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【ボランティア団体紹介】視覚障害者のために「音訳」でデイジー図書を制作・提供 〜「サークルさえずり」「Eye・あい」〜

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視覚障害者や文字を読みにくい人のために、音声で情報を提供する「音訳」という活動があります。
今回はその音訳活動を続け、人材の育成にも取り組んでいるボランティア団体を2つご紹介します。

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音訳者は10年で一人前といわれる専門性の高い肩書き

「音訳」とは図書や新聞などの文字情報を朗読・録音し、そのデータをCDに編集する作業のことです。音訳CDは特別な圧縮方法を用いたファイル形式で作成され、一般的に「デイジー(DAISY)図書」と呼ばれています。DAISYとは「Digital Accessible Information System」の頭文字をとったもので、「アクセシブルな情報システム」という意味です。
今回ご紹介する「サークルさえずり」と「Eye・あい」は共に音訳グループですが、音訳作業そのものはそれぞれのメンバーが自宅で行っているとのこと。作業は雑音が入らないように、夏場でも窓を閉め切り、エアコンも切って録音するという大変なものです。
また、文章の意味を正確に伝える技術が必要とされるため、その習得には日頃の練習が欠かせないとか。音訳者は10年で一人前といわれるほど、専門性の高い肩書きです。

40年以上にわたる音訳や朗読の実績を持つ「サークルさえずり」

「サークルさえずり」は、1976年に発足した歴史あるグループです。兵庫県姫路市の城内図書館を拠点に、週1回集まって活動しています。音訳作業は前述のように個人で行っていますが、完成した音訳図書を登録読者へ貸し出すための発送にも対応。作成した保有音訳図書は2018年時点でCD1521枚を数えるそうです。
また、技術の向上と発表の機会として、8月と12月を除く各月1回の朗読会を開催。これは無料で一般公開され、誰でも聴くことができます。2019年5月には通算200回を達成し、特別企画として市内のホールで記念朗読会も開催しました。
ほかにも2017年の「没後20年 司馬遼太郎展 21世紀 未来の街角で」という記念イベントに出演し、司馬遼太郎ゆかりの作品を朗読したり、2020年で5回目となる「藤原正彦エッセイコンクール」表彰式において、各部門最優秀作品の朗読を行ったりするなどの活動も。
毎年10月には「ジュニア姫路検定 子どものための音読講座」を開き、小学生を対象に発声練習や朗読の基礎などを楽しく伝えています。
メンバーが学習する機会としては、毎年8月に「夏の研修会」として外部講師を招き、音訳に活かすための講演や講座を実施。さらに読者との交流会も定期的に開催し、意見や要望を聞くなど、様々な活動に取り組んでいます。

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実用書や取扱説明書などの生活に密着した音訳を手がける「Eye・あい」

「サークルさえずり」と同じ兵庫県で1998年に発足した「Eye・あい」は、姫路市総合福祉会館を拠点に月2回活動しています。朗読教室に通っていた方たちが、人の役に立ちたいと音訳を始めたのがきっかけとか。今も月1回は音訳技術の学習会を実施し、スキルアップにも取り組んでいます。
現在、定期的に音訳しているのが、姫路市文化振興財団の季刊誌『BanCul(バンカル)』と、朝日・毎日・読売・神戸・日経新聞のコラムです。ほかにも生活に密着した実用書や情報誌、登録利用者からの依頼図書や取扱説明書などの音訳を手がけています。
定期刊行物としては年4回、完成図書のお知らせや地域の話題などを収録したCD『Eye・あいメッセージ』を登録利用者に送付しているとのこと。それ以外に通常のデイジー図書の貸し出しも行っています。
また、「Eye・あい懇親会」を開催し、登録利用者の方々を招いて朗読や歌、歓談などのひと時を過ごす企画も。普段直接会うことの少ない利用者の方の意見や要望を聞く機会は、やはり貴重なものとのことです。

1年間にわたる養成講座で後継者の育成に力を入れる

両グループとも、音訳ボランティア養成講座を開き、人材の育成にも取り組んでいます。
いずれも1年間にわたる講座で、音訳の基礎知識やパソコンで録音技術の習得を身につけるという内容です。
受講料は「サークルさえずり」がテキスト料のみ、「Eye・あい」が資料代を含み1000円となっており、最小限の費用負担で受講生が学びやすいようにとの配慮がうかがえます。
講座終了後にはそれぞれのグループで活動に参加できるというシステムも同様。本を読んだりすることが好きで、自宅でパソコン録音ができる人などが受講資格となりますが、パソコン操作は講座内でも指導されるとのこと。
“読む”ことで社会に貢献する活動は、こうした地道な取り組みによって支えられています。

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文化を守りたい! 世界が動き出している持続的開発目標とは

最近、世界中で地球の環境や人、街や文化をいつまでも持続的に守っていこうとする活動が広がっているのをご存知ですか?
国連が計画した(SDGs=持続的開発目標)は、様々な角度から地球とそこに暮らす生き物の未来を守っていこうとする壮大な計画なのです。

全部で17個のゴール(達成目標)を掲げ、みんなで一歩ずつ達成しようとする呼びかけが広がっていることは明るい未来を予感させますが、実はそれほど悠長なことを言っていられないほど、今の地球は大変なことになっているのです。地球温暖化による自然災害の増加や、超高齢化社会の到来は、皆さんも既に経験されていることと思います。
だからこそ、ボランティアなどの社会貢献活動は、非常に重要な取り組みとなっているのです。

今回ご紹介した2団体(サークルさえずり/Eye・あい)の活動は、SDGsが提唱する17個の達成目標の4番目、「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」の中にある「障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする」と、11番目、「住み続けられるまちづくりを」の「女性・子ども、高齢者および障害者に対し公共スペースへの普遍的アクセスを提供」という項目に貢献する活動です。
両団体の皆さんが国連の意志を組んで活動しているわけではないとしても、未来の地球で幸せに生きたいというみんなの願いをかなえる活動のうちの一つなのです。

趣味時間は個人の団体から企業活動まで、SDGs=持続的開発目標に通じる尊い活動に注目し、皆さんにご紹介することを通じて、啓蒙活動のお手伝いが出来たらと考えています。

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