疲労回復

フレイルってなに?原因とおすすめの予防法

2020-03-07

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はじめに

平均寿命が延びて高齢者が増えてから「フレイル」という言葉が聞かれるようになりました。
加齢に伴う虚弱を表す「フレイル」にならないためにその原因と予防法についてご紹介します。

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フレイルとは?

「フレイル」とは加齢に伴い身体の様々な機能が虚弱になっている状態をいいます。
他者からの手助けなく、健康に不自由なく過ごせる状態と他者からの介護を必要とする要介護状態の中間の状態であり、今後の対応次第で健康に限りなく近い状態に戻すことが可能な範囲であることもフレイルの特徴です。
また、フレイルというと筋力や持久力の低下、またそういったことから活動性が低下している状態を考えがちですが、記憶力や判断力といった認知機能の低下や食べ物を噛む力や飲み込む力といった口腔機能の低下などフレイルは広い範囲の機能低下に適応する言葉です。
「虚弱」と一言でいうと判断基準は曖昧ですが、一般的に使用されているFriedが提唱した指標では、体重減少、疲労しやすい(易疲労性)、歩行速度の低下、握力の低下、活動性の低下の5項目の中で3項目以上があてはまる場合にフレイルとされています。

フレイルの原因は?

フレイルを引き起こすには様々な要因がありますので、主なものをご説明します。

■加齢に伴う活動性や身体能力の低下

年齢を重ねると何かしら努力をしない限り、筋力や持久力といった身体機能は低下していきます。
また身体機能の低下から外出する機会が減ったり、定年退職などによって属する集団が減ることで社会に参加したり他者と接する機会が不足していきます。
特に高齢者の場合、日頃からしていることはいつまでもすることができますが、しなくなったことはすぐにできなくなってしまうので、活動性の低下がさらなる身体能力の低下を招き、フレイルを作り出します。

■栄養不足

高齢者は加齢に伴い胃腸の消化機能が低下し、食欲が低下しがちです。
さらに、歯や歯茎がもろくなったり噛む力が低下して硬いものが食べにくくなる、自分で調理するのがおっくうになったり認知機能の低下から自分で調理することが困難になるなどさまざまな理由から摂取カロリーが不足したり栄養のバランスが偏ってしまいます。
特に肉や魚などの動物性たんぱく質は、筋肉の源になるので高齢者ほど積極的に摂取する必要がありますが、噛んだり飲みこんだりしにくいことや消化しにくいことから避けられがちな食材です。
こういった食生活の変化により筋肉量や活力が低下してしまい、フレイルにつながります。

■運動不足

私たちの体内では日々、筋肉の分解と合成を繰り返していますが、年齢を重ねると合成よりも分解のほうが進むのでだんだん筋肉量が低下してフレイルに近づいてしまいます。
ウォーキングや水泳などの有酸素運動を行っている方は比較的多くおられますが、筋力を維持できるだけの負荷のかかる筋力トレーニングはなかなか取り組まれておらず、頑張っているつもりでもフレイルを予防できていないことも多々あります。

■認知機能の低下

認知機能が低下すると、記憶力や思考力、判断力だけでなく活気ややる気も低下することがあります。
物事に対する興味や意欲が低下すると活動性がぐんと低下してしまうため、脳や身体を使うことが少なくなり、認知機能も身体機能もさらに低下し、フレイルにつながってしまいます。

■慢性的な疾病に罹患

呼吸器疾患や循環器疾患、糖尿病をはじめ慢性的な疾患を抱えていると、運動や活動が制限されていたり、摂取できる食材や栄養に制限があるなどして本来の十分な運動や栄養がとりにくくなってしまいます。
それが体重減少や筋力の低下などに発展し、フレイルにつながってしまうのでそういった慢性疾患自体がフレイルの原因になるとも言えます。

そして、重要なことはここでご紹介したフレイルの原因となることは全て相互関係にあるということです。
食欲がわかず必要な食事を摂れなければ元気がでず活動性が低下する、活動性が低下すると筋力が落ちる、筋力が落ちて移動機能が低下すると外出が困難になり社会参加が難しくなる、社会参加できず家に閉じこもっていると認知機能が低下するというように全てがつながっています。
これらの原因を一つずつ断ち切り、逆回りのよい循環になるようにすることが大切です。

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フレイルを予防するには?

ここでは、フレイルを予防するために注意すべき日常生活習慣をご紹介します。

■バランスのよい食事をとる

低栄養になり体重減少を招かないためには、まずバランスのよい食事をしっかりと摂ることが大切です。
必要なカロリー摂取だけでなく、筋肉を合成するための材料となる動物性たんぱく質(肉や魚)を十分に摂取すること、そして筋肉の合成を促すためにはビタミンやミネラルも必要なので野菜類やきのこ類、海藻類も積極的に摂るようにしましょう。

■積極的に外出する

外出すると何かと人としゃべる機会を得ることができるので脳が活性化されて認知機能が保たれやすくなります。
また、屋内にいるよりも身体を動かす機会が増えるので筋力の低下を防ぐことができること、活動性が高まることでお腹がすいて食事がしっかりと摂れるようになることなど外出によってフレイルの予防につながる要素がたくさんあります。
1日1回は家の外に出ることを心がけ、買い物や趣味活動、散歩などを習慣にしていきましょう。

