒予防に必要な筋肉について解説します。

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転倒をしない身体作りを行うことが非常に重要

高齢者になると以前に比べて筋力の低下などさまざま身体機能の低下がみられてしまい、歩行時に足が引っかかるなどして転倒してしまいます。

このように転倒を発生させないためには身体作りをしっかり行うことが重要となり、転倒を発生させてしまうとさまざまな弊害が生じます。

なぜ転倒についてこれだけ注目されているのかというとその理由は大きく分けて以下の3つに分けることができます。

1. 年齢が高くなるにつれて転倒の頻度が高くなる。
2. 転倒することにより要介護状態になる。
3. 今後、超高齢化が進んでいく。

上記について詳しく解説します。

1.年齢が高くなるにつれて転倒の頻度が高くなる。

高齢者は多くの人が転倒しています。平成22年に厚生労働省老健局が調査した資料によると、65歳以上の介護保険非認定者の23.3%の人が直近1年間の間に転倒経験があったと方向されています。

2.転倒することにより要介護状態になる。

「平成27年版 高齢社会白書(全体版)」の報告によると、高齢者の人が「要介護」となる原因として「骨折・転倒」は、脳血管疾患(脳卒中)、認知症、高齢による衰弱と続き、4番目の多さとなっており、全体の12.2%を占めています。

また、内閣府の「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(全体版)」の報告によると、自宅内で転倒した経験がある男性が6.8%となっており、女性は11.8%となっており、女性の方が転倒しやすくなっています。

転倒してしまい過度な安静を行うことにより、筋力や身体機能が衰えてしまい、症状を悪化させる要因にもなってしまいます。

また、転倒が原因で足の骨折をしてしまった場合は歩けるようになるまでに時間がかかるため、そのまま寝たきりになることも少なくありません。

また、一度転倒をしてしまった結果、自信を失ったり、動くことによる恐怖心を持ってししまい、身体を動かさなくなり、身体機能の低下が問題となってしまいます。

これらのように転倒することが原因で要介護状態となってしまう可能性があります。

3.今後、超高齢化が進んでいく。

「平成30年版高齢社会白書(概要版)」によると、65歳以上人口は、3515万人となっており、総人口に対しての65歳以上人口の割合(高齢化率)は27.7%となっています。

この高齢化率は今後も増加していき、2065年には65歳以上人口の割合(高齢化率)は38.4%に達して、約2.6人に1人が65歳以上となります。

また、平均年齢に関しても増加していき、2016年では男性80.98年、女性87.14年となっているものの2065年には男性84.95年、女性91.35年となり、女性の平均年齢は90年を超えるようになります。

このように今後、高齢化が加速し、平均年齢も増加していく中で、いつまでも元気に生活して過ごすことができるように転倒を予防することが重要になります。

転倒が主に発症している意外な場所

平成22年12月から平成24年12月末までの期間、独立行政法人国民生活センターによると、20歳以上の事故件数は1631件となっており、そのうち65歳以上の事故件数は669件となっており、全体の約40%の割合となっています。

この事故件数の中で発生場所をみていくと、65歳以上の事故のなかで、住宅内で起こった事故件数は516件で65歳以上の事故全体の77.1%の割合となっています。

さらに住宅内の中でどの場所で転倒しているのかというと、居室が45.0%で最も割合が高くなっており、次は階段が18.7%、台所・食堂が17.0%、玄関が5.2%、洗面所が2.9%、風呂場が2.5%、廊下が2.2%、トイレが1.5%とそれぞれの割合となっています。

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転倒の生じる要因

転倒を完全になくすことは非常に困難となっています。しかし、転倒の生じる要因を理解し、できる限り対策しておくことによりある程度は予防することができます。

転倒を生じる要因としてはさまざまありますが下記に主な要因を述べます。

1.転倒は上記で述べたように自宅内で発生することが多くなっています。高齢者は少しの段差でも足が引っかかって転倒する危険性があります。

2.履物に関してはストッキングや靴下などを履いて歩いたりすると滑ってしまう危険性があります。また、サンダルやスリッパを履いたままでもつまづきがみられるため注意が必要です。

3. 転倒しやすい方向は前方が最も多く、次に側方、最後に後方となります。

4. 骨折で最も頻度があるものは足の骨折である大腿骨頸部骨折となり、次に腰の骨折である腰椎圧迫骨折となります。

5. ひとつひとつ動作がゆっくりでないと行えないなどの身体機能の低下がみられる高齢者に関しては転倒するリスクが高くなってしまいます。

6. 日常生活から杖や足に装具を使わないと歩くことができない高齢者に関してもこれらを使用しないとバランスが悪くなるため転倒しやすくなります。

7. 歩く速度の速さと転倒する可能性に関しては相違しているため歩く速度が遅い人に関しては転倒リスクが高くなります。

8. 近年1年で転倒している人は転倒していない人に比べて転倒する危険性があがります。

9.話しをしながら歩くなど2つの動作の同時進行は転倒する可能性が高くなります。

上記のように転倒を起こしやすい要因はさまざまあります。そのため、1つずつの要因に対してしっかり対策することが重要になります。

転倒予防に必要な筋肉

転倒を予防するためには筋肉をしっかり鍛える必要性があります。しかし、筋肉の種類に関しては非常に多くの種類があります。

今回はたくさんの筋肉の中から5つの筋肉を解説します。

1.腸腰筋:骨盤から下腹付近に位置しており、足を前に出す筋肉となっています。
2.大腿四頭筋:ふとももの前に位置しており、膝を伸ばす筋肉となっており、立ち上がる時にも重要な筋肉となっています。
3.中殿筋:お尻の横に位置する筋肉で歩行時などにおいて安定性を高めてグラつかないために重要な筋になっています。
4.前脛骨筋:脛の前に位置する筋肉でつま先を上に上げる筋肉となっています。
5.足趾の筋肉:足の指に位置する筋肉で立位・歩行時などにおいてバランスを整える筋肉となっています。

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まとめ

転倒が発生してしまうとさまざまな弊害がみられます。
近年、転倒について注目される理由としては以下のような理由があります。

1.年齢が高くなるにつれて転倒の頻度が高くなる。
2.転倒することにより要介護状態になる。
3.今後、超高齢化が進んでいく。

また転倒に関しては住宅内で約70%発生しており、転倒を発症させる要因としてもさまざまあります。

転倒を予防するためには下記のような筋肉を中心に鍛える必要性があります。

1.腸腰筋
2.大腿四頭筋
3.中殿筋
4.前脛骨筋
5.足趾の筋肉

転倒を必ず発生させないことは非常に困難ではありますが、さまざまな予防策はあります。今回、解説した内容を理解して転倒の予防に役立て下さい。

【経歴】
野田 政誉士
(理学療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級)
約10年前に理学療法士の資格を取得し、病院に勤務。急性期・回復期・生活期までの病期を経験するものの主に回復期リハビリテーション病棟にて臨床業務を実施。
現在は管理職として勤務しており、臨床業務だけではなく管理業務の両方を行っており、病棟の知識だけではなくの知識だけではなく、在宅への介入やマネジメント業務にも力を入れている。

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