■筋力トレーニングをする

筋肉量の低下を阻止し、フレイルを予防するためには筋力トレーニングが必要であり、ある程度筋肉に負荷をかけなければなりません。
日常的に家の周りを散歩したり、買い物にはなるべく徒歩ででかけるなど工夫をしておられる方は多く、健康維持のためにそれらの運動はとても効果的ですが、多くは心肺機能や持久力を維持するための有酸素運動であり、歩くこと自体が普通にできる健康な方にとっては平地を歩くだけでは筋力を維持および改善するための運動とは言えません。
次でご紹介するような筋力トレーニングを定期的に行うことで、フレイルを予防することができます。

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フレイル予防におすすめの筋トレ5選

フレイル予防におすすめの筋トレをご紹介します。

■スクワット

スクワットは一つの筋トレでたくさんの筋肉を刺激することができるほか、身一つあればどこでも行うことができるので、運動がなかなか続かない方もこれだけは続けていただきたい運動です。

1.足は骨盤の幅に広げて立ち、両足を平行にしてつま先が進行方向を向くようにします。
2.重心が前後しないように注意しながらゆっくりと股関節、膝関節、足関節を曲げて重心を落とします。
3.膝が90度程度に曲がるところまで(ハーフスクワット)もしくは太ももと床が平行になるところまで(フルスクワット)重心が下がったら、ゆっくりと足を伸ばして最初の姿勢に戻ります。
4.この動作を10回程度繰り返します。

■ブリッジ

ブリッジは主に立ち上がりや歩行など移動動作に重要なお尻の筋肉(大殿筋)を鍛えるトレーニングです。
また同時に背筋群も鍛えられるので、腰痛予防にもなるトレーニングです。

1.両膝を立てて仰向けに寝ます。手はお腹の上に置くか身体の横で床の上におきます。
2.ゆっくりとお尻を浮かしていき、身体を横から見た時に肩から膝までが一直線になるところまでお尻が上がったら3秒止め、ゆっくりお尻を下ろします。
3.余裕がある場合はお尻を上げたところで肛門をしめるように意識するとより効果的です。
4.この動きを10回程度繰り返して行います。

■つま先立ち

つま先立ちはふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングです。
筋力が向上するだけでなく、足先の血流がよくなることで冷え性の改善になったり、転倒予防のためのバランス訓練にもなります。

1.両足を骨盤の幅に開いて立ち、つま先がまっすぐ進行方向を向くようにそろえます。
2.ゆっくり踵を上げ、上げきったらゆっくりと下ろします。このとき、足趾は強く曲げないように注意してください。
3.この動作を10〜20回繰り返し行います。

両足での踵上げでは物足りない方は、片足ずつ行うことで負荷を増やすことができます。
片足での踵上げはバランスが取りにくいので、まずは壁や手すりを持った状態から始め、徐々に手を離せるようにすることを目標に行ってみましょう。

■腕立て伏せ

「上半身のスクワット」ともいえる腕立て伏せは腕や肩関節周囲、腹筋や背筋など上半身の多くの筋肉を一度に鍛えることのできるトレーニングです。

1.肩の真下で、肩幅よりも拳二つ分広げた幅で両手を床につきます。
2.足は骨盤の幅にして、膝を伸ばしてつま先だけが床につくようにします。
3.身体を横から見たときに肩から足首までが一直線になるようにし、腰が反ったり曲がったりしないようにします。
4.3までのポジションがとれたら、ゆっくりと肘を曲げ、身体を床に近づけていきます。
5.身体や顔が床につく手前まで下ろしたら、ゆっくりと肘を伸ばして元のポジションに戻し、この動きを繰り返し行います。

普段から筋トレを行っていない方にとってはかなり負荷の強いトレーニングになります。
ご紹介した方法で難しい方は床ではなく壁や安定した机に手をついて身体が斜めになるようにし、「斜め腕立て伏せ」に変更するとかなり負荷が軽減されてやりやすくなります。
筋力に合っていない筋トレを無理に行うと、肩などを傷める原因になりますので無理はしないようにしてください。

■ボール握り

フレイルの指標にもなっているようにフレイルもしくはその予備軍の方は、握力が低下している割合が大変高くなっていますので、日頃から鍛えておくことが大切です。

1.握ったらある程度つぶすことのできる硬さのゴムボールやスポンジを左右どちらかの手の中に入れます。
2.数秒間思いっきりつぶしてはゆるめる動作を繰り返し行います。
3.左右を入れ替えて両手とも鍛えます。

おわりに

今回は加齢に伴う虚弱な状態を表す「フレイル」について原因や予防法についてご紹介しました。
一日でフレイルになるのではなく日々の積み重ねで徐々になっていくものなので、予防についても日々の積み重ねが大変重要です。
早すぎたり遅すぎたりすることはありませんので、是非ともまだ大丈夫であろうと思えるうちから予防に取り組むようにしてください。

■プロフィール

監修:いきいき100歳応援中(理学療法士)
専門:整形外科疾患、介護予防分野

自己紹介
二児の母でもある理学療法士。整形外科疾患、介護予防分野を専門とし、病院勤務の傍ら健康や医療に関する記事を執筆している。

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